スマホ供給サイドの危機が、需要サイドにも波及している。
REUTERS/Issei Kato
2020年、世界スマートフォン出荷台数は前年比11.9%減の12億台に落ち込む模様だ。調査会社IDCが最新予想として発表した。
2020年第1四半期(1〜3月)は前年同期比-11.7%で、史上最悪の出荷台数減を記録。上半期(1〜6月)も同18.2%減と、大幅な減少が見込まれている。
IDCは、新型コロナウイルスの消費支出への影響は当面続くとみており、スマホ出荷台数の回復は2021年第1四半期ごろまでかかると予想している。
IDCの世界スマホ出荷台数に関する予測。オレンジ色が2020年5月、黄色が2020年2月予測。
出典:IDC Quarterly Mobile Phone Tracker, May 2020
IDCシニアアナリストのサンギーティカ・スリバスタバ氏は、市場の現状についてこう分析する。
「供給サイドの危機から始まった問題が、世界的な需要サイドの問題に発展した。世界中でロックダウンが広がり失業率が上昇したことで、消費者マインドが冷え込み、生活必需品の消費が優先されるようになった。そのため、短期的にスマホへの支出にも影響がおよんでいる」
スリバスタバ氏は、今後の回復の見通しについて、「予想される2021年の世界スマホ市場の回復のきっかけとなり、なおかつけん引役となるのは『5G』」とも指摘している。
(文:川村力)