プロ野球が無観客で開幕、球場にはシャッター越しに覗く熱心なファンの姿。オンラインイベントも活発

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6月19日、延期されていたプロ野球がついに開幕した。東京ドームでは巨人対阪神の開幕戦が行われた。

撮影:大塚淳史

新型コロナウイルスの影響で延期していたプロ野球が6月19日、開幕した。無観客での開幕戦だったが、少しでも雰囲気を味わいたいのか、現地に足を運ぶファンもいた。

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巨人対阪神の開幕戦があった東京ドームは無観客試合のため、シャッターが下りていた。

撮影:大塚淳史

本来、3月20日に開幕予定だった。早期の再開を模索していたが、コロナ収束のめどが立たず、何度も延期になった。また、3月には阪神タイガースの藤浪晋太郎ら3選手が、5月には読売ジャイアンツ(巨人)の坂本勇人と大城卓三の2選手が感染した。

プロ野球を統括運営する日本野球機構(NPB)は、感染拡大初期の3月3日、プロサッカーリーグ(Jリーグ)と一緒に「新型コロナウイルス対策連絡会議」を立ち上げ、選手や監督ら関係者が感染の専門家を交え、スタジアムに観客を入れて観戦する場合にどのような対策が必要なのか、検討と準備を重ねた。

そして6月19日、ついに全国6会場での開幕にこぎ着けた。ただし、試合数は143試合から120試合に、延長戦は最長12回から10回に変更となり、交流戦とオールスターの中止が決定した。また、安全を考慮し、当面は無観客での試合となった。

NPBの斉藤惇コミッショナーは「プロ野球の開幕が他のスポーツやエンターテインメント開催の指針となり、コロナ禍で疲弊した国民を元気づけ、社会に明るさを取り戻す一助となることができれば、これ以上の喜びはありません。今後とも、変わらず応援いただきますようお願いいたします」とコメントを発表した。

東京ドームに来てしまったファンたち

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東京ドームには、一部のファンが様子を覗きに来ていた。シャッターの隙間から、わずかに見える何かを楽しんでいた。

撮影:大塚淳史

東京ドームでは巨人対阪神の試合が行われ、3対2で巨人が勝利した。東京ドームには、無観客試合であるにも関わらず、一部のファンたちが雰囲気を味わいに会場の外へ様子を見に来ていた。

順天堂大学に通う巨人ファンの男子大学生は、シャッター越しに試合を覗こうとしていた。

「早く開幕してくれないかなと待っていました。近くなので寄ってみました。得点板ボードが見えるくらいですが(笑)。早く球場の中で観戦したいです」

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確かに、隙間からわずかに球場内部が見えたが、試合光景は見られなかった。

撮影:大塚淳史

また、見るからに阪神ファンの女性が、東京ドームの正面入り口前に座り、スマホでラジオアプリ「radiko」で野球中継を楽しんでいた。およそ20年来の阪神ファンという40代の会社員女性は、阪神の柄のマスクをしていた。もともとはバンダナだったが、マスクに作り直したという。

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東京ドームの入り口前に座り、ラジオアプリで野球中継を聴きながら、ドーム内で試合する阪神の選手たちを応援する女性。

撮影:大塚淳史

「本来なら購入済みのチケットで、3月20日の開幕戦を見られるはずでした。(延期中は)野球を見たいな、でも皆つらいしな、と一日千秋の思いで過ごしていました。

ついこの間まで、やれ、勝っただの、負けただのと楽しんでいたのが、すっかり変わってしまいました。本当に世界が変わっちゃったんだなと。東京ドームまで来たのは、ちょっとでも近いところで選手を感じたかったからです」

工夫を凝らしたオンラインイベント

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スカパー!はYoutube公式チャンネルで観戦イベントを実施した。

出典:スカパー!YouTube公式チャンネル

一方で、無観客での試合を何とか盛り上げようと、オンラインを通じたさまざまな取り組みが行われている。

ソフトバンクホークス対千葉ロッテマリーンズの開幕戦では、「スカパー!」のYouTube公式チャンネル上で、試合のスコアボードを画面に表示しながら、MCやチームOBによる解説映像を流した。

場内アナウンスなど会場の音も流れ、それなりに試合の雰囲気を楽しめた。常時500〜600人ほどが視聴していた。

スカパー!はまた、YouTube公式チャンネルでソフトバンクホークス対千葉ロッテマリーンズの試合を、チームOBによる解説付きで配信した。

出典:スカパー!YouTube公式チャンネル

福岡ソフトバンクホークスの親会社であるソフトバンクグループは、ホークスファンがオンラインでの観戦を楽しめるように、5G時代の視聴体験配信サービス「5G LAB」を活用したコンテンツ「VR SQUARE」「FR SQUARE」「AR SQUARE」を実施した。

スタジアムのあらゆる場所にカメラを設置して、さまざまな視点での観戦やバーチャル映像との組み合わせで試合を楽しめた。

VRSQUARE

ソフトバンクは、5G時代の視聴体験配信サービス「5G LAB」を活用したコンテンツを開幕戦で提供した。写真は「VR SQUARE」。

VR SQUARE (c)SoftBank HAWKS

6月21日には、横浜DeNAベイスターズは広島東洋カープとの試合のオンライン観戦イベント「おうちで交流!OB解説つき! オンラインハマスタ Supported by 日本生命」を有料(1000円)で開催する。

オンライン上で試合を観戦しながら、ベイスターズのスタジアムDJ・MC TEDDYと球団OBによる解説やトークショーを楽しめる。

来週にはサッカー・Jリーグも公式戦を再開する。少しずつだが、スポーツのある日常が戻りつつある。

(文・大塚淳史)

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