「いつクビになるかわからない」観光・飲食業で“失業予備軍”が激増。一方で急増する“ある求人”とは?

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観光業や飲食業の従事者の中には、フードデリバリー配達員を始めた人も多い。

提供:シェアフル

新型コロナの感染拡大の影響で、飲食業や観光業が大きなダメージを受け、仕事を失う人も増加している。

総務省が2020年5月29日に公表した労働力調査によると、2020年4月の完全失業率(季節調節値)は2.6%。3カ月連続で増加した。最も影響を受けた業界は、「宿泊業、飲食サービス業」で、就業者数は前年同期比で46万人減少している。

雇用契約を維持したまま一定の給与が支払われるものの、勤務先の先行きによっては「潜在的な失業」の可能性もある「休業者」は、2020年1月は194万人だったが、2020年4月には約3倍の597万人に急増している。

新型コロナ感染の第二派の到来も懸念され、雇用環境が厳しさを増す中、観光業や飲食業で働く人の中には、仕事がなくなったり、休業になったりして、新たな収益源の確保を迫られている人たちもいる。

沖縄での仕事がキャンセルに

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沖縄の観光名所「国際通り」。2020年の夏はインバウンドを中心に大きな影響を受けそうだ。

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「スキーや海が好きなので、自分も楽しみながら、お客さんも楽しませられる。そんな仕事を続けていければと思っていましたが、今後どうなるのか正直分かりません」

神奈川県に住む茂木翔平さん(30)はそう話す。

茂木さんは約5年前から、夏は沖縄、冬は北海道に行き、マリンスポーツやスキー場での仕事をしながら、住み込みで働く生活をしてきた。

住み込みでの収入は額面で年収約300万円。北海道と沖縄の間の時期には、副業としてフードデリバリーの配達員も行っていた茂木さんだったが、新型コロナの影響で住み込みの仕事はなくなった。

「沖縄に来るのは遠慮してほしい」

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フードデリバリーの配達員を行っている茂木さん。

提供:シェアフル

2019年も12月から北海道のスキー場で働いていた茂木さんだが、海外から北海道を訪れる観光客は激減。4月中旬まで予定していた北海道での仕事は、3月中旬には切り上げ、神奈川県に帰ることになった。

5月のGW前からは沖縄で働くはずだったが、それも延期になっている。

「非常事態宣言が出ており、『感染源の東京から沖縄に来るのは遠慮してほしい』と言われました。

毎年7~9月は予約でいっぱいだったのに、今年は9月に予約が数件だけというお店もあるようです。コロナの影響の大きさを肌で感じています」

仕事がなくなった4月以降、茂木さんの収入源になったのは、フードデリバリーの配達員だ。5月は週5日働き、手取りは約17万円だったという。

「7月から沖縄で働けるという話もあるのですが、あくまで予定です。もしも第二波が来たらまた、仕事はゼロになってしまうでしょう。

好きで続けてきた仕事なので、戻りたいと思ってはいますが、業界を変えて働かないといけないかもしれません。

デリバリーの仕事を続けながら、状況を見守りたいと思っています」

レストラン休業、補償は給与の6割

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新型コロナの感染予防のため、東京ではほとんどの人がマスク姿だった。

撮影:竹井俊晴

横浜市の鉄板焼き店で、正社員の料理人として約3年働くユズルさん(仮名、38歳)の勤務先も、4月中旬から休業に入った。

昼時には列ができ、夜は比較的、リッチな層が集まる人気店だったが、3月に状況は一変した。

「これまでは予約でいっぱいになる日もあったのですが、まったくお客さんが来ない日もありました。

うちの店ではデリバリーやテイクアウトもしていないので、休業することになりました。


休業中は給与の6割を補償すると言われました。これまでは手取りは約25万円だったので、6割では生活できません」

収入を確保するため、ユズルさんはフードデリバーの配達員を始めた。休業期間に行っていた週3日のデリバリーでの収入は、月約10万円だった。

楽に生活できる額は稼げないものの、急な解雇のリスクも考えると、いつでも働ける選択肢を得られたことは大きかったという。

ユズルさんの店は5月下旬に再開。少しずつ客足は戻ってきたが、席数を限定しての営業が続く。

「お客さんは半分以下に減り、勤務先のレストランは赤字が続いています。第二波の心配もあり、このままだといつ解雇されるか分かりません」

増えるデリバリー求人

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シェアフルに登録している企業数は新型コロナの感染が深刻化した2月以降に急増している(フードデリバリー以外も含む)。

提供:シェアフル

飲食業や観光業が大きなダメージを受ける中、フードデリバリー配達員の求人は増加している。

1日単位など短期間でのアルバイトを紹介するプラットフォーム「シェアフル」によると、外出の自粛が始まった3月以降、大手デリバリーサービス企業からの求人が激増した。

同サービスに掲載されたデリバリー求人は2020年3月からの1カ月で、7割以上に増えた。同社によると、6月以降もフードデリバリー配達員の求人は増加傾向が続くとみられる。

宿泊業や飲食業に、特に大きな影響をもたらしている新型コロナウイルス。影響はまだ長期化しそうだ。

先が見えない状況が続く中、前出のレストラン勤務のユズルさんはこう語る。

「フードデリバリーの注文は、これからも間違いなく増えると感じています。同じ飲食店でも、フードデリバリーで成功している店もあります。

今後の状況次第では、デリバリーに力を入れている店への転職も考えた方がいいかもしれません」

(文・横山耕太郎)

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