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タクシー配車「DiDi」の一部提供エリア中止は撤退のサインではない? ── コロナ禍めぐる対応の真意

DiDiのラッピングタクシー

DiDiのラッピングが行われたタクシー。DiDiは方針変更を表明した(2019年4月撮影)。

撮影:小林優多郎

日本でタクシー配車サービス「DiDi」を展開するDiDiモビリティジャパンが突如、現在サービスを提供している25都市のうち一部地域でのサービスを7月1日から中止し、14都市に絞ると発表して2日が経とうとしている。7月13日からは運賃と配車料とは別に「アプリ利用料」が発生するようにもなるという。

2018年7月に日本進出を果たし、全国展開を目指して各タクシー事業者との連携を重ねてきたDiDi。事実上の「サービス縮小」「値上げ施策」の背景にはどのような方針転換があったのか。DiDiモビリティジャパンの広報担当に話を聞いた。

コロナ禍で、事実上のサービス縮小と値上げを慣行

DiDi お知らせ

7月1日から一部地域でのサービス中止をしらせるDiDiのお知らせ。

出典:DiDi

まず、事実関係を整理すると今回のニュースの詳細は以下の通りだ。

  • 7月1日から、青森、秋田、新潟、群馬、石川、滋賀、和歌山、山口、長崎、大分、宮崎の全域と、北海道、兵庫、広島、沖縄の一部地域でサービスを中止する
  • 7月13日から、DiDiアプリでの1回の配車ごとに新しく「アプリ利用料」をユーザーに請求する

まず、1点目の一部地域での中止について、DiDi広報担当者は「正確にはサービス中止ではなく一時停止」だと説明した。

新型コロナウイルス感染症拡大により、もともと利用頻度が少ないなど“採算性の厳しい”地域での展開を一時的にやめ、より収益性の高い地域のリソースにあてるという。

新型コロナウイルスの影響が落ち着き、事業全体の黒字化が達成もしくは見えてきた段階で「徐々に中止した地域でもサービスを再開する方針」。ただし、「再開時期は(新型コロナウイルスが落ち着く時期も)未定のため、中止をアナウンス」したという。

DiDi アプリ

7月13日以降、DiDiで配車を依頼すると配車料と運賃とは別に「アプリ利用料」が発生する(写真は2019年4月時点のDiDiアプリ)。

撮影:小林優多郎

2点目のアプリ利用料の新設についても、これまたコロナ禍に加え、タクシー料金が法律で定められている点が影響しているという。

外出自粛で交通業界全体の先行きが暗い中、タクシー事業者から現状以上の手数料をとるわけにも、また法律で定められた運賃などを上げるわけにもいかず、「今後の(DiDiの)投資資金を確保するため」のアプリ利用料徴収だったと、背景を語った。

とはいえ、ユーザーとしては実質運賃の値上げになるため、「国土交通省と相談し、一定の告知期間を設けて、ユーザーへの周知徹底に努めた上でアプリ利用料を徴収する」(同社広報)方針だ。

なお、一部報道では「東京エリアは440円」「エリアによっては数段階の金額設定がある」と報じられているが、これらは「一部のタクシー事業者への説明の際に提示した数字」だという。

DiDi広報担当はBusiness Insider Japanの取材に対し、現時点では未確定ながら「東京エリアは(440円より低廉な)数百円程度」「大都市とそれ以外というシンプルな価格設定」になる見通しだと述べた。

都内の客足は戻りつつある

横断歩道の前に立つ人

都市部でのタクシー利用者は戻りつつある(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

県境をまたぐ移動の自粛要請は6月19日から解除された、ビフォーコロナに比べると「大手を振って移動できる状況ではない」と体感的に思っている人もいるだろう。

これについてDiDi広報は、同社サービス内の利用状況は「(7都府県に緊急事態宣言の発令された)4月に底をついた」「現在は昨年同様まで持ち替えしてきている」と話す。

JapanTaxiとMOV

日本交通ホールディングス(HD)とディー・エヌ・エー(DeNA)は2月4日、配車アプリ事業「Japan Taxi(ジャパンタクシー)」と「MOV(モブ)」を統合すると発表した。

撮影: 横山耕太郎

同じくタクシー配車サービスの「JapanTaxi」「MOV」を提供するMobility Technologiesの広報担当者は、「昨年同月比で、5月のタクシー(業界全体の)営収は全国で-66%、都内では-63.6%だった」と説明。

一方、「都内の主要タクシー事業者の、5月の無線配車件数(電話も含む)は半数を切っておらず、『JapanTaxi』『MOV』でも、タクシー全体の需要の落ち込みと同様に注文数は減少しているが、全体に比べて減少幅は少なかった」とコメントした。

「緊急事態宣言が明けてからは、雨が続いた影響もあるかもしれないが、徐々に注文数も回復してきており、現状としては全体的に7〜8割程度に戻ってきている状況」(Mobility Technologies広報)

DiDiとMobility Technologiesのコメントから、都内の状況は“そこまで悪くはない”、“足下では利用者が戻ってきている状況”であることがわかる。

今回、DiDiが下したリソースの選択と集中、事業の安定化に向けたアプリ利用料の徴収は、日本のMaaSやシェアリングエコノミー事業にどのような影響が出るのか注視したい。

文、撮影・小林優多郎

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