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- このところ、仕事における成功の尺度に新たな傾向が見られる。
- 求職者向けサービスを提供するResumeLabの調査によると、最近の成功の尺度とは「他人に負けない給料を得ているか」「銀行口座に理想的な額の貯蓄があるか」「ワークライフバランスを実現しているか」の3つだという。
- しかし、アンケートの回答は世代によって違いがある。例えばベビーブーマー世代は他の世代と比べ、いかに自分が業界内で尊敬される存在であるかを重視している。
近ごろの会社員たちは、仕事での成功を新たな尺度で捉えるようになりつつある。
求職者向けサービスを展開するResumeLabの研究結果によると、会社員の多くは「他人に負けない給料を得ているか」「銀行口座に理想的な額の貯蓄があるか」「ワークライフバランスを実現しているか」の3つを仕事での成功の尺度と考えていることが判明した。
研究では、働く人1000人にアンケートを実施し、自分が仕事で成功していると感じるためには何が必要かを尋ねた。回答者にはベビーブーマー世代(56歳以上)、ジェネレーションX世代(41〜55歳)、ミレニアル世代(25〜40歳)、ジェネレーションZ世代(25歳未満)と、各世代が横断的に含まれている。
世代の異なる1000人のビジネスパーソンにアンケートを実施。調査結果では世代ごとにどんな違いが見られたのか?
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例えばベビーブーマー世代には、業界内で尊敬される存在であることを重視する人が多い。一方ミレニアル世代は、銀行口座に理想的な残高があることがキャリアでの一番の成功だと答えた。
ResumeLabのリサーチャーは今回の調査結果を受けて、世代による差異が明らかになったと指摘し、「ある世代で重視される成功の尺度が、別の世代には大して重視されないこともあります」と述べている。
2020年現在、各世代が考える成功の尺度とはどのようなものなのか。ResumeLabの調査結果をもとに紹介しよう。
高い給料を得ているか
1つ目の成功の尺度は「高い給料を得ること」だ。アンケートに回答したミレニアル世代の42%が「給料が安い好きな仕事より、給料が高い嫌いな仕事のほうがいい」と答えている。
また、仕事で成功していると言える最低年収は7万9781ドル(全世代の回答者の平均)という結果になった。the Streetの分析によると、アメリカ人の平均年収は4万8672ドル。つまり今回の調査結果で出た数字は、実際よりもはるかに高い金額と言える。
しかし、高い給与を提示することには雇用側にもメリットがある。人材紹介サービスの世界的大手、ロバート・ハーフは、競争力のある給与を提示することで従業員の引き留めに役立つと述べている。2015年にBusiness Insiderも報じたとおり、所得が高い人ほど悲しみが薄らぐことをブリティッシュ・コロンビア大学とミシガン州立大学の研究者が示している。
貯蓄できているか
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「お金を使わずいかに貯蓄に回せるか」は、ミレニアル世代にとっての重要な成功尺度だ。今回の調査では、ミレニアル世代が望ましいと考える貯蓄額は8万9411ドル以上という結果が出ている。
Z世代は7万7595ドル以上、X世代は8万2409ドル以上と答えており、ベビーブーマー世代は「仕事で成功している」と呼ぶには10万6595ドルの貯蓄が必要だと考えている。
いずれ大きな買い物をしたいからなのか、いざという時のことを考えてなのかはさておき、貯蓄の重要性は専門家も指摘するところだ。
Business Insiderが以前報じたとおり、少額のお金を給料から口座に自動送金し、家計簿アプリで支出を記録すれば、お金の流れが簡単に分かる。
家計管理の専門家アンドレア・ウォロックは「週に10ドルでも20ドルでも、少額を毎週自動で振り替えましょう」と言う。「少額でも時間とともにすぐに貯まっていきますし、口座を分けておいたお金はなくても生活できるということが分かると思います」
財務比較サイトFinderのジェニファー・マクダーモットも、「お金を貯めたいなら、瓶の中でもいいので現金を脇へよけておくといいですよ」と言う。「給料を受け取るたびに5ドルずつ貯金していったら、半年でこんなに貯められるんだと驚くはずです」
ワークライフバランスを実現しているか
仕事での成功は、お金だけで測れるものではない。勤務時間が終わってタイムカードを押したら仕事のことは忘れる——このことの重要性は、どの世代の回答者も理解していた。
ただし、そのスキルは世代が上がるほど身についていることが今回の調査で分かった。「すでに理想的なワークライフバランスを実現している」と答えたのはベビーブーマー世代で58%だったのに対し、X世代では56%、ミレニアル世代では43%だった。ワークライフバランスを保つというスキルは、年齢に関係なく必要だということが調査結果からも分かる。
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ワークバランスを保つことは燃え尽き症候群を防ぎ、ストレスを軽減するためにも役に立つことは以前Business Insiderでも報じたとおりだ。国内の企業もこのことに気づき始めており、例えばIBMは、従業員が仕事とプライベートの両立を改善するための支援に乗り出すという。
現在のように多くの従業員が在宅勤務をしている状況ではなおさら支援が必要だ。
IBMは数ある行動計画の中でも、特にオンライン会議でのエチケット(自宅の様子や家族を映り込ませて不快な思いをさせない、など)を改善していく考えだという。このほか、仕事の合間に軽く運動したり外出先で電話を受けるなど、勤務時間中における自己管理も奨励している。
(翻訳・渡邉ユカリ、編集・常盤亜由子)