コロナで進む“ぼっち飯”、身を寄せ合えないカウンター席

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大阪にある担々麺の店では、カウンター席の両サイドにアクリル板の仕切りを設置して飛沫対策。

読者より提供。

緊急事態宣言が明けたのに伴い、徐々に飲食店が営業を再開しつつある中、飲食店の1人席の感染防止対策が注目されている。

コロナ以前は、多くの店舗のカウンター席では、隣の客と肩を並べていた。筆者もよく1人で寿司屋やラーメン屋などのカウンター席で食事する機会があるが、ごく普通のことで特に気にもしていなかった。

ところが、この数カ月間に世界が一変した。店内で咳をする人がいるとついつい目をやってしまい、また「隣の客の息はかからないだろうか」と常に人との距離を意識するようになってしまった。

飲食店で導入が進むカウンター席の仕切り

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仕切りカウンター席といえばラーメンチェーン「一蘭」の「味集中カウンター」だろう。

出典:一蘭の公式ホームページより。

現在多くの飲食店で見受けられる対策が、座席の1席空け、座席自体の減少、そして「仕切り」だ。カウンター席が満席でも、席の両サイドに仕切りを置くことで、客の飛沫が隣の人にかかることを防ぐ。

コロナの前から、1人席における「仕切り」で最も有名なのがラーメン「一蘭」。「味集中カウンター」として特許も取っており、早くから店舗で導入されてきた。

一蘭の公式ホームページによると、衛生面での対策ではなく、料理人の見た目の印象で味が左右されないために吉富学社長が考案したという。

吉冨は「作り手の雰囲気を一切排除し、お客様に一杯のラーメンのみと向き合い、周りを一切気にせず召し上がっていただける環境」を考案。那の川店では、目の前に客席と厨房をさえぎる暖簾を設置いたしました。それが味集中システムのはじまりでした。 その後、博多店がオープンする際に、初めて隣席を仕切る「仕切り板」が導入され、徐々に進化し現在の形となっていきました。(公式ホームページより)

こういった理由による仕切り板の設置であったのだが、結果的に今は衛生面での対策にもなり、客の安心・安全に一役買っている。

スシロー新店の1人席がソーシャルディスタンス感凄いんだが…。めっちゃ寿司に集中出来る…。

6月上旬、ツイッター上で回転ずしチェーン大手の「スシロー」を訪れた人が、個室のようなカウンター席が両サイドを壁で仕切られた1人席を「ソーシャルディスタンス感が凄い」とつぶやき、注目を浴びた。

ツイッターに投稿された写真にあるスシローの1人席は、「テレワークに集中できるのではないか…」とすら、思わされるほど完全な「個室感」のあるものだった。

スシローに来たはずが一蘭みたいな席に案内されたぞ…

話題になったスシローのこの店舗だが、実は特殊なケースの"お一人様席"だった。スシローの担当者は、話題になったことに戸惑ったという。

「どの店舗かは明かせないのですが、実はこの話題になった1人席は、特殊なケースで作られました。建物の構造上、こういう形の席になっただけで、この店舗で全てのカウンター席がこのようになっているわけではありません」

現状、スシローはカウンター席においては、1席空きで対応している。

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スシローの墨田区にある店舗では、1席空けで対応していた。

撮影:大塚淳史

カウンター仕切りは標準化する?

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くら寿司の池袋東口店ではカウンター席の仕切りの設置を進めている。

読者より提供。

同じく回転ずしチェーン大手の「くら寿司」は今回の新型コロナを受け、カウンター席に、客一人ごとの、仕切り板の設置をしている。

東京都内にある、くら寿司の池袋東口店では、カウンター席を1席ずつ空けるのと同時に、仕切り板を設置していた。

くら寿司の担当者は

「関西圏ではほぼ全店で導入していて、関東圏でも順次導入しているところです。飛沫感染防止のために、ゴールデンウィーク前くらいから導入を始めました。新型コロナが収束しても当面取り払わないです。(導入費用は)アクリル板自体が1枚数百円程度なのでそこまでかかりません」

と説明した。

大阪市北区にある担々麺の店では、透明アクリル板でカウンターを仕切っていた。店を訪れていた30代の女性は、飲食店の感染防止対策がどうしても気になるという。

「ラーメン店は特に店内が狭いことが多いので、仕切り板があると安心します。店によっては全く対策してないところもまだ多いです。仕切り以外で気になるのが、自由に食べられる、カウンターに置きっぱなしの食べ物ですね。客が同じところから取りますし」

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飲食店で仕切りが続々と導入されてる。写真は、大阪市北区にある担々麺の店。

読者より提供。

まだ新型コロナは完全に収束しているとは言えないだけに、細かい対策をすることで客の安心をつかめ、客足がまだ回復していない飲食店に効果があるかもしれない。

他にも、町中華チェーン「餃子の王将」の大阪市北区にある店舗では、本を並べる時に支えるブックエンドとプラスチック板で、手作り仕切りがあるのを見かけた。

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大阪市北区にある「餃子の王将」の店舗では書棚につかう仕切りとプラスチック板を組み合わせた手作りだった。

読者より提供。

仕切りは飲食業界だけではなく、スポーツジムや学校、オフィスでも導入が進んでいる。中でも食事の仕切り導入は、一人席でも店で生まれるふとした会話や、店のざわめきも楽しむ——といった概念を覆す。

とはいえ、たとえ新型コロナが収束したとしても、次また別のウイルス感染症が拡大しないとは誰にも言い切れない。あらゆる場所に間仕切りもまた、新しい生活様式になっていくのだろうか。

(文・大塚淳史)

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