東京都知事選は6月18日に「告示」される。写真は千代田区内の選挙ポスター掲示場。
撮影:吉川慧
任期満了に伴う東京都知事選が6月18日からはじまった。各候補者は7月5日の投開票日に向けて、17日間の選挙戦で支持を訴える。
しばしば報道では、選挙のスタートを「公示」「告示」という言葉で伝えるニュースが流れる。
さて、この「公示」と「告示」。ともに「公の機関」が「広く一般に向けて知らせる通知」を意味する言葉で、選挙では投開票日(選挙の施行日)を公に知らせることを意味する。
似ているため混同しやすいが、実はどの選挙で「公示」と「告示」を用いるのか、ルールが明確に決まっている。
「公示」と「告示」の違いは「天皇の国事行為」にあたるかどうか
日本国憲法。昭和天皇の御名御璽が付されている。
出典:国立公文書館
結論から言うと、選挙において「公示」を用いるのは「衆議院総選挙」と3年ごと半数改選の「参議院通常選挙」に限られる。
「日本国憲法第7条」では、天皇の国事行為の一つとして「国会議員の総選挙の施行を公示すること」が定められている。
日本国憲法第7条では天皇の国事行為について定められている。
出典:国立公文書館
一 憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
二 国会を召集すること。
三 衆議院を解散すること。
四 国会議員の総選挙の施行を公示すること。
五 国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
六 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
七 栄典を授与すること。
八 批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
九 外国の大使及び公使を接受すること。
十 儀式を行ふこと。
憲法に記されている「国会議員の総選挙」とは「衆議院総選挙」と「参議院通常選挙」を意味し、選挙の施行は官報に掲載された詔書で「公示」される。
官報に掲載された、2017年衆院選を公示する詔書(天皇が発する文章)。「御名御璽」は、実物の詔書に天皇の名で親署(署名)と押印があることを意味する。
出典:官報
東京都知事選は「告示」される選挙
東京都庁
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「衆議院総選挙」と「参議院通常選挙」以外の選挙では、それぞれの選挙管理委員会が施行日を「告示」する。都道府県知事の選挙期日の告示は、公職選挙法で以下のように定められている。
一 都道府県知事の選挙にあつては、少なくとも十七日前に
自治体の首長選、議会議員選をはじめ、国政選挙である衆院・参院の補欠選挙や再選挙も天皇の国事行為とされていないため選挙管理委員会が「告示」する。
・衆院総選挙=「公示」
・参院通常選挙=「公示」
・都道府県知事選挙=「告示」
・都道府県議会議員選挙=「告示」
・市区町村議会議員選挙=「告示」
・国会議員の補欠選挙=「告示」
・再選挙=「告示」
(文・吉川慧)