米電気自動車大手テスラが画期的な新型車載電池を導入する。民間初の有人ロケット打ち上げにも成功したイーロン・マスク最高経営責任者(CEO)の「次の一手」に多くの市場関係者が注目している。
Hollis Johnson/Business Insider
テスラが近々、耐用距離100万マイル(約160万キロ)を超える新型車載電池をお披露目する模様だ。ウェドブッシュ・セキュリティーズのアナリスト、ダン・アイブスとストレッカー・バッケがクライアント向けのレポート(6月1日付)で指摘している。
「この新たな車載電池にはかなり先進的なテクノロジーが使用されており、全天候・全地形対応で、耐用年数は数十年におよぶ。テスラのエコシステムにおける新たなマイルストーンになる」
「理論上、この車載電池は電気自動車の走行可能距離を100万マイルまで引き延ばし、投資利益率(ROI)と環境性の視点から従来型のガソリン自動車と比べたときに大きな前進となるだろう」
ロイターは5月、耐用距離100万マイル、現行のものより低コストな電気自動車向け車載電池をテスラが2020年あるいは2021年に導入すると報じていた。
テスラは投資家・アナリスト向けに近未来の車載電池技術にフォーカスした説明会の開催を計画している。イーロン・マスク最高経営責任者(CEO)によると、説明会は2回に分けて行われ、初回は6月にビデオカンファレンスの形で行うという。
この10年間、車載電池の製造コストは下がり続けてきたが、いまもなお電気自動車のなかで最も高価な部品であることに変わりはない。
米調査会社ケアン・エナジー・リサーチ・アドバイザーのレポート(2019年)によると、テスラが採用している円筒形電池は、ポルシェやシボレー、BMWが採用するパウチ型電池より低コストという。同レポートは、車載電池の価格は今後10年間下がり続けると予測している。
ウェドブッシュのダン・アイブスは冒頭のレポートでこう指摘している。
「テスラの車載電池におけるイノベーションでもうひとつ重要なのは、そしてウォール街が最も注目しているのは、製造コストが1キロワット時あたり100ドルのラインを下回ることができるか、という点だ。もし実現できれば、テスラは現行車種あるいは今後発売する車種について、相当な弾力性をもった価格設定が可能になるだろう」
(翻訳・編集:川村力)