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- ウォルマートのウェブサイトでShopifyの販売者が商品を販売できるようになる。
- この提携により、ウォルマート・ドットコムにはより多くの商品が掲載され、ウォルマートのサードパーティー向けマーケットプレイス・ビジネスを後押しすることになる。
- ウォルマートでは第1四半期、サードパーティーによる売り上げが、自社の売り上げを上回った。
- アマゾンでも、サードパーティーによる売り上げが優勢だ。「サードパーティー販売者が我々ファーストパーティーを打ち負かしている」とアマゾンCEO、ジェフ・ベゾスは2018年、株主へのメモに記した。
ウォルマート(Walmart)はオンライン・ビジネスの拡大を目指して、アマゾン(Amazon)の競合として急成長中の通販プラットフォームShopifyと提携する。
Shopifyは、ライブリー(Lively)、オールバーズ(Allbirds)、ペプシコ(PepsiCo)、ハインツ(Heinz)など、大小合わせて100万以上の企業に対しeコマースツールを提供している。同社は、オンライン・ショップを迅速かつ安価で立ち上げることを支援している。月額料金は、決済や在庫などの管理ツールも含めて29ドル(約3100円)から。
今回の提携により、Shopifyユーザーはウォルマート・ドットコムに商品を掲載することができるようになる。販売者側にとっては、新たな顧客を獲得して、売り上げアップにつながる可能性がある。
ウォルマート・ドットコムにとっても品揃えが増えることになり、サードパーティー向けのマーケットプレイス事業の拡大を後押しすることになる。
アマゾンとウォルマートは近年、サードパーティー・ビジネスで急成長している。自社商品よりも規模の拡大が容易で、利益も多い。販売者が送料を負担することが多いからだ。
ウォルマートによると、この第1四半期にサードパーティーによる売り上げが、自社商品の売り上げを上回った。
ウォルマート・マーケットプレイス(Walmart Marketplace)担当バイスプレジデント、ジェフ・クレメンツ(Jeff Clementz)は、「アメリカにおけるeコマース・ビジネスは直近の四半期でトータル74%成長した。ファーストパーティーの売り上げも好調ではあるが、マーケットプレイスの成長はそれを上回った」と、Shopifyとの提携を発表したブログの投稿で述べた。
クレメンツによると、Shopifyとの提携では主に、顧客の期待を上回る実績を持つ中小企業をウォルマートドットコムに引き入れることに注力するという。
「我々にとってマーケットプレイスの成長は戦略的優先事項であり、成長とともに洗練させるつもりだ。これから新たな販売者を集めていき、今年中に1200社は追加したい」とクレメンツは述べた。
(ウォルマート・マーケットプレイスの詳細についてはこちらのウェブサイトに書かれている)
サードパーティーによる売り上げは依然として、アマゾンがトップ
アマゾンも、サードパーティーによる売り上げがファーストパーティーの売り上げを上回ったと発表している。1999年から2018年にかけて、サードパーティーの売り上げの年平均成長率は52%で、ファーストパーティーは25%だった。
「サードパーティー販売者が我々ファーストパーティーを打ち負かしている。完膚なきまでに」とアマゾンCEO、ジェフ・ベゾス(Jeff Bezos)は2018年、株主へのメモに記した。
ムーディーズのチャーリー・オシェイ(Charlie O'Shea)が6月15日に述べたところによると、アマゾンはサードパーティーの売り上げにおいて「絶対的トップ」であるが、このセグメントの競争は「激化している」という。
「ウォルマートは店舗内のスペースを提供するように、そのウェブサイトに特定の小売店を掲載できる。それこそが新たな関係を引き寄せる可能性のある、重要な競争上の強みだ」とオシェイは述べた。
「Shopifyとの提携は、ウォルマートが今後もサードパーティーとの関係拡大に重点を置いていくという、強い意思の表れだ」
(翻訳:Ito Yasuko、編集:Toshihiko Inoue)