やはり楽天よりあの巨人?コロナ禍で総合EC利用頻度が3割増の実態

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総合ECはスマートフォン経由で利用されるケースが多い。

撮影:三ツ村崇志

新型コロナウイルスの流行による緊急事態宣言下で、もっとも総合ECサイトの利用頻度が上がったのは、10〜20代の若年層——。

MMD研究所とスマートアンサーが18〜69歳を対象に実施した、アマゾンや楽天など、総合ECサイトの利用動向に関する調査(※)によると、全体の3割程度の人がコロナ禍で総合ECサイトの利用頻度が増加傾向にあることが明らかになった。中でも最も利用頻度が増したのは10〜20代の若年層で、4割近くの利用頻度が上がっていた

調査では、もっとも利用されているECサービスも判明。テレビ会議中にAmazonで購入した商品が届くという新しい風景も見慣れてきた昨今。コロナ禍での利用頻度や高額転売商品の購入経験などの実態とは?

※MMD研究所とスマートアンサーは、5月13〜18日にかけて、スマートフォンをもつ18歳〜69歳の男女2128人を対象に、Amazonや楽天など、総合ECサイトの利用動向に関する調査を実施。(記事では小数点以下を切り捨て)。ZOZOTOWN、ニッセン、メーカー・ブランド公式(ユニクロ、ニトリ等)、小売店公式(ヨドバシカメラドットコム等)などの一部に特化したECや、メルカリなどのフリマアプリは調査対象から除かれている。

3割が利用頻度増加も、ユーザーは楽天よりAmazon派

年代別総合EC利用傾向

全体では3割程度、10代〜20代では4割弱が総合ECの利用頻度が増加傾向にあると回答。

出典:MMD研究所×スマートアンサー

調査では、全体の3割程度の人が総合ECサイトの利用頻度が増加傾向にあると回答。

最も利用頻度が増したのは、10〜20代の若年層。36%から「増えた」「やや増えた」との回答が得られた。

年代が上がるにつれて利用頻度の増加傾向は低下しているとはいえ、60代でも27%で利用頻度が増加傾向にあると回答している。全年代で平均的に利用頻度は増加していると言えそうだ

MMD研究所の担当者は、Business Insider Japanの取材に対して、

「単純に外出できなくなったことでネット利用が増えたのでは」

と新型コロナウイルスの流行や、それに伴う緊急事態宣言で外出が少なくなったことが影響しているのではないかと話す。

認知度

総合ECの認知度調査。Amazon、楽天、Yahooショッピングが90%以上の人から認知されている。

出典:MMD研究所×スマートアンサー

また、実際に利用しているサービスの割合を見ると、Amazonの71%に対して楽天は63%と健闘。Yahooショッピングは38%と引き離された結果となった。

一方で、メインユースしている総合ECに限ると、最も割合が高かったのはAmazonで52%楽天は28%、Yahooショッピングに至っては11%と落ち込んだ。

この3つの総合ECの認知度はどれも90%を超えていることからも、やはりAmazonが頭一つ抜けたサービスとして定着していることが分かる結果となった。

若者は高額転売商品を買いがち

高額転売商品

調査対象者のうち、高額転売商品を見たことがある人にアンケートをした結果。マスク、消毒液類、ゲーム機本体の高額転売商品を購入する人が目立った。

出典:MMD研究所×スマートアンサー

また、コロナ禍では、ECサイトを通じて高額転売商品が多く出回っていた。

調査では、有効回答数のうち、53%の人が実際にECサイト上で高額転売商品を見たことがあると回答。うち、 32%の人が実際に高額転売商品の購入経験があるとした。

最も多く購入された高額転売商品はマスク。高額転売商品の購入経験があると回答した人のうち、29%が実際に購入していた。

また、マスクに次いで除菌・アルコール消毒類(12%)とゲーム機本体(7%)の高額転売商品の購入も目立った。

高額転売商品

10代〜20代で、高額転売商品の購入が最も多かった。

出典:MMD研究所×スマートアンサー

マスクや消毒類はコロナ対策として購入者が殺到し、店頭からしばらくの間消えていた商品だ。また、いわゆる巣篭もり需要と中国での生産停止が相まって品薄状態になっていた「Nintendo Switch」が高額転売の対象になっているケースも多く見られていた。

年代別に見ると、どの高額転売商品も若年層の購入が目立った。

ネットスーパーも利用頻度増。しかし、アフターコロナで継続性は疑問

ネットスーパーの利用頻度

年代別、ネットスーパーの利用頻度。10代〜20代では約6割で利用頻度が増えている結果となった。

出典:MMD研究所×スマートアンサー

また、総合ECサイトとは別に、ネットスーパーを対象にした調査も実施された。

ただし、調査対象となる2128人中、ネットスーパーを実際に利用しているのは119人と全体の約5%程度だった。母数が少ない中での調査ではあるが、4割近くの人が利用頻度を増やしているという結果となった。

特に、10代〜20代に限れば約6割で利用頻度が増加。この中には、今回始めてネットスーパーを利用したという人も一定数含まれるとみられる。

緊急事態宣言下では、スーパーへの買い物の機会が数少ない外出機会となっていた人も多い。

一方で、スーパーではいくら対策をしても密な状況が発生しやすいこともあり、それを忌避した一部のユーザーがネットスーパーに流れたといえそうだ。

MMD研究所の担当者は、

「ネットリテラシーが高い若者から順番に、今まで使っていないサービスを実際に使ってみるなどして利用者が増加したのではないか」

と話す。

高額転売されたマスクや消毒類の購入比率が若者で高いことなどと合わせて考えると、一部の若者の間では、新型コロナウイルスに対する不安などが強く影響して、リスクを下げる行動を選択する人が増えた結果、高額転売商品の購入やネットスーパーの利用につながったともいえそうだ。

ただし、今後の利用に関する調査(ネットスーパーの非利用者も含む)では、27%がネットスーパーでの購入を「減らす」「止める」と回答(総合ECでは8.1%)している。

購入品目

直近3カ月の商品購入場所。

出典:MMD研究所×スマートアンサー

「実際に食材を見ながらその日の献立を考えるプロセスがあるのでは」(MMD研究所)と話すように、実際に食品の購入では実店舗が強い。

今後、ネットスーパーが完全に定着するためには、もう一歩生活スタイルの変化やサービスのブレイクスルーが必要だといえそうだ。

文・三ツ村崇志

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