水上家屋「Modular Water Dwellings」
Grimshaw
- デザインスタジオ「グリムショー(Grimshaw)」は、海面上昇にも対応できる水上家屋のコンセプトを生み出した。
- この水上家屋はモジュール式で、それぞれのパーツは工場で大量生産し、低コストで組み立てることができる。
- 電気は太陽光パネルを使って自給するという。
デザインスタジオ「グリムショー(Grimshaw)」とメーカー「コンクリート・バレー(Concrete Valley)」は、水上家屋「Modular Water Dwellings」のデザインで協力した。この水上家屋は、今後及ぶであろう気候変動の影響に耐え、エネルギーをより持続可能な形で使用するよう設計されている。
水上家屋は複数のパーツを組み立てて作られる。これは建設費用を抑え、必要に応じて客がカスタマイズできるよう、多くの極小住宅を手掛ける企業が取っているアプローチだ。
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コンクリート・バレーの製造施設はオランダの水路に面しているため、施設で組み立てられた水上家屋はそのまま目的地へ運ばれ、すぐに入居することが可能だ。現地での組み立てがいらないので、これは建設にかかるエネルギーを削減することにもなると、グリムショーはBusiness Insiderに語った。
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デザインするにあたっては、手頃さと持続可能性を重視したと、デザイナーたちは話している。「地上で建設する時のような制約を受けず、海面上昇による洪水の脅威にも強い、手頃な住居」を提供したいという。
国連の2019年の報告書によると、海面水位は80年以内に最大で3フィート(約91センチ)上昇し、数億人が行き場を失う可能性があるという。
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デザイナーたちは、家屋の下の水を室内の熱を放出し、温度調節のために利用。2階部分には太陽光パネルを設置し、日中にエネルギーを貯めるという。雨水を採取する仕組みも備えている。
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その他のデザインも、使用するエネルギー量を減らすことに貢献している。それぞれのフロアがしっかり断熱されていて、下の階は日陰とコンクリート製のフロートのおかげで自然と涼しいままだ。
デザイナーたちは、この水上家屋が住民の健康や幸せにつながると考えている。この家に住むことで、自然との距離が近くなり、美しい景色や水へのアクセスを楽しむことができるからだ。釣りやパラセーリングといったウォーター・アクティビティーや、フロート部分を活用した庭やテラスといった共有スペースを作るのも良いアイデアだとしている。
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水上家屋「Modular Water Dwellings」はまだ開発段階だ。グリムショーとコンクリート・バレーはプロトタイプ作りを続けている。だが、満足できる質と手頃な価格が実現でき次第、市場に出す計画だと話している。
(翻訳、編集:山口佳美)