【慶應大医学部教授・宮田裕章3】「農場から素材集める料理人」のようなデータサイエンティストとしての強み

宮田裕章

慶應大学医学部教授の宮田裕章の研究室は、東京・信濃町にある同大病院を取り囲むように建つ校舎群の一角にある。

内部は研究室というより、デザイナーズホテルのようなしつらえ。木目調の落ち着いた空間にカラフルな猫足ソファーの差し色が効いている。取材した日の装いも鮮烈で、ブルーが基調のブルゾンと宮田のトレードマークとなった銀髪とがコントラストをなしていた。

ファッションの諸行無常という面白さ

ファッションへの向き合い方は、実にゆるやかだ。

「祖母が呉服屋を経営していたこともあり、私は幼い頃からファッションに触れてきたけれど、別にどの段階からファッションを好きになったって、貴賤はないと思う。デムナ・ヴァザリア(Balenciagaデザイナー)はジョージア(旧グルジア)出身で、幼少期にはファッションにあまり触れることはできなかった。そんな彼のファッションへの渇望は、ある程度満たされた中でファッションに触れてきた先進国のデザイナーにはないエネルギーがある」

独特のシルバーヘアについては、こう話す。

「NHKに出演して、髪をシルバーに染めた理由を問われて、いろいろな理由を答えていますが、どちらかといえば後付けです(笑)。まずは気持ちが上がるかどうかを重要視しています」

研究者としてのスタイルには、こだわりを持つ。宮田はファッションに絡めてこう話す。

「ファッションの面白いところは、諸行無常なところ。『最高だ↗』と思っていた服が、次の瞬間『ダサイ↘』となることもある。

研究者はどうしても、普遍的な価値とか法則とかに重きを置きがちで、それはそれで尊い。ただ、ある瞬間にそれが全部間違いだったっていう局面が来るかもしれない。変わり続ける世の中に身を晒しながら、自分の価値観を問い続けることは、クリエイターとして自分のスタイルにおいては大事な部分でもあります」

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