Airbnb、トリップアドバイザー、Lyft…95社の研究で見えた「ユニコーン企業を生むアイデア」6つの源泉

ユニコーン企業

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  • 優れたアイデアはたいてい個人のニーズから生まれる。
  • 成功する創業者は、アイデアより先に独立したいという願望を抱く。
  • 数10億ドルのスタートアップ企業の創業者たちは、クリエイティブである半面、人と衝突することも多い。他の経営者との違いはそこにある。

人生を変えることになるアイデアがふいにひらめいたのは、ステファン・カウファー(Stephen Kaufer)が次の休暇旅行でどこに行こうかとネットサーフィンをしていた時だった。旅行代理店おすすめのメキシコのホテルは3軒。ホテル代が一番安いところにしようか。

だが、サイトに書かれていることが本当かどうかをチェックしたい。そこで、旅行客がそれまでに撮影した写真を見てみることにした。かなりのテクニックを使い時間をかけて探した結果、ようやく個人の旅行記が見つかった。その時カウファーは思った。旅行プランに関する確かな情報を集めたプラットフォームをつくれば当たるはずだ、と。

読みは的中した。カウファーは1年後に旅行口コミサイト、トリップアドバイザーを設立。現在の年間売上高は156万ドルに達している。

優れたアイデアに刺激を与えるものは何か?

Uber、Klarna(スウェーデン発の後払い決済サービス)、HelloFresh(オンライン食材キット宅配サービス)といったいわゆるユニコーン企業は、日常生活を楽にしてくれるとともに、創業者に大きな富をもたらす。ユニコーン企業とは、他社を買収することなく評価額10億ドルを超える未上場のスタートアップ企業のことだ。

それにしても、数10億ドルの事業アイデアはどのようにして生まれるのか? 決定的な刺激となるものは? 成功した創業者から何が学べるだろうか?

ひらめき

ユニコーン企業のビジネスアイデアはどうやって生まれたのだろうか?

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このテーマについて、起業論が専門のアレクサンダー・ニコライ(Alexander Nicolai)オルデンブルク大学教授と同大の研究者レギーナ・ヴァルナー(Regina Wallner)が調査を行った。

ユニコーン企業の研究に先立って、まず任意に選んだスタートアップ95社におけるアイデアの源を探った。次に、ヨーロッパとアメリカにおけるユニコーン企業トップ50社のイメージをつかむために、インタビューを行い、YouTubeビデオを分析し、データベースをくまなく探した。“促進剤”とみなしたものは、先に調査したスタートアップ企業の“インパルス(行動の原因)”に分類する。

調査から分かったのは、ヨーロッパおよびアメリカにおいて非常に評価額が高いスタートアップ企業の84%はテック企業であること。興味深いことに、アメリカのサイバーセキュリティ企業パランティア(Palantir)のような真のハイテク・ユニコーン企業は少数派に属する。

「たいていの企業は出来合いのテクノロジーを利用している。つまり、なんらかの形で市場にすでに存在するもの」ということだ。Spotifyしかり、Airbnbしかり、Klarnaしかりだ。

優れたアイデアは、平凡だが本質的なニーズから生まれる

経営コンサルタントが説くのとは違って、すばらしい思いつきは創造性を刺激するテクニックや予測ツールからではなく、ニーズから生まれる。「解決する価値のある課題……創業者自身がそうした課題を持っていたケースも多い」とニコライ教授は語る。比較研究によると、別のインパルスから生まれたスタートアップ企業は失敗するケースが多い。

アイデアは、準備のある人の心に浮かぶ。「意外なことに、実際どの創業者も早いうちに独立したいという願望を持っていて、イノベーティブなアイデアは後から生まれている」とニコライ教授は指摘する。もうひとつ驚かされたのは、テック系ユニコーン企業の成長が急速なこと。「自分のアイデアが10億ドル市場に通じるとは、誰も思わなかったはずだ」

評価額10億ドルを超えるスタートアップ企業の創業者に共通しているのは、優れたアイデアの他にもいくつかのファクターがある。「粘り強さや野心といった性質がプラスに作用することは驚くに値しない」とニコライ教授は語る。これは実際どんな職業にも言えることなので、特に創業者の特徴というわけではない。

夕暮れ

成功する創業者に共通するのは、人と衝突することも厭わない姿勢だ。

Shutterstock

研究結果が示す興味深いファクターは、人との折り合いがあまりよくない、と心理学者が表現するものだ。「成功する創業者は、人を怒らせたり侮辱したり、時には自分を笑い者にすることも厭わない」。この点で経営者とは違いがある。

しかし、最高のアイデアでも失敗することもある。これは常に頭に入れておきたい。例えば、チーム内の不和、販売の低迷、過当競争といったことが原因だ。「創業者が開発したものが市場のニーズにマッチしないこともよくある」とニコライ教授。特定のテクノロジーに夢中になったり、一時的な流行に飛びついた企業などにありがちだ。

それに、成功した創業者のほとんどは、ブレイクする前に一度は挫折している。「決め手となるのは、アイデアを試すときの学習プロセスの速さやクオリティだ」と教授は言う。

とはいえ、デジタルの力をうまく利用したいなら、ひらめきは欠かせない。ひらめきの起こり方は千差万別だが、ニコライ教授とヴァルナーは6つの源泉を発見した。

10億ドル規模の事業アイデアをいったいどうやって思いつくのか。決定的なインパルスはどこから来るのか。成功した創業者たちからどんなことが学べるのか——以降では、ニコライ教授とヴァルナーがHarvard Business Manager(『ハーバード・ビジネス・レビュー』誌のドイツ語版)に発表した研究報告から、これらの疑問に対する答えを探っていこう。

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