アメリカが直面するもう1つの危機「立ち退きによる崩壊」とは

沈む家

多くのアメリカ人が今、窮地に立たされている。

John M Lund Photography Inc / Getty Images

  • 新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で小売業やサービス業などが打撃を受ける中、アメリカではこの3カ月で少なくとも4400万人が失業を申請している。
  • 職を失った人の多くは家賃や光熱費が払えず、州政府や連邦政府は立ち退きを一時的に禁止していた。
  • しかし、こうした禁止令は夏にも終了するため、多くの人が住む家を失うリスクにさらされている。

アメリカはもう1つの危機に対処しなければならない —— "立ち退き"による危機だ。

Business Insiderが6月11日に報じたように、アメリカでは過去12週間で4400万人が失業を申請している。多くの人が収入を断たれ、家賃や光熱費を払えなくなった。

このパンデミックによる危機を受け、連邦政府は7月25日まで連邦政府が支援する不動産について一時的に立ち退きを禁止した。ミシガン州やルイジアナ州、ペンシルベニア州といった個別の州でも、立ち退きを一時的に禁じる措置を講じている。しかし、こうした禁止令は終了した、または期間が延長されることなくまもなく終了する予定だ。ミシガン州では6月11日、ルイジアナ州では6月15日に終了し、ペンシルベニア州では7月10日に終了する見込みだ。

もう1つの支援策も終わりが近付いている。失業給付を週に600ドル(約6万4000円)加算する連邦政府による特例措置は7月末に終わる予定で、追加の給付金があるかどうかはまだ分からない。

だが、このお金があったおかげで人々は失業しても家賃を払い続けることができたのだと、CNBCは報じている。立ち退きの猶予がなくなると同時に臨時所得もなくなれば、各地で"立ち退き"による危機が起こりかねない。住宅に関する非営利の監視組織「Housing Rights Initiative」の設立者でエグゼクティブ・ダイレクターのアーロン・カー(Aaron Carr)氏は、パンデミックが続いている最中に人々に立ち退きを迫ることは「大惨事を崩壊へ」と悪化させる可能性があるとCNBCに語った。

ホームレスのシェルターは"ソーシャル・ディスタンス"に対応していない

アメリカでは、新型コロナウイルスの感染が拡大しロックダウン(都市封鎖)が始まると、家を借りている人々に壊滅的な影響が及び出した。

シンクタンク「アーバン・インスティテュート(Urban Institute)」の調査では、3月25日から4月10日までの間、18~64歳の家を借りている人のうち約半数が家賃や光熱費が払えなかったり、食べ物が満足に買えなかったり、必要な医療を受けることができなかったことが分かっている。そして、この問題は一部のコミュニティーでより顕著だ。同シンクタンクの5月の調査によると、家を借りているアフリカ系アメリカ人やラテン系アメリカ人の25%が家賃を払えなかったまたは支払いを保留したという。白人では14%だった。

そして、5月の時点でアメリカでは成人の5人に1人が6月の家賃の支払いまたは住宅ローンの返済ができるかどうか分からないと答えていると、アクシオス(Axios)は国勢調査局が毎週行っている、パンデミックがアメリカ人に及ぼしている影響に関する調査を引用して報じた。

カー氏がCNBCに語ったように、自宅から人々を立ち退かせることは彼らをホームレスにしたり、生活を不安定にさせる可能性があり、これは新型コロナウイルスに感染するリスクを高めかねない。

そして、立ち退きが増えるとメンタルヘルスの危機が生じる可能性もある。住む場所を失い、食べるものも満足に手に入らなくなった人々は感情的、精神的緊張を抱えることになりかねない。また、立ち退きは一般的にその人の信用(クレジット)にも傷をつけることになるため、新しい家を見つけることも難しくなる。パンデミック中であればなおさらだ。

こうした全ての要素が「立ち退きによる崩壊(eviction apocalypse)」 —— 立ち退きの拡大により家を失う人が急増し、国中で新型コロナウイルスの感染が増える —— をもたらす可能性がある。

家賃補助や支払い停止を求める声も上がっているが、州政府はこうした措置を取ることに消極的だ。わずかな望みは、アメリカ全体で立ち退きを12カ月猶予することを含むHEROES法の成立だ。この法案は5月に下院を通過したが、上院で立ち往生している

[原文:As eviction bans across the country start to lift, the US could face an eviction 'apocalypse'

(翻訳、編集:山口佳美)

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