ミャンマー紛争地域のインターネット遮断から1年…住民はコロナウイルスのことを知らない

ヤンゴン

2020年3月3日、ミャンマーのヤンゴンのダウンタウンを歩く人々。

Paula Bronstein/Getty Images

  • 2019年6月21日、ミャンマーはラカイン州とチン州など同国北西部でモバイルインターネット接続を遮断した。
  • 遮断はまだ8つの地域で実施されたままで、一部の村ではコロナウイルスのパンデミックが知られていないほどだと、人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチは指摘している。
  • 遮断されている地域は紛争地帯であり、人権団体はミャンマーと国際社会に対し、遮断を終わらせるよう求めている。

ミャンマーでのインターネットの停止は1年を過ぎ、市民の一部はコロナウイルスのことを聞いたことがないほどだという。

シャットダウンは2019年6月21日から施行されており、ラカイン州とチン州に住む100万人以上の人々に影響を与えている。これらの州はどちらも紛争地域だ。ラカインはミャンマーのイスラム教徒、ロヒンギャの住む地域であり、数十万人が軍による迫害で隣国バングラデシュに逃れた

ニューヨークに本拠を置く人権擁護団体ヒューマン・ライツ・ウォッチによると、2019年1月以降、ミャンマー軍と自治拡大を望む反政府勢力「アラカン・ロヒンギャ救世軍」との戦闘により、数百人の民間人が殺害され、さらに10万6000人が避難しているという。

インターネットの遮断は、ラカイン州とチン州の9つ地域と町を対象としたもので、政府によって公式に行われた。政府はセキュリティ上の懸念として、アラカン軍がモバイルインターネットを使って政府軍を標的にしていると述べた。1つの町は閉鎖を解除されたが、他の8つの地域ではまだ遮断が続いている。

ミャンマー政府関係者は6月12日、遮断を少なくとも8月1日まで延長すると発表した後、記者団に「公共への脅威や法律違反がなくなった場合は、インターネットサービスを復旧させる」と語った

ヒューマン・ライツ・ウォッチは6月19日のプレスリリースで、人々がコロナウイルスの大流行にまったく気付いていなかったと、ある村から戻ってきた活動家たちが報告したと述べた。

ミャンマー議会の議員でアラカン国民民主連盟(Arakan National League for Democracy)に所属するフート・メイ(Htoot May)はCNNの取材に対し、政府の公衆衛生に関する警告は効果を上げていないと語った。彼女は「選挙区の人たちにCOVID-19を知っているかどうか尋ねるとき、私は世界的なパンデミックについて一から説明しなければならない」とCNNに語り、「私は彼らに社会的距離とは何か、そして適切な手指衛生を実践する方法を説明しなければならない」と続けた。

「彼らはCOVID-19を恐れていない。なぜならそれを知らないからだ。彼らは紛争の方を心配している」と彼女は付け加えた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのアジア地域の法律顧問、リンダ・ラクディール(Linda Lakhdhi)は、ミャンマー政府はインターネットアクセスを回復すべきだと言う。

「ミャンマー政府は、現在世界最長となっている政府による強制的なインターネット遮断を直ちに停止すべきだ。パンデミックの最中、ラカイン州でのミャンマー軍とアラカン軍との武力衝突で、民間人が安全を確保するために必要な情報を得ることは極めて重要だ」と、彼女は述べた。

ヒューマン・ライツ・ウォッチやPENアメリカなどの非営利団体は5月26日、世界保健機関(WHO)に書簡を送り、ミャンマーに閉鎖をやめさせるよう要請した。

この遮断は、ミャンマーのインターネット・ユーザーがアクセスする主な方法であるモバイル接続に影響を与えている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチ・アジアの所長代理、フィル・ロバートソン(Phil Robertson)は、「ミャンマーは東南アジアの他の多くの地域と比べて、オンライン化が遅れた」と、Business Insiderに語った。

「2010年以前は、ミャンマーのほとんどの人が携帯電話を手に入れることは事実上不可能だったし、ましてやインターネットにアクセスすることなど不可能だった。ミャンマーが鎖国政策をやめたとき、モバイル・インターネットは人々を迅速にオンライン化する安価で効果的な方法であり、その結果は驚くべきものであり破壊的なものだった」

ロバートソンは、COVID-19の存在に気付いていない村人たちにとって、COVID-19がどの程度の脅威になるかは不明だと述べている。

「ミャンマーは、コミュニティでの感染数を抑えることには成功したようだが、実際の感染率を明確に理解するには検査のレベルが低すぎる」と、彼は言った。6月26日の時点で、ミャンマーではCOVID-19が293例報告されているだけであり、死者は6人だ。

彼はまた、ミャンマー政府は確認された症例の報告を禁止する法律を導入したと述べた。

「『公衆を驚かせたり、パニックを引き起こしたりする可能性のある感染症の発生に関連した過程』を報告した者には、6カ月の拘禁刑と罰金が科される可能性がある。当局はまた、COVID-19への規制に違反しているとみられる個人を起訴して投獄するために自然災害法を利用した」と、彼は述べた。この新しい法律の下で、少なくとも500人がすでに投獄されているという。

「ミャンマー軍は、8月1日以降もこの制限を拡大することで、この地域での情報遮断を継続し、現在起きている多くの人権侵害や戦争犯罪の報告を制限したいと考えている」


[原文:Myanmar has had an internet blackout for a year. Some of its citizens still don't know there's a pandemic.

(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)

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