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- この記事はビジネスインサイダー・インテリジェンスのプレミアム・リサーチ・レポート「ヘルスケア分野におけるIT大手(Big Tech in Healthcare)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから
DXの後押しで医療とITの歩み寄りが加速
IT大手4社が手掛ける医療関連の技術やサービス。レポートでは各社の強みや弱点を分析し、医療業界に与えている影響を解説する。
Business Insider Intelligence
グーグルを傘下にもつアルファベット、アマゾン、アップル、マイクロソフトのIT大手4社がヘルスケア市場への進出を加速させており、それぞれが特定の領域に狙いを定めて動いている。
デジタルトランスフォーメーション(DX)の本格化が必須となっている米国の医療機関や医療関連組織にとって、データの蓄積と技術力を持つIT大手4社は魅力的な連携先だ。
病気やコストの増加、医療サービスにもスピードと利便性を求める利用者の意識の変化など、医療を取り巻く環境は変化しており、医療関連組織は対応を迫られている。さらに、10年ほど前から普及が進んできた電子カルテ(EHR)を組み込むために、インフラやIT戦略の再構築が求められている。
IT大手4社は、これらの課題を解決する技術を提供している。運営の効率化を促すテクノロジーの導入は、医療機関にとってコスト削減や収入増につながる。
医療に変革を起こすための取り組みを強化しているIT企業。独自に、または提携先と協働で開発している新たなツールは、消費者、医療提供者、保険会社のそれぞれに大きな恩恵をもたらす可能性を秘めている。
アメリカの成人の大部分は遠隔医療を試してみることに肯定的だ。
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さらには4社それぞれが、医療のなかでも特定の領域に的を絞りつつある。コンシューマー向けのウェアラブルデバイスと健康情報管理システムの開発を止めたマイクロソフトは医療機関向けのクラウドサービスに注力している。アップルは臨床研究にウェアラブルデバイスを役立てる取り組みを発展させている。アルファベットが得意とするAI技術は、プレシジョン・メディシン(精密医療)の研究開発に活用されている。そしてアマゾンは、医薬品の宅配、医療用品の配送、遠隔医療など、幅広い分野に進出している。
これらのIT企業によるイノベーションは、医療分野の関係者にとって多くのチャンスを生み出す一方で、既存組織の活動領域を侵食する脅威ともなっている。
本レポートでビジネスインサイダー・インテリジェンスは、IT大手4社による医療関連の技術と各社の強みを概観し、それぞれがどの領域に注力しているのかを解説する。そして、既存の医療関係者への利害得失を明らかにしながら、どのように医療業界全体を変革しつつあるのかを見る。最後に、4社が存分にそのポテンシャルを発揮できていない理由について触れる。
本レポートが言及する企業:
AbbVie, Adidas, Aetna, Allscripts, Alphabet, Amazon, Ancestry, Apple, Ascension, Berkshire Hathaway, Blue Cross Blue Shield, Bright Health, Calico, Cerner, Cleveland Clinic, Clover Health, Color, CVS, CVS Caremark, Deepmind, Devoted Health, Dexcom, Duke University Health, Eli Lilly, Emory Healthcare, Epic, Fitbit, Giant Eagle Pharmacy, Gilead Sciences, Google, GSK, Haven, Health Navigator, iRhythm, JPMorgan Chase, Mayo Clinic, Meditech, Microsoft, Moorfields Eye Hospital, New York-Presbyterian, Nike, Noom, Northwestern Medicine, Novartis, Nuance, Oasis Medical Group, Onduo, Optum, Orbita, Otsuka, Pfizer, PillPack, Premera, Providence St. Joseph Health, Quest Diagnostics, ResMed, Rite Aid, Sanofi, Seattle Children's Hospital, St. Jude Children's Research Hospital, Stanford University, Suki, Summit Pacific Medical Center, Surescripts, UnitedHealthcare, UnitedHealth Group, University of California, University of Chicago, Verily Life Sciences, Walgreens.
本レポートのキーポイント:
アメリカの医療関連組織の大半はクラウド技術を重視している。
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- アルファベット、アマゾン、アップル、そしてマイクロソフトは医療分野への進出を拡大している。それぞれが特定の領域に注力しながら革命的な技術やサービスの開発を目指している。
- マイクロソフトは医療機関向けのクラウドサービス開発に焦点を当て、アマゾンとグーグルと覇権を争っている。アップルは臨床研究でのウェアラブルデバイス活用を発展させている。アルファベットが得意とするAI技術はプレシジョン・メディシン(精密医療)の研究開発に役立てられている。アマゾンは調剤、バーチャルケア、遠隔医療の領域を大きく変えようとしている。
- IT大手の参入による恩恵は数多い。その技術は、医療機関の相互運用性を高め、データ共有の際に発生するギャップを埋めている。保険会社は加入者の健康情報データの収集をより総合的に行えるようになり、製薬企業はより効率的に新薬を開発できるようになっている。
- 一方で、IT大手の侵食は既存プレイヤーの脅威ともなっている。アマゾンによる処方薬宅配サービスの登場で、実店舗の薬局は客離れを食い止めるための努力を強いられている。アルファベットが構築しつつあるエコシステムは電子カルテ(EHR)分野のトップ企業を脅かすような存在になるかもしれない。
- IT大手が順調に医療分野で成長できるかどうかは、未知数な部分もある。個人データの取り扱いに関してユーザーから不信感を持たれていることが障壁となるかもしれず、サイバーセキュリティの危機が頻発すれば、医療機関がIT技術への投資を控える可能性もある。
本レポートの完全版では:
ビジネスインサイダー・インテリジェンスによるレポート「ヘルスケア分野におけるIT大手」
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- アルファベット、アマゾン、アップル、マイクロソフトの各社による、ヘルスケア分野での主なプロジェクトや計画について解説する。
- アメリカの医療システムの不足部分を、その先端技術で補うようにして参入してきているIT大手。新規参入の取っ掛かりとなっている医療業界の課題について説明する。
- 既存の医療機関や関連組織のなかで、IT大手の進出によって恩恵を受ける組織、脅かされる組織を明らかにする。
- IT大手の医療分野進出を阻む障壁を明らかにする。
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(翻訳・野澤朋代、編集・佐藤葉)