マイクロソフトのサティヤ・ナデラ最高経営責任者(CEO)。
REUTERS/Lucas Jackson
2014年にマイクロソフトのトップに就任して以来、サティア・ナデラCEOは時おり、自分自身の仕事の生産性を高めてくれる自社製ツールについて言及している。
新型コロナウイルスのパンデミックにより世界のありように決定的な変化が生まれ、市民の権利を主張するデモの嵐が吹き荒れるこの時代に、そうしたツールはとくに役立つのではないか。
ナデラは最近、米タイム誌の編集者エベン・シャピーロのインタビューに答え、「われわれは2年分のデジタル・トランスフォーメーションを(コロナ危機に際して)2カ月で経験した」とした上で、マイクロソフトを「何でも知っている風の会社ではなく、何でも学ぶ会社に変えていきたい」と語っている。
ナデラが日ごろから仕事で活用しているもので、あなたがアイデアを形にし、チームをまとめ、ビジネスを成長させるのに役立つ6つのツールを紹介しよう。
「iPhone Pro(アイフォーン・プロ)」
2015年、ナデラはマイクロソフトの主催するテクニカルカンファレンス「Microsoft Future Decoded」の基調講演で、日ごろから使っているプロダクトとサービスに触れた。ナデラはマイクロソフトのアプリで埋め尽くされた普通のiPhoneをスクリーンに投影して示し、それを「iPhone Pro」と呼んだ(上のツイート参照)。
WordやPowerPoint、Excelなど、マイクロソフトはiOS用のアプリを15種類以上出している。
「To Do(トゥドウ)」
マイクロソフトのタスク管理アプリ「To Do(トゥドウ)」。
Microsoft
マイクロソフトは2015年にタスク管理アプリ「ワンダーリスト(Wunderlist)」を買収し、「To Do(トゥドゥ)」に改称した。その名の通り、To Doリストの作成や確認、タスクをステップに分割してリマインダーを設定するなどの機能がある。情報はクラウド上に保存され、iOSとAndroid、Windowsなどアプリを問わず利用・同期できる。チームとのシェアも簡単。
「OneNote(ワンノート)」
マイクロソフトのデジタルノートアプリ「OneNote(ワンノート)」。
Microsoft
ナデラはタイム誌のインタビューで、お気に入りはデジタルノートアプリ「OneNote(ワンノート)」だと語っている。テキストや音声、動画ノートの作成、コンテンツのクリッピング、スタイラスペンや指を使ったアイデアの描画、さまざまなノートの共有機能がある。
「落書きしたり、メモしたり、何でもノートをとるのが好きなんだよ」(ナデラCEO)
「Teams(チームズ)」
マイクロソフトのビデオ会議アプリ「Teams(チームズ)」。
Microsoft
突然やって来たこのリモートワークの時代、Teams(チームズ)はライバルアプリのSlack(スラック)、Zoom(ズーム)、Google Meet(グーグルミート)は着実に勢力を伸ばしている。
ビデオ会議アプリであるTeamsはOffice 365と完全に統合されているので、Office製品をすでに導入している企業にとっては便利な拡張機能といえる。効率的なファイル共有機能もあり、やはりマイクロソフト製品を使っている企業にとっては信頼性の面でも安心だ。
「LinkedIn(リンクトイン)」
ビジネス特化型SNS「LinkedIn(リンクトイン)」。画像はナデラCEOのアカウント。
マイクロソフトは2016年にLinkedIn(リンクトイン)を買収した。ナデラ自身がこのビジネス特化型SNSの熱心なユーザーで、800万人ものフォロワーがいる。動画やリーダーシップに関する記事などほぼ毎日何かしら投稿していて、数百のコメント、数千のリアクションがついている。
「適応性の高いインターフェース」
ゲームのアクセシビリティを向上させる「Xboxアダプティブ・コントローラー 」。
Xbox
2020年初頭のパネルディスカッションで、マイクロソフトのシニア・アクセシビリティ・エバンジェリストのメーガン・ローレンスはこんなエピソードを披露している。
彼女がナデラに「なぜ我が社はこれほどにアクセシビリティ(=年齢的・身体的条件にかかわらず製品やサービスを利用できること)に投資するのか」とたずねたところ、ナデラは「アクセシビリティへの投資はすなわちイノベーションへの投資だから」と答えたという。
言い換えれば、私たちが日々使うツールを、何らかの障害を抱える10億の人々が問題なく使えるようにすることは、究極的にはすべての人に利益をもたらすということだ。
人工知能を活用した音声テキスト変換や、上の写真のようにアダプティブ(Adaptive、適応性の高い)なXboxコントローラーは、障害を持つ人に限らず、結局あらゆる人にとって役立つことになるのだ。
※この記事は2020年6月12日初出です。