アップルのティム・クック最高経営責任者(CEO)。新型コロナウイルスは同社にどんな影響を与えたのか。
Stephen Lam/Reuters
- 世界的な外出自粛の動きを受けて、アップルのAppStoreが大きな成長をみせている。
- モルガン・スタンレーによると、AppStoreの5月売り上げは前年同月比39%増、2017年4月以降で最大の伸びとなった。
- 2020年第2四半期の売り上げは、6月4日時点でモルガン・スタンレーの予測のほぼ倍増。
モルガン・スタンレーの調査レポートによると、新型コロナウイルスの影響でiPhoneの需要は減っているものの、AppStoreの売り上げはここ数年で最大の伸びを示しているという。
モルガン・スタンレーのアナリスト、ケイティ・ヒューバティによると、米調査会社センサータワー(Sensor Tower)のデータから、AppStoreの5月の売り上げは前年同月比39%増、2017年4月以降で最大の伸びを記録したことが明らかになった。
新型コロナウイルスの影響で世界中で外出自粛の動きが広がったことが、アプリ市場への追い風になった模様だ。
ヒューバティによると、2020年第2四半期(4〜6月)の売り上げは6月4日時点で前年同期比35%増、6月末までに18%増としていたモルガン・スタンレー予測のほぼ2倍に達している。
モルガン・スタンレーは以前、AppStoreの売り上げの伸びは4月にピークを迎えると予測していた。ところが、「より多くの時間を室内で過ごすことなど、ニューノーマルのなかで(少なくとも短中期的に)高水準のエンゲージメントが続いている」(ケイティ・ヒューバティ)という。
同社は、AppStoreの第2四半期の売り上げを前年同期比32%増に、アップルの目標株価を326ドルから340ドルに、それぞれ上方修正している。
アップルにとってAppStoreの好調は良いニュースだ。同社の2020年決算年度の第2四半期決算(1〜3月)は、iPhoneの売り上げが前年同期比7%減と苦しみ、Apple MusicやApple TV+といったサービス、Apple Watchのようなウェアラブルデバイスの売り上げで相殺する形となり、伸びを欠く内容だったからだ。
また興味深いことに、中国ではロックダウンの解除後もAppStoreの売り上げは増え続けているという。モルガン・スタンレーのヒューバティは、「ロックダウンの緩和が必ずしもAppStoreの需要減につながるわけではないことを示している」とレポートで指摘している。
(翻訳・編集:川村力)