「10万円を投げ銭」した猛者も。Jリーグで“投げ銭”応援イベント続々。気になる手応えと実績は?

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浦和レッズは6月13日に、アプリ「Player!」を利用した投げ銭イベントを行った。浦和レッズのサポーターたちから、多くの寄付が行われた。

Player!の画面よりキャプチャー。

サッカー・Jリーグでオンラインでの「投げ銭」を試す動きが活発化している。

Jリーグは新型コロナウイルスの影響で公式戦の中断を余儀なくされた。本来、開催するはずだった公式戦が開催できないと、当然、各チームはチケット収入、スタジアムでの飲食・グッズ収入などが見込めない。公式戦の延期が続けば続くほど、チームの経営は圧迫される。

そんな状況下で、新たな収入源の模索が始まった。その一つが、オンラインを通じた「投げ銭」だ。

鹿島アントラーズは現役の選手やOBが登場する“投げ銭”イベント

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鹿島アントラーズは5月16日に、過去の試合映像を視聴しながら、OBや現役選手によるトークイベント「鹿ライブ」を実施した。「Player!」を通じてサポーターから“投げ銭”されていた。

鹿島アントラーズのYouTube公式チャンネルより。

いち早くトライしたのは、鹿島アントラーズだった。

5月16日にはファン・サポーターと、現役の選手、OBが一緒に過去のアーカイブ映像観戦するオンラインライブイベント「鹿ライブ」があった。

YouTubeのJリーグ公式チャンネルとNHK BS-1で鹿島の過去の試合が配信・放送されるのに合わせ、チームOBや現役選手たちは試合を視聴しながら、スポーツのニュースや動画を楽しめるアプリ「Player!」で思い出など話した。


Player!ではクレジットカードとひも付ければ、金額を指定して寄付することができる。

Player!ではクレジットカードとひも付ければ、金額を指定して寄付することができる。

Player!の画面よりキャプチャー。

Player!には寄付機能があり、アプリでの視聴者は500円から最大999万9999円まで寄付することができた。

およそ5時間に及ぶイベントで、総視聴回数は約5万7000回に達し、総視聴者1万5528⼈が参加した。「投げ銭」の合計金額は非公表だが、数万円を寄付するサポーターもいた。

鹿島の担当者は「過去の試合映像にも関わらず、これだけの⽅に参加いただけたことに驚いています。課題は、Player!というプラットフォームを利⽤しましたので、それに馴染みがない⽅の参加が難しかったと感じています」と振り返った。

鹿島アントラーズは2回目のトライとして、6月20日の町田ゼルビアとの練習試合(45分×4本)ではPlayer!を用いず、代わりにYouTube Liveで試合映像を中継。さらに、音声配信アプリ「stand.fm」でも試合音声を生配信した。解説者にはチームOBで元サッカー日本代表の中田浩二氏が参加した。

鹿島アントラーズは6月20日も、YouTubeLiveで“投げ銭”イベントを行った。

鹿島アントラーズのYouTube公式チャンネルより。

YouTube Liveでは「スーパーチャット」機能で、stand.fmでも「贈り物」機能で、共に「投げ銭」ができる。

YouTube Liveでは一時2万人を超える視聴者(筆者が目視で確認)が参加していた。その一方で、試合で鹿島がなかなか点を決められず、試合内容が良くなかったこともあり、サポーターからは「投げ銭」がなかなか入らなかった。

ただ、3本目の練習試合でようやく得点が生まれた瞬間には、ご祝儀的な投げ銭が数百円〜数千円まで出ていた。

浦和レッズの“投げ銭”イベントでは10万円を寄付するサポーターが

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浦和レッズが6月13日に行われたイベントでは、10万円を寄付したサポーターが話題になった。

Twitterよりキャプチャー。

鹿島の動向を見たという訳ではないだろうが、6月13日には多くのサッカークラブが投げ銭イベントを実施していた。中でも話題になったのが、浦和レッズだ。

浦和レッズは町田ゼルビアとの練習試合をYouTube Liveで生配信。さらにPlayer!でチームOBによるトークイベントを同時に行った。すると、浦和レッズのサポーターの一人が10万円を寄付し、話題となった。

浦和レッズの担当者は、初めての投げ銭イベントの取り組みについて、「Player!についての数字は非公表ですが、YouTube Liveで同時視聴数4万7000ユーザーとかなりの反響がありました。予想以上に、多くの方に楽しんでもらえましたし、サポート(投げ銭)して頂きました」と感謝の意を示す。

一方で、担当者は「アプリ登録の壁」を課題としてあげた。Player!は初めて使う人が多く、登録につまづいた人がSNS上で話題になっていたのだ。

もちろん浦和レッズは対策として、チーム公式ツイッター上でアプリの使い方や登録方法などを図も入れて説明はしていた。

「今回、事前に報道して、話題にして頂いたことで、Player!というアプリを利用してもらいました。が、アプリの性質上、そもそも知らない人がいるので、まず登録の仕方などこのアプリを知ってもらわなければいけない。(浦和として)アプリにつなげる導線をもっと改善、強化していく必要があります。ただ、本当に多くの方が利用してくれました」(浦和レッズの担当者)

清水エスパルスも6月13日に、藤枝MYFCとの練習試合をPlayer!を通じて投げ銭企画を開いた。投げ銭の合計金額は非公表だが、「投げ銭」の回数は833回、最高1万円の寄付があったという。

「目的としては、Jリーグの公式戦が(再開後数試合が)無観客で、我々の収入源が限られているので、新たな収入の確保したかった。それと、新たな観戦方法のご提案です。まず実証したかった。今回行ったことで、次回への目安となりました。今回の数字が多いのか少ないのかわかりませんが、やることでデータが得られて、参考になりますし、次に繋げられます」(清水エスパルスの担当者)

“投げ銭”に適したプラットフォームを各チーム模索

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Engateはポイントを購入して、スタンプなどを購入して応援する形だ。

Engateのホームページより。

投げ銭イベントではPlayer!を利用したチームが目立つが、もちろん違うアプリを採用したところもある。

セレッソ大阪はスポーツコミュニティープラットフォーム「Engate(エンゲート)」を介して、投げ銭イベントを実施した。登録すると、1pt=約1円で10ptから応援できる。

6月13日と21日のイベントで、セレッソ大阪の選手とOBがEngate上で過去の試合を視聴しながら話すイベントが開かれた。13日は251人が計25万1630pt、21日は357人が計43万2410ptを投げ銭された。

セレッソ大阪の担当者は「可能性を感じました。その理由として、ギフティング(投げ銭)は色んな手段がありますが、Engateのプラットフォームはギフトを贈る際に選手のスタンプだったり、メッセージを送ることができる。お金を送るというより、スタンプなどでイベントを盛り上げれます。それに対し、選手も反応することで、さらに盛り上がりました」と手応えを得ていた。

どういった形なら参加しやすいのか模索し、1回目は「DAZN(ダゾーン)」で試合配信を見ながらEngateでトークイベントを見る形式だったが、2回目はEngateのみで試合とトークイベントを楽しめる形式にした。

「1回目の時は試合とトークイベントの映像を楽しむために、2つのデバイスを必要としましたが、2回目は1つのプラットフォームで楽しめるようにしました」(セレッソ大阪の担当者)

6月21日に参加したセレッソ大阪の柿谷曜一朗選手は、

「自粛期間中があったからこのようなイベントが開催出来たと思います。初めてギフティングイベントの参加でしたが、とても楽しかったです。このようにサポーターと触れ合う機会は今後も継続していきたいと思います。リモートマッチの大阪ダービーでは記憶に残るような試合をしたい」

とコメントした。当然、今回限りの取り組みではなく、継続的に取り組んでいくとのことだった。

愛媛FCは無料送金アプリを活用した“投げ銭”

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愛媛FCは無料送金アプリ「pring」を活用してイベントを行った。

愛媛FCのリリースより。

6月13日に投げ銭イベントを実施した愛媛FCは、送金アプリであり会員制交流サイト「pring(プリン)」を活用した。アプリ内で録画した試合映像を配信し、選手たちが解説する内容で投げ銭を得た。

「pringを選んだ理由として、2つ理由があります。1つはプリンが金融庁から送金事業社としての免許取っていること。Jリーグとしても、今後、投げ銭についての法整備等確認しているので、より確認が取れているpringを選びました。もうひとつが、ファン、サポーターとのコミュニケーションを取りやすいプラットフォームであります。アイドルグループが利用しているという事例もあります。また、初期費用、固定費がかからず、導入がしやすいです」(愛媛FCの担当者)

pringはギラヴァンツ北九州も導入を発表している。

新型コロナウイルスの影響下で、Jリーグの各チームは収入が大きく失われてしまった。“投げ銭”のように新しい収入源への取り組みが始まってきたが、試合開催によって得られる1試合あたりのチケット収入には遠く及ばない。ただ、“投げ銭”を含め、収入が多様化することは決して間違いではないはずだ。

(文・ 大塚淳史

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