2015年公開の「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
Warner Bros.
- 夏の映画シーズンは、コロナウイルスのパンデミックの影響で混乱している。
- クリストファー・ノーランの「TENET テネット」は、アメリカで7月、日本では9月の公開予定に変更はない。
- 過去20年間の夏の映画を振り返り、その年の最高の映画を選んでみた。
通常であれば、夏の映画シーズンはすでに始まっているはずだ。
だが、コロナウイルスのパンデミックのために全米の映画館が閉鎖されているため、作品の公開も遅れている。ただし、クリストファー・ノーラン監督の「TENET テネット」は、7月17日の公開予定に今のところ変更はない。
劇場に行けないこの時に、過去の偉大な「夏映画」を振り返ってみよう。「アベンジャーズ」のようなスーパーヒーロー大作、「シュレック」のようなアドベンチャーアニメ、そして「スーパーバッド」のようなR指定コメディは、傑作揃いの中でも際立っている。
今回は夏映画ということで、5月から8月に公開された映画を対象とした。つまり、「アベンジャーズ/エンドゲーム」と「ワイルド・スピード MEGA MAX」はともに4月公開なので、すばらしい映画ではあるが、選考から除外されている。
では、2000年以降の最高の夏映画を見てみよう。
(公開日はいずれもアメリカでのもの)
2000年「グラディエイター」
Universal
公開日:2000年5月5日
世界興行収入:4億6000万ドル
製作費:1億300万ドル
リドリー・スコット(Ridley Scott)監督の「グラディエーター」は、作品賞を含む5つのアカデミー賞を受賞しました。スコット・トビアス(Scott Tobias)はガーディアンで「すばらしい夏の映画であり、新世紀における最も価値のない作品賞受賞作である」と主張した。最初の部分には同意しよう。しかし、あなたがオスカー受賞についてどう考えようとも、この映画は興行収入でセンセーションを巻き起こし、確かに観客を楽しませてくれた。
2001年「シュレック」
DreamWorks
公開日:2001年5月18日
世界興行収入:4億8700万ドル
製作費:6000万ドル
今でも数え切れないほどのミームを生み出している映画で、そのほとんどがスマッシュ・マウスの楽曲に関連している。「シュレック」は2001年に始まったアカデミー長編アニメ映画賞を最初に受賞した作品だ。
2002年「スパイダーマン」
Columbia Pictures
公開日:2002年5月3日
世界興行収入:8億2500億ドル
製作費:1億3900億ドル
2000年の「X-MEN」は、現代のスーパーヒーロー映画ブームの火付け役となったが、本格的に人気を博したのはその2年後の「スパイダーマン」だった。この映画の興行収入は、今でもソニー・ピクチャーズの最高記録だ。
2003年「パイレーツ・オブ・カリビアン/呪われた海賊たち」
Disney
公開日:2003年7月9日
世界興行収入:6億5400万ドル
製作費:1億4000万ドル
このシリーズは貧弱な続編によって汚されているが、オリジナルの「パイレーツ・オブ・カリビアン」は、これまでにない、すばらしい夏の冒険活劇だ。
2004年「俺たちニュースキャスター」
Gemma LaMana / Paramount Pictures
公開日:2004年7月9日(日本では劇場未公開)
世界興行収入:9000万ドル
製作費:2600万ドル
この映画は、過去20年間で最高のコメディ映画の一つであり続けているので、2004年の夏のベスト映画に選ばれても不思議ではない。
2005年「スター・ウォーズ エピソード3/シスの復讐」
Lucasfilm
公開日:2005年5月19日
世界興行収入:8億6800万ドル
製作費:1億1300万ドル
「シスの復讐」は偉大な映画とは言えないが、「スター・ウォーズ」の新三部作の中では最高だ。 アナキン・スカイウォーカーがダースベイダーに変わった姿を示す三部作のフィナーレとして、それはまさに2005年の夏の一大イベントだった。
2006年「ワイルド・スピードX3 TOKYO DRIFT」
Universal
公開日:2006年6月16日
世界興行収入:1億5900万ドル
製作費:8500万ドル
「TOKYO DRIFT」は「ワイルド・スピード」シリーズ最高の映画ではないし、公開の時点でもそうではなかった。しかし、その評価以上の作品であり、このシリーズの国際的な大ヒットの基礎を築いたと言える。また、ファンに人気のキャラクター、サン・カン(Sung Kang)演じるハンも登場する。ファンは彼が死んだと思っているが、2021年の「ワイルド・スピード/ジェットブレイク」で刺激的な再開を果たすだろう。
2007年「スーパーバッド 童貞ウォーズ」
Columbia Pictures
公開日:2007年8月17日
世界興行収入:1億7000万ドル
製作費:2000万ドル
「スーパーバッド」では、エマ・ストーン(Emma Stone)、ジョナ・ヒル(Jonah Hill)、マイケル・セラ(Michael Cera)(彼はテレビドラマの『アレステッド・ディベロップメント』ですでに印象的な笑いを提供していた)がそのキャリアをスタートさせた。それだけでも記憶に残る映画だが、作品自体もすばらしいティーン・コメディだ。
2008年「ダークナイト」
Warner Bros.
公開日:2008年7月18日
世界興行収入:10億ドル
製作費:1億8500万ドル
史上最高のスーパーヒーロー映画は、2008年の最高の夏映画でもある。「ウォーリー」という競合作もあったが、スーパーヒーロー映画に与えた「ダークナイト」のインパクトはとても大きく、現代のキネマティック・ユニバースの時代から見ると、忘れ去られた時代の失われた映画のように感じてしまう。そして、ヒース・レジャー(Heath Ledger)がアカデミー賞を受賞したジョーカーの演技は、信じられないほどすばらしい。
2009年「イングロリアス・バスターズ」
The Weinstein Company
公開日:2009年8月21日
世界興行収入:3億2100万ドル
製作費:7000万ドル
ヒトラー暗殺を描いたクエンティン・タランティーノ(Quentin Tarantino)のオルタネート・ヒストリー映画は、彼の最高傑作の一つであり、「スタートレック」と「第9地区」を与えてくれた夏を締めくくった作品にもなった。その好評は、オスカー受賞者のクリストフ・ヴァルツ(Christoph Waltz)のスリリングな裏切りの演技のおかげでもある。
2010年「トイ・ストーリー3」
Pixar
公開日:2010年6月18日
世界興行収入:10億6000億ドル
製作費:2億ドル
誰しもお気に入りの「トイ・ストーリー」映画があるが、3作目がそうだというのは説得力がある。「トイ・ストーリー2」から11年後に公開された「トイ・ストーリー3」は、アンディとおもちゃたちの関係を、満足のいく感傷的な方法で締めくくる、涙なくしては見られない映画だ。
2011年「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART 2」
Warner Bros.
公開日:2011年7月15日
世界興行収入:13億ドル
製作費:1億2500万ドル
「シスの復讐」と同様に、本作は多くの人々の子ども時代(と人生)の重要な一部となったファンタジー・アドベンチャー映画に終止符を打った一大イベントだった。
2012年「アベンジャーズ」
Marvel Studios
公開日:2012年5月4日
世界興行収入:15億ドル
製作費:2億2000万ドル
「アベンジャーズ」は、マーベル・シネマティック・ユニバースの第一期4年間の集大成だった。
マーベルは近年、どうすればうまくいくのかを発見したので、今振り返ると、このシリーズの最初の数本は、実験のように見えるかもしれない。昨年の「エンドゲーム」と比較すると、最初の「アベンジャーズ」映画は子どもっぽく感じられる。しかし、当時は本当に印象的だった。
2013年「死霊館」
Warner Bros.
公開日:2013年7月19日
世界興行収入:3億1900万ドル
製作費:2000万ドル
ホラー映画は(アメリカでは)一般的に「夏映画」ではないが、ジェームズ・ワン(James Wan)監督の「死霊館」は例外だ。彼はすでに「ソウ」シリーズでホラーファンを喜ばせていたが、「死霊館」では拷問の代わりに不気味なゴーストストーリーを描いた。この作品は恐ろしくスリリングで、「死霊館」シリーズ成功の火付け役となった。
2014年「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」
Marvel Studios
公開日:2014年7月11日
世界興行収入:7億7200万ドル
製作費:1億7000万ドル
「インフィニティ・ウォー」や「エンドゲーム」といった壮大なスケールの作品と比べても、「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」は、マーベル・シネマティック・ユニバースの中で最も面白く、最もユニークな作品であると言っていいだろう。
2015年「マッドマックス 怒りのデス・ロード」
Jasin Boland/Warner Bros.
公開日:2015年5月15日
世界興行収入:3億7500万ドル
製作費:1億5000万ドル
2015年夏の最高傑作というだけでなく、過去10年間で最高のアクション映画だ。今作は、シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)の強烈な演技が盛り込まれた映画で、マックス(Tom Hardy)の助けも少し借りている。ジョージ・ミラー(George Miller)監督はオスカーを取るべきだった。
2016年「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」
Marvel Studios
公開日:2016年5月6日
世界興行収入:11億5000万ドル
製作費:2億5000万ドル
「シビル・ウォー」は、同名のコミックをマーベル・シネマティック・ユニバースのために映画化したものだ。
監督のルッソ兄弟は「ウィンター・ソルジャー」でキャプテン・アメリカに再び脚光を浴びさせ、その後、「シビル・ウォー」「インフィニティ・ウォー」「エンドゲーム」で成功を収め続けている。
しかし、この映画の最も印象的な点は、「アベンジャーズ映画」であると同様に「キャプテン・アメリカ映画」であり、キャップとバッキーの関係がストーリーの中心になっていることだ。
2017年「ワンダーウーマン」
Warner Bros.
公開日:2017年6月2日
世界興行収入:8億2100万ドル
製作費:1億4900万ドル
「ワンダーウーマン」は、後の「キャプテン・マーベル」や「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」のような女性が主人公となるスーパーヒーロー映画の道を切り開いた。
パティ・ジェンキンス(Patty Jenkins)監督は原作を理解するだけでなく、この映画が観客にとってどんな意味があるのかも理解していた。それが映画全体に輝きを与え、ガル・ガドット(Gal Gadot)のすばらしい演技によってさらに高められている。
面白くて、チャーミングで、アクション満載の「ワンダーウーマン」は、観客が夏の映画やスーパーヒーロー映画に求めるべきもののすべてを備えている。
2018年「ミッション:インポッシブル/フォールアウト」
Paramount
公開日:2018年7月27日
世界興行収入:7億9100万ドル
製作費:1億7800万ドル
「ミッション:インポッシブル」シリーズの第6作「フォールアウト」は、シリーズの中で最高の興行収入を記録した映画であり、最高の作品だ。トム・クルーズ(Tom Cruise)とクリストファー・マッカリー(Christopher McQuarrie)監督は、息をのむような方法でこのシリーズを新たな限界に押し上げている。クルーズは完璧なシーンを撮るために、足首を骨折しながらも、飛行機から100回以上飛び降りた。
2019年「ジョン・ウィック:パラベラム」
Lionsgate
公開日:2019年5月17日
世界興行収入:3億2600万ドル
製作費:7500万ドル
「ジョン・ウィック」シリーズは、各作品が口コミで人気が広がり、いずれも前作よりも多くの利益を上げている珍しいシリーズだ。回を重ねるごとに良くなっているとも言える。第3作の「パラベラム」は、ノンストップ・アクション映画だ。
[原文:The best summer movie of every year since 2000]
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)