ジョージ・フロイドさんが身柄を拘束された現場を訪れた弟のテレンス・フロイドさん(2020年6月1日、ミネアポリス)。
REUTERS/Lucas Jackson
- ジョージ・フロイドさんが警察官に身柄を拘束された現場を訪れた弟のテレンス・フロイドさんは、人々に略奪を止め、フラストレーションは選挙に向けるよう呼びかけた。
- テレンスさんは暴力や略奪に参加している人々に対し、「わたしは暴れるためにここへ来たのではない。わたしがものを壊したり、コミュニティーをめちゃくちゃにするためにここへ来たわけじゃないのに、あなたたちは何をしているのか?」と訴えた。
- テレンスさんは「わたしたちの声は重要でないと考えるのは止めて、投票しよう」「大統領選だけでなく、予備選挙でも投票しよう。全ての選挙に参加しよう。自分自身を教育しよう」と呼びかけた。
6月1日(現地時間)、ジョージ・フロイドさんが警察官に身柄を拘束されたミネソタ州ミネアポリスの現場を訪れた弟のテレンス・フロイドさんは、人々に略奪を止め、フラストレーションは選挙に向けるよう呼びかけた。
アメリカではこの1週間あまり、フロイドさんの死を受け、各地で抗議の声が上がっている。大半のデモは平和的に行われているが、中には暴徒化し、デモ参加者と警察が衝突するケースもある。店を襲って略奪したり、建物や自動車に火をつける集団もいる。
ジョージ・フロイドさんは5月25日、ミネアポリスで4人の警察官に身柄を拘束された後、死亡した。29日午後には、この4人のうちの1人でフロイドさんの首を8分以上ひざで押さえつける様子が動画に捉えられていたデレク・ショビン容疑者を逮捕し、第3級殺人罪で起訴したと当局が発表した。4人の警察官は全員、26日に解雇されている。
「あなたたちの怒りは分かる。でも、わたしの半分も怒ってはいないだろう」とテレンス・フロイドさんは語りかけた。
「それでも、わたしは暴れるためにここへ来たのではない。わたしがものを壊したり、コミュニティーをめちゃくちゃにするためにここへ来たわけじゃないのに、あなたたちは何をしているのか? 何もしていない。これでは兄を連れ戻すことなどできない」
「うちの家族は平和的な家族だ。敬虔な家族だ」
テレンスさんは集まった人々に対し、略奪や破壊行為はその時は気分がすっきりしたり、正しいと感じるかもしれないが、最終的に制度を変えることにはつながらず、警察の蛮行を終わらせる理由を損なうことになると語った。
「警察の蛮行があるたびに、同じことが起きている。あなたたちは抗議し、ものを壊し、彼らは動かない。どうして彼らは動かないのか? 彼らの問題ではないからだ。これはわたしたちの問題だ。彼らはわたしたちに、わたしたちのものを壊してほしいんだ。だからこそ、別の方法でやってみよう」とテレンスさんは語った。
その上で、テレンスさんは人々にこの問題や身近な候補者について自ら学び、全ての選挙に参加するよう呼びかけた。
「わたしたちの声は重要でないと考えるのは止めて、投票しよう」
「大統領選だけでなく、予備選挙でも投票しよう。全ての選挙に参加しよう。自分自身を教育しよう。誰かがあなたに候補者がどんな人物か教えてくれるのを待っていてはダメだ。自分自身を教育して、誰に投票すべきか知ろう」
「変えよう。平和的にやろう」とテレンスさんは訴え、兄のジョージさんは「こんなことをしてもらいたいとは思っていないはずだ」と語った。
テレンス・フロイドさんのスピーチ(動画)はこちら:
(翻訳、編集:山口佳美)