【検証】小池都知事、4年前の公約「7つのゼロ」いくつ達成できた?(都知事選)

会見する小池百合子氏(2020年6月12日)

会見する小池百合子氏(2020年6月12日)

撮影:三ツ村崇志

今夏の東京都知事選(6月18日告示、7月5日投開票)について、現職の小池百合子氏(67)が6月12日、立候補を表明した。小池氏は同日開いた出馬表明会見で、前回選挙の出馬で用いたスローガン「東京大改革宣言」受けて、新たに「東京大改革2.0」のスローガンを示した。

4年前の選挙戦を回顧し、「あの時何に挑戦していたのかを思い起こすと同時に、挑むからには改めて決意を示す」と述べた。

議論の的になっている「カイロ大学卒業」の学歴については「カイロ大学が認めている」と説明。「原本は過去に公表している」として、改めて公表する必要はないとの姿勢を示した。

会見する小池百合子氏(2020年6月12日)

会見する小池百合子氏(2020年6月12日)

撮影:三ツ村崇志

今回の選挙は、2期目を目指す小池都政の評価を都民がどう捉えているかの試金石となる。無論、現在進行中の新型コロナ対策の中間評価にもなりそうだ。

街頭演説は「密」を避けるため、「ウィズコロナ、ポストコロナの選挙を目指す」と表明。オンライン中心の選挙戦を展開するという。

都民ファーストの会代表で小池氏の元秘書である荒木千陽都議はBusiness Insider Japanの取材に対し、現時点では街頭演説の予定は立てていないと話した。

小池都政「7つの0(ゼロ)」達成状況は

Business Insider Japanでは小池都知事が掲げた「7つのゼロ」の達成状況をまとめた。

Business Insider Japanでは小池都知事が掲げた「7つのゼロ」の達成状況をまとめた。

Business Insider Japan

達成は「ペット殺処分ゼロ」 のみ、待機児童問題は改善

前回の都知事選で、小池氏は公約「7つの0(ゼロ)」を目指すとアピールした小池氏。

これまでのところ、達成できたのは「ペット殺処分ゼロ」のみだ(2018年度に動物[イヌ・ネコ]殺処分ゼロ達成を発表) 。

ただ、改善された課題もある。「待機児童ゼロ」は未達成ながら、就任時と比較して(待機児童数を)約半分まで減らした。小池氏も「格段に激減した」と成果をアピール。今後も液体ミルクの普及など、保育政策を進めることを示した。

「満員電車ゼロ」は、皮肉なことに緊急事態宣言や新型コロナ対策でのリモートワーク・時差出勤の呼びかけなどで一部改善。都営地下鉄の利用者数が70%減になった期間もあった。

ただ、社会経済活動の再開で利用者数が徐々に戻りつつある中、どこまで実効性を担保できるのか課題になる。

記者会見に臨む小池百合子氏(2020年6月12日)

記者会見に臨む小池百合子氏(2020年6月12日)

撮影:吉川慧

一方で、検証困難な「ゼロ」も…

「都道電柱ゼロ」について、小池知事は会見で「センター・コア・エリアでは95%は地中化を達成した」と誇った。だが、都が2019年に発表した資料によると、全体の整備対象(2328km)で地中化ができたのは、まだ40%台だ。

「介護離職ゼロ」と「多摩格差ゼロ」は達成状況が検証できない。東京新聞は、東京都が「都内に約7800人(総務省統計)とされる介護離職者の推移は把握していないといい、検証は困難」と報じている。

後者についても具体的な目標は示されていない。いずれも「ゼロ」の達成条件や進捗状況の検証は難しい。

小池氏は会見で「介護離職ゼロ」が進んだと述べたが、具体的な数値は明らかにしなかった。

小池氏をめぐっては自民党が推薦する方針を示している。二階俊博幹事長は9日の記者会見で「最善最適の候補と思っております」「積極的に応援します」と発言。立候補が表明され次第、小池氏を直ちに推薦する意向だ。

都知事選、立候補予定者は

都内ではすでに東京都知事選のポスター掲示場が設置され始めている。

都内ではすでに東京都知事選のポスター掲示場が設置され始めている。

撮影:吉川慧

都知事選をめぐっては、すでに元日弁連会長の宇都宮健児氏(73)が立候補を表明している。宇都宮氏は過去に2度、都知事選に出馬。前回知事選では、野党統一候補として鳥越俊太郎氏が擁立されたことを受けて出馬を断念している。

野党では立憲民主、共産、社民が宇都宮氏を支援し、国民民主は「自主投票」の方針。野党共闘の足並みは揃わない。

11日には、れいわ新選組の山本太郎代表(45)が出馬を検討していると表明したが、出馬の可能性は「フィフティー(50%)」と語っている。党内では宇都宮氏と票が割れることを懸念する声が出ているという。

元熊本県副知事の小野泰輔氏(46)は無所属で出馬し、日本維新の会の推薦を受ける。「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首(52)、諸派の平塚正幸氏(38)らも立候補を表明している。

文・吉川慧、三ツ村崇志

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