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現役東大生が語る会社の選び方。「とりあえずコンサル」で本当にいいのか?

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東京大学の就活へのアンケートで、意外にも保守的なキャリア観が明らかになった。

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東大生はコンサル志望や大手志向が強く、ベンチャー企業や起業には消極的——。

こんな東大生のキャリア観が浮き彫りになったアンケート調査がある。

アンケートを行ったのはキャリア教育支援NPO「エンカレッジ」の東京大学支部。就活生への面談などを通じて、「とりあえずコンサル志望」という東大生に対し、自分の意思に基づいた進路選択を行うようにアドバイスをしているという。

エンカレッジで就活生への面談を行っている現役東大生らに、東大生のキャリア観や、理想的な進路選択について聞いた。

東大生の人気1位はコンサル

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東大生の志望業界はコンサルが17%で1位だった。

提供:エンカレッジ東京大学支部

エンカレッジは京都大学の学生により2013年に設立された。大学生らが運営し、全国72大学に支部がある。就活を経験した大学4年生らが就活生と1対1で面談したり、就活イベントを開催したりと、就活生をサポート。2021年卒業の就活生は約5万人が登録しているという。

エンカレッジの東大支部では、2021年春に卒業する東大生を対象にしたアンケート調査を2月中旬~4月初旬に実施。203人が回答した。

アンケートによると、東大生が志望する業界としては、1位が「コンサルティング・リサーチ」(17%)だった。

2位は「金融・保険・証券」で14%、3位は「商社・卸業」で11%。1位~3位の合計が全体の4割を超えた。

4位は「不動産・建設」が10%、5位は「インターネット・広告・メディア」が9%で続いた。

採用支援サービス・ディスコ社の「キャリタス就活2021就職希望企業ランキング」 では、人気上位を金融や保険、商社などが占めている。コンサルは23位の野村総合研究所が最高位なので、ここまでのコンサル人気は東大生特有のものと言えそうだ。

エンカレッジ東大支部の運営者は、コンサル人気についてこう分析する。

「汎用的なビジネススキルや知識が身につく業界として、コンサル業界の人気が高いようです。将来的な可能性を狭めたくないという思いも強いと感じます。

アンケート全体でみると、業界を志望した理由については『コミュニティーで話を聞いて興味を持った』など、周りから影響を受けたと考えられる回答が約3割。積極的に選択したというよりは、『周りもコンサルを志望しているから』と選ぶ人も多いと推定しています」

転職観でも保守的な東大生

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東大就活生は起業への意識は高くないことが分かる。

提供:エンカレッジ東京大学支部

転職が当たり前の世の中になったが、東大生は転職についてどう考えているのか?

「転職前提で就活をしていますか」という質問には、4割が「いいえ」と回答した。「転職が前提」と答えたのは3割強にとどまり、残り2割強は「分からない」と答えた。

また「就職後にどのようなキャリアパスを描いていますか」という質問では、「大手から大手に転職」が最も多く約3割だった。将来的な起業を考えているのは少数派。「大手から起業・独立」は12%、「ベンチャーから起業・独立」はわずか3%と少ない。

アンケートからは、東大の就活生が予想以上に保守的なキャリア観を持っていることがうかがえる。

実際はどうか。東大就活生の実態に詳しいエンカレッジで活動する現役東大生らにインタビューした。

エンカレッジでは就活生に対し、内定を得た大学4年生らが、メンターとして就職相談に乗っている。東大就活生のリアルを身近に見ている彼らの目に、後輩たちはどう映っているのか。

「とりあえずコンサル」でいいのか?

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エンカレッジ東京大学支部のメンバーとOBに、東大生のキャリア観について聞いた。

取材協力者提供

「安定を求める東大生が多いように感じますが、新型コロナの影響を見ていても、大企業でも安定はないと感じた就活生も多かったと思います。

『とりあえずコンサル』という東大生は多いですが、なぜコンサルなのか? コンサルだと転職しやすい理由はなにか? 高収入だからと言うけれど、いくら収入があればいいのか?

考えることが得意なはずの東大生でも、就職先については深く考えていないと感じています」

東大大学院修士2年・佐藤哲哉さん(25)は、東大生の「とりあえずコンサル」の背景をそう話す。

佐藤さんは上智大学理工学部を卒業後、東大大学院に進学し国際協力学を専攻している。在学中にコンサル2社で長期インターンを経験し、スウェーデンやカナダで留学したこともある。

佐藤さん自身はテーマパーク運営を手がける大手企業から内定をもらっており、2021年4月に入社予定だ。

「今一番やりたいこと」を重視

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エンカレッジ東大支部の支部長を務める佐藤さん。

撮影:横山耕太郎


「内定先の企業も、もちろん新型コロナの影響を受けています。会社の将来が心配になる報道もあったのですが、不安に思うだけではどうしようもない。

企業がどこまで耐えられるか内部留保の額を調べたり、今年のボーナスは出るのか社員に聞いてみたりすることで、内定先に大きなリスクはないと判断しました」

ちなみに、佐藤さんはIT系ベンチャー企業からも内定をもらっており、どちらに進むか迷ったという。

「いずれは経営者になりたいと考えているので、特に優秀な人材が多いベンチャー企業は魅力的でした。

ただ、今僕がやりたいことは、人を感動させること。将来性や市場価値という面で悩みましたが、来年からすぐにやりたいことに挑戦できる環境を選びました」

大手かベンチャーかではなく、どんな働き方をしたいかも重要な企業選択の軸だという。

「ベンチャー企業で長期インターンした経験から感じたのは、ベンチャー企業はすぐに大きな裁量権を持てる一方で、みんな走っている状態。振り落とされるということもあります。

大企業では規模の大きい仕事に携われ、教育面でも手厚いと思いますが、これまでは裁量を得るまでに時間がかかりました。

ただ、大企業であっても若いうちから仕事を任せる企業がニュースになるなど状況は変わってきていると感じています」

ベンチャーに入社「コロナはチャンス」

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東大支部の前支部長で、現在はベンチャー企業に勤務する高木さん。

撮影:横山耕太郎

2020年3月に東大を卒業した高木勇志さん(23)は、人材開発を行うベンチャー企業「エッグフォワード」に入社した。

「大手企業からも内定をもらっていましたが、経営に携わりたいと思いベンチャーを選びました。

東大生はインターンの参加や、選考を受ける企業数も少ない傾向があります。また同じゼミ生がどう思うかなど、企業ブランドを重視しがち。

ベンチャーを含めて、いろいろな企業を知ろうとしない人も多いと感じます」

大手企業の内定を断り、ベンチャー企業に就社した高木さんだったが、新型コロナの影響が直撃する中での入社となった。

「業績悪化は避けられませんでしたが、チャンスだと思ったんです。いつかは自分で事業を作る経験をしたいと思っているので、窮地から起死回生につなげられたら、いい経験になるなと」

学部時代は内定得られず

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東大修士2年の中村さん(左)。2021年春からメーカーに勤務する予定という。

撮影:横山耕太郎

「東大生が大手志向になるのは、育ってきた環境もあると思います。親が大手企業勤務という子も多いので、同じような環境を選択する傾向もあるのではないでしょうか」

消費財メーカーに内定している東大大学院修士2年の中村有里さん(24)はアンケートに表れた「保守的な東大生のキャリア観」についてそう話す。

中村さんは東大文学部を卒業後、大学院に進学し公衆衛生などを学んでいる。

学部時代も就職活動を行ったものの、希望する企業から内定は得られなかったという。

「『一人ひとりの心を大切に考える仕事』につきたいと漠然と考え、健康関連の企業や、シンクタンクなど受けました。

しかし、『志はすごいけど、すぐにはできない』と言われてしまいました」

大学院進学後はベンチャー企業でインターンを経験するなど、幅広く企業を見るようになり、結果的に「理想を追求して製品を生みだしていける」メーカーを志望するようになったという。

先に就職した学部時代の友人の間からは、「仕事が楽しくない」という声も聞こえてくる。

「生き生きと働くためにも、まずは自分のやりたいことを大切にしたい。やりたい事があれば、きっと後悔は少ないと思っています」

(文・横山耕太郎)

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