都知事選で投票する前に、必ず知っておきたい8つの数字

任期満了に伴う東京都知事選が6月18日に告示され、7月5日の投開票に向けて17日間の選挙戦がはじまった。ウィズコロナ・アフターコロナ時代の首都を誰に委ねるのか、都民の判断が下される。

任期満了に伴う東京都知事選が6月18日に告示され、7月5日の投開票に向けて17日間の選挙戦がはじまった。ウィズコロナ・アフターコロナ時代の首都を誰に委ねるのか、都民の判断が下される。

shutterstock(左)/Business Insider Japan、撮影:吉川慧(右)

任期満了に伴う東京都知事選が6月18日に告示され、7月5日の投開票に向けて17日間の選挙戦がはじまった。ウィズコロナ・アフターコロナ時代の首都を誰に委ねるのか、都民の判断が下される。

政治とは、市民から集めた税金の使い道を決めることが根幹の一つだ。一般会計と特別会計を合わせた都の全体予算は約15.5兆円、経済規模は約107兆円。どちらも一国に匹敵する莫大なものだ。

自分が支払った税金がどのように使われてきたのか、そして、今後どう使われるのか。それを有権者が見極めるのも選挙の意義と言える。新型コロナ対策や1年延期された東京オリンピック・パラリンピックの費用で都の財政の不確定要素が懸念される情勢でもあり、一票の重みはこれまで以上に増す。

都知事選を前に、次の首都の「顔」が取り仕切る東京の政治・経済にまつわる8つの数字をおさえておこう。

1. 都の予算規模は約15.5兆円

東京都の予算規模は一国の予算に匹敵する。

東京都の予算規模は一国の予算に匹敵する。

出典:東京都

東京都の2020年度の全体予算(全28会計)は15兆4522億円。ノルウェー(16兆4656億円、2019年)やスウェーデン(12兆1984億円、2020年)などの国家予算並みの規模だ。

このうち「一般会計」(都税[5兆4446億円]などをもとに福祉や防災対策など行政サービスに使う)が7兆3540億円、都営住宅の管理など特定の目的に使う「特別会計」が6兆134億円、上下水道、電車、バスなど独立採算制の「公営企業会計」が2兆848億円

一般歳出の内訳。

一般歳出の内訳。

出典:東京都

都の歳入の約7割は地方税(都税)であり、その根幹は企業などからの法人2税(法人住民税と法人事業税)だ。そのため景気が悪化すれば収入が下振れする可能性もある。石原都政時代には、リーマン・ショックの影響で1年間に1兆円も税収が減ったことがある。

都は不況や災害に備えて、2019年度末までに貯金にあたる「財政調整基金」として約9000億円を積み立ててきたが、都はコロナ対策の補正予算として1兆円超を計上補正予算の一覧)。財政調整基金は500億円まで減った。

都は都道府県で唯一、地方交付税の交付を受けていない。新知事は、今後の財源確保も課題となりそうだ。

出典:東京都

なお、2018年度の都の財務諸表(2019年8月公開)もみておこう。バランスシートの「正味財産の部」の合計額は27兆8779億円だった。

2. 東京五輪・パラリンピックの都負担額は約1.37兆円

出典:東京都

都の予算案によると東京五輪・パラリンピック大会における都の負担額は約1兆3700億円。

このうち「⼤会経費」として恒久施設の整備や輸送、セキュリティ費用などで5975億円、既存体育施設の改修やインフラ整備など「⼤会関連経費」が7766億円にのぼる。

ただ、報道によると、大会が来夏に延期されたことにともない追加費用として3000億円が必要と見込まれており、都の負担増は必至だ。

3. 都民総生産(名目)は約107兆円、事業所数は約63万所

都内総生産(名目)の推移

都内総生産(名目)の推移

出典:東京都

経済規模の指標となる都民総生産(名目)は、2019年度は107兆7000億円の見込み。トルコやメキシコに匹敵する規模だ。

出典:東京都

東京都産業労働局(2019年9月発表)によると、都内事業所数(民営)は62万1671所。第三次産業の割合が高いことが特徴だ。

出典:東京都

コロナショックによる経済的な打撃にどう対応するか、次の知事が直面する喫緊の課題となる。

4. 東京都の人口は約1383万人、高齢化率は23.3%

2020年1月1日現在、住民基本台帳による東京都の人口数は1383万4925人

都民のうち65歳以上の高齢者人口は309万4000人、高齢化率は23.3%(2019年9月現在)。およそ4人に1人が高齢者となる計算だ。推計を開始した1989年と比べて高齢者人口は2.6倍、75歳以上では3.4倍の増加となっている。

2045年には約411万人(高齢化率31.3%)になると推計。都民の約3人に1人が高齢者となる社会が到来すると予想されている。

5. 待機児童数は3690人、10年で半減

出典:東京都

2019年度待機児童数は3690人。認可保育所定員は28万5121人、認証保育所定員は1万9551人だった。

10年前(2009年)は、待機児童数は7939人。認可保育所定員が16万9184人、認証保育所定員は14161人だった。

6. 都民所得は約538万円、就業者数は約806万人

出典:東京都

東京都産業労働局(2019年9月発表)によると一人あたりの都民所得は約538万円、全国平均の約1.7倍だ。

2019年度労働力人口は825万4000人就業者数は806万1000人(就業地ベース)。

7. 完全失業者数は19万3000人、完全失業率は2.3%

出典:東京都

2019年度の完全失業者数は19万3000人、完全失業率は2.3%だった。

8. 有権者数は約1144万人、投票率の過去最高は72.36%

都選挙管理員会事務局によると、2020年6月現在の選挙人名簿登録者数は1144万4260人。選挙人名簿は毎年3月・6月・9月・12月と選挙執行時に各区市町村の選挙管理委員会が登録する。

都道府県知事の選挙としては全国最多の有権者数。ボリビア(1140万人)、キューバ(1150万人)、ベルギー(1160万人)などの人口に相当する(参考:UNFPA「世界人口白書2019」)。

過去の都知事選で、最も投票率が高かったのは1971年の72.36%(「革新都政」の美濃部亮吉知事が再選)。最も低かったのは1987年の43.19%(鈴木俊一知事が3選)。

前回(2016年)は小池百合子氏が291万2628票(得票率44.49%)で女性初の都知事に当選、投票率は59.73%だった

世代別投票率は、最も投票率が低かったのが21〜24歳(34.84%)、最も高かったのは最も低かったのは70 歳~74 歳(76.88%)

今回の主要争点とされるのは、現職の4年間におよぶ都政の評価、目下の対応が求められる新型コロナウイルス対策、来年夏に延期が決まった東京オリンピック・パラリンピックへの対応など、山積みとなっている都政の重要課題だ。

都知事をめぐっては前職の舛添要一氏、前々職の猪瀬直樹氏ともに「政治とカネ」の問題に絡む不祥事で任期を全うできず辞任。現職の任期満了に伴う都知事選は石原慎太郎氏の3期目満了による選挙以来、実に9年ぶりとなる。

(文・吉川慧

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