新製品「Dyson Digital Slimコードスクリーナー」の発表会に登壇したタレントのSHELLYさん(左)と、ダイソンでデザインエンジニアを務めるJames Shale(ジェームズ・シェール)氏。
撮影:小林優多郎
ダイソンは6月22日、新型スティック掃除機「Dyson Digital Slimコードスクリーナー」の4モデルを発売した。価格はオープン価格だが直販サイトでは以下のとおり(いずれも税込)。直販サイトのほか、各量販店の店頭やECサイトでも取り扱われる予定。
- Dyson Digital Slim Fluffy Origin……6万4900円(付属ツール4点)
- Dyson Digital Slim Fluffy……7万5900円(付属ツール6点)
- Dyson Digital Slim Fluffy+……8万6900円(付属ツール9点)
- Dyson Digital Slim Fluffy Pro……9万7900円(付属ツール10点、直販限定モデル)
小型・軽量化でも性能はハイエンド級
Dyson Digital Slimコードスクリーナーの上部。
撮影:小林優多郎
Digital Slimは新設計のモデルではあるが、同社のパワフルモデル「Dyson V11」の事実上の後継機と言える。
おもに日本、韓国、中国と言ったアジア市場向けに投入されるモデルで、通常利用時で1.9kgという軽量さ、クリーナーヘッドはV11比で45%、モーターはV11比で15%の小型化を実現している。
Dyson Digital Slimコードスクリーナーのモーター部とサイクロン機構。
撮影:小林優多郎
小型・軽量化の一方で性能面はほとんどV11と同様。とくに、同社の代名詞的とも言える“高い吸引力”を実現するDyson Hyperdymium モーターの回転数は、V11が毎分最大12万5000回転なのに対し、Digital Slimは12万回転となっている。
そのほかにも、電源スイッチに相当する「ソフトタッチ・トリガー」も小柄な人でも取り回しやすく、手に馴染むように形状が調整されている。
とはいえ、V11も引き続き販売され、Digital Slimの登場にあわせて「Dyson V11 Absolute Extra」というV11と比べて全長のサイズが短くなった新モデルも登場している。
当分はV11シリーズが大型ハイエンドでバッテリー駆動時間の長いモデル、Digital Slimシリーズが小型ハイエンドでバッテリー駆動時間が比較的短いモデルという建て付けになる。
Digital Slimはアジア圏の声や住環境から生まれた
シンガポールのオフィスから参加したフロアケア製品開発部責任者のWill Kerr(ウィル・カー)氏。
撮影:小林優多郎
ダイソンでフロアケア製品開発部責任者のWill Kerr(ウィル・カー)氏とDigital Slimの製品開発チーフであるTong(トング)SS氏は、Digital Slimの開発の背景には、アジア市場のユーザーから受けたフィードバックや、同社本拠地のあるヨーロッパ圏との住環境の違いがあったとする。
日本の家電量販店の店頭などを見ても分かるが、ダイソン製品はアジアでも一定のブランドを確立しており、同社は「テクノロジーに詳しいお客さんが多い」(Will Kerr氏)と、いわゆるアーリーマジョリティーまでの情報感度の高いユーザーに好評を得ていると分析している。
新しい機構についてマレーシアオフィスから解説するTong(トング)SS氏。
撮影:小林優多郎
一方で、V11までの同社製品を購入、検討したユーザーからは「もう少し小さく、でも性能はそのままのものが欲しい」などの要望を受けていた。
アジアの一般的な住居は、ヨーロッパやアメリカの家より小さく、また掃除の頻度も高い傾向にあるという。そのため、より小型で軽量なモデルが求められていたというわけだ。
そのため、ダイソンはDigital Slimの開発に約2年の月日を費やし、フローリングだけではなく畳や木材を使った床、ほこりの傾向などアジア圏内の住環境化でテストを重ねた。Digital Slimの試作機の数は2000種類、テスト回数を7万回。非常に研究コストをかけた製品であると明かしている。
コロナ禍で掃除機の“買い換えニーズ”が起きている
コロナ禍により来日できず、イギリスの同社ショールーム「Dyson Demo」からビデオで発表会に出演した創業者のJames Dyson(ジェームズ・ダイソン)氏。
出典:ダイソン
ダイソンはこの新型コロナウイルス感染症の拡大で、ある興味深い影響を明らかにしている。
日本において掃除機などの家電製品は、量販店をはじめ店頭で実機を見た上でその場、もしくはECサイトで購入するユーザーが未だに多い。
そのため、外出自粛や実店舗の営業時間縮小などの煽りを受けやすいと予想できるが、ダイソン広報は販売傾向について「落ちてはいない」と否定した。
むしろ、問い合わせ窓口には機器の使い方などの相談が増えているという。同社はこの原因を「外出自粛や在宅勤務などで家にいる時間が長くなり、掃除の時間も増え、普段は掃除をしない場所に目がいくようになったのでは」と分析している。
ダイソンはは引き続き、ソーシャルディスタンスを喚起するフロアデザインの整備やお知らせ、店員のマスク着用義務の実施などに取り組み、東京・表参道などにあるショールームや店頭のコーナーなど製品体験の場を提供していくとしている。同時にオンラインでの“掃除機買い換えニーズ”にも対応していく方針だ。