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アメリカの人種問題を理解するために…… オバマ前大統領が薦める21冊の本

オバマ前大統領

Thibault Camus/AP Images

ジョージ・フロイドさんの死をきっかけに各地で抗議活動が続く中、オバマ前大統領はアメリカが抱える人種差別や格差の問題について語った。Mediumへの投稿では、変化をもたらすための知恵を共有した。

こうした知恵は自身の黒人男性として、アメリカ初の黒人大統領としての経験からくるものだが、人種問題に関する本を読むことで得た情報も役立っているはずだ。刑事司法制度改革で大きな進歩を達成したオバマ前大統領は、在任中から人種問題に関するさまざまな本を薦めてきた。

タナハシ・コーツ著『世界と僕のあいだに』やトニ・モリスンの作品など、前大統領オススメの本はアメリカの人種をめぐる複雑な歴史を理解するのに役立つだろう。

アメリカで奴隷制度が廃止されてから150年が経ち、法的に人種隔離が禁止されてから約55年が経つ今でも、その影響は決してなくなったとは言えない。2019年のデータによると、アメリカでは黒人が警察の武力行使によって命を落とす確率は白人の約3倍だ。

そして、長年にわたる特定地域の住民には融資しないなどの金融機関による投資差別や住宅に関する不公正な取り引きの影響で、多くのアメリカの都市は人種的に分けられたままだ。中間層の黒人世帯と白人世帯の貧富の差も残ったままだ(これには長年にわたる差別的な教育雇用のあり方も影響している)。実際、Business Insiderでも報じたようにマッキンゼーの2019年のレポートによると、貧富の差は1992年以降、5万4000ドル広がっている。

未来をよりよいものにするために、どこから始めたらいいか? Business Insiderは、オバマ前大統領のオススメの中から人種問題に正面から向き合った21冊の本をまとめた。紹介しよう。


タナハシ・コーツ著『世界と僕のあいだに』

『世界と僕のあいだに』

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これは、アメリカで黒人の肉体がどう生きてきたか、この国の過去をどう捉えるか、著者から息子に宛てられた手紙だ。

David W. Blight著『Frederick Douglass: Prophet of Freedom』

『Frederick Douglass: Prophet of Freedom』

Associated Press

この歴史的伝記の中で、著者はフレデリック・ダグラスがアメリカに与えた影響を分析している。ダグラスはメリーランド州ボルチモアの所有者の下から逃亡した元奴隷で、『フレデリック・ダグラス自伝』を発表し、奴隷制廃止運動に尽力した。

チママンダ・ンゴズィ・アディーチェ著『アメリカーナ』

『アメリカーナ』

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オバマ前大統領はこう書いている。

「世界有数の現代作家が描いたこのアメリカとイギリスに渡った2人のナイジェリア人の物語は、人種と帰属意識、海外移住をしたアフリカ人の海外体験、自分のアイデンティティーやホームと呼べる場所探しといった普遍的な課題を描いている」

Ben Rhodes著『The World As It Is』

『The World As It Is』

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オバマ前大統領はこう書いている。

「ベンにアフリカの血が流れていないのは事実だ。だが、彼のようにわたしの見た世界を見られる人はまずいないだろう。ベンは最初の大統領選のキャンペーンからわたしと一緒にいた数少ない人間の1人だ。その回顧録は、わたしたちが外交政策にどうアプローチしたかを振り返る最もスマートな考察の1つであり、8年間ホワイトハウスでアメリカ国民に仕えるということがどういうことなのか、最も説得力あるストーリーの1つだ」

Valeria Luiselli著『Lost Children Archive』

『Lost Children Archive』

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ニューヨークからアリゾナまで、ロードトリップに出た家族の物語。親子の間の緊張が次第に高まっていく中、メキシコとの国境で移民をめぐる危機が発生し、一家にも影響を及ぼし始める。

David Treuer著『The Heartbeat of Wounded Knee: Native America from 1890 to the Present』

『The Heartbeat of Wounded Knee: Native America from 1890 to the Present』

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それぞれの部族の文化の興隆から土地収用、強制された同化、抵抗運動まで、ネイティブ・アメリカンの人々の歴史をまとめた1冊。

マキシーン・ホン・キングストン著『チャイナタウンの女武者』

『チャイナタウンの女武者』

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『チャイナタウンの女武者』で、中国系アメリカ人である著者は自身の家族の物語や自身の成長体験、中国の古い伝説を紡ぎ合わせている。

Bryan Washington著『Lot: Stories』

『Lot: Stories』

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テキサス州ヒューストンを舞台に、ゲイの少年やハリケーンで被災した家族、グアテマラ人の少女の面倒を見る麻薬の売人など、さまざまな事情や背景を持つ人々が家と呼べる場所を見つけるまでの物語。

Sarah M. Broom著『The Yellow House』

『The Yellow House』

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これはニューオーリンズの放置された地域にある著者の家についてのストーリーであり、アメリカの人種問題や格差に関する記録でもある。

ミシェル・オバマ著『マイ・ストーリー』

『マイ・ストーリー』

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「間違いなくお気に入り!」とオバマ前大統領は2018年、フェイスブックに自身の好きな本のリストを投稿した。リストには、ベストセラーとなった妻の回顧録も含まれていた。

Albert Woodfox著『Solitary』

『Solitary』

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著者アルバート・ウッドフォックスは、身に覚えのない犯罪を犯したとしてルイジアナ州にある「アンゴラ」刑務所の窮屈な独房に40年以上閉じ込められた自身の体験を共有している。

コルソン・ホワイトヘッド著『地下鉄道』

『地下鉄道』

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ジョージア州の綿花プランテーションでひどい扱いを受ける奴隷少女コーラの物語。ある日、友人から地下鉄道の話を聞いたコーラは、人生を変える決断をする。

トニ・モリスン著『ソロモンの歌』

『ソロモンの歌』

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モリスンは、1993年にノーベル文学賞を受賞したアフリカ系アメリカ人の人気作家。

オバマ前大統領は2019年8月、この本について「トニ・モリスンの作品は間違いない。ビラヴド、ソロモンの歌、青い眼が欲しい、スーラなど、全てがずば抜けている。読んで良かったと思うはずだ」と書いている。

Sarah Smarsh著『Heartland: A Memoir of Working Hard and Being Broke in the Richest Country on Earth』

『Heartland: A Memoir of Working Hard and Being Broke in the Richest Country on Earth』

Goodreads.com

エイミー・ゴールドスタインの『ジェインズヴィルの悲劇:ゼネラルモーターズ倒産と企業城下町の崩壊』やJ・D・ヴァンスの『ヒルビリー・エレジー:アメリカの繁栄から取り残された白人たち』といった作品同様、『Heartland』はアメリカの美しくも悩ましい脱工業化による衰退を描いている。

Colson Whitehead著『The Nickel Boys: A Novel』

『The Nickel Boys: A Novel』

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ジム・クロウ法時代に設立され、2011年に閉鎖された実在の男子校をベースとした、"悪い子を良い子に変える"とうたう学校へ送られた若い黒人少年の物語。オバマ前大統領はこの本を「必読書」と呼んだ。

Isabel Wilkerson著『The Warmth of Other Suns: The Epic Story of America's Great Migration』

『The Warmth of Other Suns: The Epic Story of America's Great Migration』

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ピュリッツァー賞を獲得した著者イザベル・ウィルカーソンが、非常に重要だがあまり知られていないアメリカの歴史 —— 1915年から1970年にかけて、黒人たちが南部から北部や西部へと移り住んだ —— を描いた作品。

Jacqueline Woodson著『Brown Girl Dreaming』

『Brown Girl Dreaming』

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若者向けのこの本は7つの詩で構成されていて、ジム・クロウ法の影響がまだ感じられる、公民権運動の広まりつつある時代にアフリカ系アメリカ人として育つことがどういうことだったのか、著者自身のストーリーがシェアされている。

シェーン・バウアー著『アメリカン・プリズン』

『アメリカン・プリズン』

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2014年、ジャーナリストのシェーン・バウアーは潜入取材のため、ルイジアナ州にある民間刑務所の刑務官の仕事に就いた。そうして書き上げた記事は、アメリカ国内で利益追求型刑務所について大きな議論を呼び起こした。『アメリカン・プリズン』でバウアーは、民間刑務所についてさらに掘り下げ、アメリカの奴隷制度廃止後にこうした刑務所が果たしてきた役割を解説している。

W.E.B. デュボイス著『黒人のたましい』

『黒人のたましい』

Target

歴史家で公民権運動の活動家、社会学者でもあるデュボイスの『黒人のたましい』は、アフリカ系アメリカ人の文学史と社会学における重要な作品だ。

Valerie Jarrett著『Finding My Voice』

『Finding My Voice』

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オバマ前大統領の元上級顧問の回顧録。シカゴで若き日のミシェルの就職面接をした時から2人の信頼できる相談役、友人となるまで、オバマ夫妻との長きにわたる関係を描いている。

Mitch Landrieu著『In the Shadow of Statues: A White Southerner Confronts History』

『In the Shadow of Statues: A White Southerner Confronts History』

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南北戦争時代の南部「アメリカ連合国」の指導者や将軍などの像を撤去した元ニューオーリンズ市長である著者ミッチ・ランドリュー は、アメリカの人種問題を語り、白人はこの国の過去と向き合うべきだと主張する。

[原文:21 books Barack Obama says you should read if you want to become an authority on race relations in the US

(翻訳、編集:山口佳美)

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