火星へ向けた宇宙船の開発を加速するため、従業員に開発拠点への転居を求める

スペースXの設立者兼CEO、イーロン・マスク。5月30日。

スペースXの設立者兼CEO、イーロン・マスク。2020年5月30日。

Kim Shiflett/NASA

  • CNBCによると、イーロン・マスクはスペースX従業員への社内メールで、巨大宇宙船スターシップの開発を最優先事項として取り組んでほしいと訴えた。
  • メールではさらに、従業員に対してテキサス州ボカチカに移り住んでほしいということをほのめかした。そこにはスターシップの製造拠点があり、開発のスピードアップを狙ったものと見られる。
  • 5月29日には、スターシップの試作機が試験中に爆発した。スペースXがファルコン9ロケットで宇宙船クルードラゴンの打ち上げに成功する前日のことだった。

スペースX(SpaceX)のイーロン・マスク(Elon Musk)CEOは民間初の有人宇宙船を発射させた後、7000人以上の従業員に向けて、時間を無駄にしないように、と伝えた。

5月30日、スペースXは今後4カ月近く続くかもしれない歴史的なミッションで、2人の宇宙飛行士を国際宇宙ステーション(ISS)に送り込むことに成功した。だがその成功に酔いしれる間もなく、さっそく次の仕事に向けてマスクは従業員を鼓舞していると、CNBCが内部メールを入手し、報道した

マスクは従業員に対し、同社の巨大宇宙船「スターシップ(Starship)」の開発に全力を尽くすよう指示した。これは完全再利用可能な宇宙船で、有人月面着陸を目指すNASAの「アルテミス計画」で使用される可能性があり、火星まで最大100人を1度に運べるようにすることも検討されている。

報道によると「これからのスペースXの最優先事項は、スターシップになったと理解してほしい(クルードラゴンの帰還のリスク低減に関連することは除く)」とマスクはメールに記した。

Business Insiderはこのメールに関してスペースXに確認とコメントを求めたが、まだ返答はない。

5月29日、スターシップの試作機SN4が、燃焼試験の後に爆発した。

5月29日、スターシップの試作機SN4が、燃焼試験の後に爆発した。

LabPadre/YouTube

スターシップの試作機開発の初期段階では、失敗を重ねた。ロケットのタンクに液体窒素を充填するテストでは、タンクが爆発し、ロケットは跡形もなく消えた。直近の爆発事故は、ボブ・ベーンケン(Bob Behnken)とダグ・ハーレー(Doug Hurley)の2人を同社の別のロケット、ファルコン9で打ち上げる前日に発生した(このシステムはこれ以前に85回のミッションを成功させている)。

CNBCによると、マスクのメールには「スターシップの開発を急がねばならない」と書かれていた。

実物大のスターシップの発射はまだ行われていないが、「スターホッパー(Starhopper)」という小型試作機は、発射と着陸に成功している。

だが、軌道に向けて発射する前に、約20機の大型試作機を製造する必要があるだろうとマスクは語っている。

月、火星、さらにその先へ

月に着陸したスターシップの想像図。

月に着陸したスターシップの想像図。

SpaceX

マスクはスターシップの開発を促進するために、ロサンゼルスやフロリダで勤務する従業員に対し、スターシップの製造拠点となっているテキサスのボカチカで「長時間を過ごすことを検討してほしい」とメールを通して奨励した。(Business Insiderは以前、ボカチカにある「スペースXビレッジ」を管理運営する人材の募集が出ていることを紹介した。この施設には100の客室があり、パーティやバレーボール大会、ロッククライミングなども行える)。

2019年9月、ボカチカで開催されたスターシップのプレスイベントは、大きな注目を集めた。だがその開催直前にマスクはNASAのジム・ブライデンスタイン(Jim Bridenstine)長官からプレッシャーをかけられていた。長官はスターシップへの期待とともに、ドラゴンとファルコン9による商用宇宙飛行が「そろそろ始まってもいい頃だ」とツイートしたのだ。

ベーンケンとハーレーが軌道に到達した今、マスクはスペースXの全力をかけてスターシップの開発を進めるようだ。2020年代半ばには、NASAの「アルテミス計画」でスターシップが月に向かい、宇宙飛行士や貨物の輸送にあたる可能性もあるからだ。

6月5日のツイートでは、マスクは、2024年にはスターシップで火星へ初の有人飛行を実施したい考えがあることを認めた。これが火星への植民の第一歩になるのだろうか。

[原文:Elon Musk reportedly tells SpaceX's 7,000 employees in email to shift their focus to the rocket designed to eventually take people to the moon — and Mars

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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