高速道路を進むインド軍の車列(2020年6月15日、カシミール・ギャンダーボール)。
REUTERS/Danish Ismail
- にらみ合いの続いていた中国とインドの国境付近で6月15日夜、衝突が起き、双方に犠牲者が出た。
- インド軍の発表では当初、この衝突で兵士ら3人が死亡したとされていたが、その後、死亡者数は少なくとも20人まで増えた。
- 中国はインド側が境界線を越えてきたため報復したとしている。インド軍は係争地域で起きた衝突で兵士らが死亡したとしている。
- 中国はこの地域に駐留する部隊を増強しているようだ。
にらみ合いの続いていた中国とインドの国境付近で6月15日夜、衝突が起き、少なくともインド軍の兵士ら20人が死亡した。
インド軍は16日、ラダック地方のガルワン渓谷で衝突が起きたと発表した。
国境をめぐって、インドと中国は対立している。
Google Maps/Business Insider
ロイターによると、「ガルワン渓谷で緊張緩和プロセスが進む中、昨日の夜、衝突が発生し、双方に犠牲者が出た」と当初、インド軍は発表していた。その上で「インド側は将校1人と兵士2人が命を落とした。事態収拾のため、両国の軍幹部が協議している」としていた。
それから数時間後、インド軍は死亡者数を20人と修正した。
発砲はなかったと、インドの政府関係者はロイターに語った。中国の兵士とインドの兵士は、石や金属棒を使って攻撃し合ったという。インドの兵士らは「殴り殺された」と地元メディアが報じたとBBCは伝えているが、軍はこれを認めていない。
衝突が起きた地域は、インドと中国が国境を争っている地域だとCNNは報じている。両国は1960年代に国境をめぐって軍事衝突して以来、正式な合意に至らず、何十年も膠着状態が続いていた。
中国外務省の趙立堅報道官は16日、インド軍の兵士らが境界線を越え、中国側を攻撃したと語った。ただ、中国側に死傷者が出たかどうかについては言及しなかった。
CNNによると、趙報道官は「インド側が合意を破って、2度にわたって境界線を越えた違法な活動を行い、中国側を挑発、攻撃した結果、衝突につながった」と述べた。
この地域では数週間前からにらみ合いが続いていたとロイターは報じている。だが、死亡者が出たのは1967年以来、初めてだという。
CNNは先週、中国国営メディアがこの地域で活動する飛行機や兵士でいっぱいのトラックの映像を流していると報じていた。
環球時報は6月上旬、この地域で行われた「数千人規模のパラシュート部隊や装甲車両」が参加するオペレーションについて報じ、専門家は「必要な時には国境守備を早急に増強できる中国の能力」を表しているとコメントしていた。
(翻訳、編集:山口佳美)