外出自粛やテレワークなどで“音”と関わる時間が増えた今、「首にかけるスピーカー」を試してみた。
撮影:小林優多郎
リモートワークの増加、外出自粛要請で家にいる機会が多くなってきた昨今。出番が増えてきているのは、PCやタブレット、そしてイヤホンやヘッドホンなどの音響機器だ。
イヤホンの場合、長時間の利用で耳が痛くなるなど、製品によっては一定のストレスがかかる。けれど、家族の都合であまり大きな音を響かせられないなど、一種のトレードオフが発生する場合もある。
イヤホンとスピーカー、その間に位置する製品といえるのが、首もとにつける“ネックスピーカー”だ。シャープが7月18日に発売予定の「AQUOS サウンドパートナー AN-SS2」(予想実売価格1万6000円、税抜き)を借りて、その使用感を確かめてみた。
首にかけてもラクな約88グラムの本体重量
AN-SS2を上から見たところ。左右にスピーカー穴が空いているのがわかる。
撮影:小林優多郎
ネックスピーカー自体はさほど新しい製品ではない。例えば、ソニーの「SRS-WS1」(直販価格2万4880円、税抜き)、ボーズの「SOUNDWEAR COMPANION SPEAKER」(直販価格3万5200円、税込き)などが現在も発売中だ。
それらとシャープのAN-SS2が大きく異なる点は、手ごろな価格と軽量さにある。先の例だとSRS-WS1は約335グラム、SOUNDWEAR COMPANION SPEAKERが約260グラムだが、 AN-SS2は約88グラムと圧倒的に軽い。
首にかけたところ、大きく違和感はない。
撮影:小林優多郎
実際に首もとに装着してみても、ほとんど重みを感じなかった。もちろん、アップルのAirPodsシリーズのような流行の完全独立型のワイヤレスイヤホンの方が軽いわけだが、耳元を塞がれていない開放感もあって、非常に“自由さ”を感じた。
ラジオ利用など音声を聞く分には十分使える
装着時右側には、再生・一時停止キー、音量キー、クリアボイス機能のオンオフキーがある。
撮影:小林優多郎
次に、MacやAndroidスマートフォンと接続して、音楽や動画、ゲームなどを試してみた。AN-SS2はBluetooth 5.0をサポート。装着時、左手側にあるBluetoothボタンを押せば、簡単にペアリングモードが起動する。
音質に関しては、より価格の高い製品のほうがキレイに聞こえるのは確かだろうが、BGMとして流しておく分には問題ない。とくに、専用の「クリアボイス機能」をオンにすると、音声中心の楽曲やラジオの視聴、ビデオ会議のスピーカーとしては十分利用できると感じた。
「Xperia 5 SO-01M」に接続したところ「Qualcomm aptX対応オーディオ機器」として認識されている。
耳もとで音が聞こえるため、例えば「Xperia 5 SO-01M」なら、40%程度の音量設定で十分。また、その状態で約2メートル離れた確認してもらったところ「何か音は鳴っているのはわかるが、詳細はよくわからない」と言われた。なお、当然だが接近すればするほど、何を聞いているかはよくわかる。
遅延に関しては、音楽や動画を観る分にはとくに違和感はなかった。とくに、AN-SS2は半導体メーカーのクアルコムが策定した低遅延音声伝送規格「Qualcomm aptX Low Latency」に対応。同規格に対応したスマートフォンなどであれば、比較的遅延の少ない音楽体験が可能だ。
ただし、ゲームでの利用だとやはり厳しい部分がある。「ポケモンGO」などの位置情報ゲームではそこまで気にならないが、レーシングやリズムゲームでは音の遅延が目立つ。
ビデオ会議のスピーカーとしては◎、マイクは……
筆者の環境下(AN-SS2と自分から45センチほど離れた場所の外付けUSBマイク)では、AN-SS2で音を出しつつ別のマイクで集音してもハウリングは起きなかった。
撮影:小林優多郎
もう1点、残念な点をあげておくと、本体のマイクの音質があまり良くない。ビデオチャットおよびローカル環境で収録した自分の音を聞いてみたが、タオルでマイクをふさいでいるようなメリハリの少ない音が収録されていた。
ビデオチャット時に利用し、先方に確認してもらったところ「話している内容はわかるが、抑圧が少なく聞き逃しやすい声」を言われた。マイクを別途用意するか、ビデオチャットなどの際はマイク付きイヤホンなどを使ったほうが無難だろう。
マイク以外の点に関しては、前述の通り非常に快適だった。自分の場合は、テレワーク中心となり作業中にポッドキャストを流し続けることが多くなったので、長時間の作業中のストレスが大きく低減された。同じように、日ごろの音楽環境に不満を感じている人は、試してみる価値アリだ。
(文、撮影・小林優多郎)