フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEO
Reuters
- 何人かのテックワーカーは、トランプ大統領に対するフェイスブックの対応に不満を抱いている同社従業員に会社を辞めることを勧めている。
- これらのコメントは、フェイスブック従業員が声を上げ、仮想ストライキを実行しているときに投稿された。
- フェイスブックのエンジニアの1人は、すでに会社の方針に抗議して退職している。
ドナルド・トランプ大統領の投稿に対処しないことに対してフェイスブック(Facebook)の社員が反対の声を上げる中、技術者のコミュニティの一部では、抗議して会社を辞めるよう促す人もいる。
フェイスブックの従業員は6月1日、ジョージ・フロイド(George Floyd)氏の死を巡って行われている抗議活動に関するトランプ大統領の投稿に対して、同社が行動を起こさないことに抗議して、仮想ストライキを行った。問題の投稿には「略奪が始まると発砲が始まる」というフレーズが含まれていた。ツイッター(Twitter)は、暴力を賛美しているとして、プラットフォーム上でこの投稿に対して警告を出した。
フェイスブックの社員数人が、会社の方針に不服を表明するためにツイッターに投稿したことを発端に、ストライキが行われた。何人かのテックワーカーは、抗議のためにフェイスブックを辞めるように勧めている。
「国防総省との戦争兵器の開発を始めたとき、私はグーグル(Google)を辞めた」と、Squarespace社のエンジニアであるアレックス・イダルゴ(Alex Hidalgo)は5月30日、フェイスブック従業員の抗議のツイートに反応した。
「それは完全に選択肢だ。私はやった。あなたにもできる」
国防総省との戦争兵器の開発を始めたとき、私はグーグル(Google)を辞めた。それは完全に選択肢だ。私はやった。あなたにもできる。
フェイスブックのソフトウェアエンジニア、ティモシー・J・アベンニ(Timothy J. Aveni)は最近のリンクトイン(LinkedIn)の投稿で、ソーシャルメディアの巨人を退職したと述べている。
「アメリカ国民が過激になることを目的とした大統領の偏見に満ちたメッセージに対して、フェイスブックが行動を拒否し続けることに耐えられない」アベンニ氏は書いている。
グーグルの元シニア・リサーチ・サイエンティストで、物議を醸した中国向け検索エンジンプロジェクトを巡って2018年に辞任したジャック・ポールソン(Jack Poulson)も、ツイッターで同様の見解を述べた。彼は「労働者の小さなグループが大きな影響力を持つことがある」とツイートしている。
連邦政府のクラウド認証をブロックするのに必要だったのは、たった9人のグーグルの労働者だった。そしてドローン戦争へのグーグルのサポート拒絶の端緒となり、国防総省が独自のAI利用原則を採用することになった。少数の労働者が、大きな影響を与えることもある。
グーグルの主任ソフトウェアエンジニアであるティム・ホッキン(Tim Hockin)は、フェイスブックの技術者に「自分の力を良い方向に使うように」と勧めている。
フェイスブックで働いている友人やフォロワー、特に技術者へ。これはよくない。出ていこう。今すぐ辞めよう。これはあなたの問題だ。善のためにあなたの力を使ってほしい。
元グーグル従業員でStripeのソフトウェアエンジニアのランディ・リューク(Randy Luecke)は、フェイスブックには「すぐ次の仕事が見つかる人」がたくさんいるとツイートしている。
学生ローン、就労ビザ、家族など、それぞれに事情があるので、それらを考慮せずに仕事を辞めるを勧めるわけではない。
しかし、フェイスブックには、仕事を辞めても、すぐ次の仕事に就くことができる人がたくさんいる。
私にはザックが変わるとは思えない。
フェイスブックは、「真実の裁定者」にはならないという同社の長年にわたる見解を堅持し、トランプ大統領の投稿に対して何の措置も取らないという決定に固執している。
「多くの人が大統領の投稿を放置していることに憤慨しているのは分かるが、利用規約に明記された特定の損害や、危険を招くリスクを引き起こすことにならない限り、可能な限り多くの表現を可能にすべきだというのが我々の立場だ」と、フェイスブックのマーク・ザッカーバーグCEOは5月29日に書いている。
フェイスブックはここ数年、特に虚偽のニュースや誤った情報を厳しく取り締まっている。たとえば2020年1月には、ユーザーに誤解を与えるように改ざんされたビデオの削除を求める新しいルールを導入した。
しかし、政治的言論を妨害したり、政治的広告のファクトチェックをしたりしないという同社の方針は、多くの批判を集めてきた。
ザッカーバーグは最近、FOXニュースのダナ・ペリーノ(Dana Perino)とのインタビューで、「私は、人々がオンラインで発言するすべてのことの真実の裁定者になるべきではないと強く信じている」と述べ、「一般的に言って、民間企業、特にプラットフォーム企業はそうすべきではないと思う」と付け加えた。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)