マイクロソフトのサティア・ナデラ最高経営責任者(CEO)。
Brad Barket/Getty Images for Fast Company
米金融大手ゴールドマン・サックスはマイクロソフトの目標株価を引き上げた。同社が新型コロナウイルスの世界的大流行からいま以上に利益を生み出し続けると判断したためだ。
ゴールドマンのアナリスト、ヘザー・ベリーニは6月23日、マイクロソフトの12カ月間の目標株価を198ドルから215ドルに引き上げ、レーティングを「買い」で据え置いた。なお、同日の株価は197ドル前後。
一方、ゴールドマンはその前週の6月19日、それまで「中立」だったスラック(Slack)のレーティングを「売り」に引き下げている。
ベリーニは投資家向けのレポートで、スラックとマイクロソフトのチームズ(Teams)のビジネスコミュニケーションツール市場におけるシェア争いは「終わりなき戦い」になると指摘している。
スラック(Slack)は2019年6月20日、ニューヨーク証券取引所に上場。
Drew Angerer/Getty Images
新型コロナウイルスの感染拡大を機にリモートワークが急拡大したおかげで、チームズもスラックも大きな恩恵を受けたが、ベリーニによれば、「スラックよりマイクロソフトのチームズのほうが強い支持を受けていることを、データは示している」という。
「スラックは最高レベルのビジネスチャットアプリのひとつで、テックコミュニティから支持を受けているという認識に変わりはない。
一方で、マイクロソフトはチームズを「Office 365」のパッケージに組み込むことで浸透を図ろうとしており、これから競争が激化していくとその作戦は効いてくるだろう」(ベリーニ)
ゴールドマンはさらに、スラックが顧客の(コロナショックによる)財務状況の悪化に伴う大きなチャーン(=解約)リスクにさらされていることも指摘している。
新型コロナウイルスの世界的大流行によってオフィスや働き方が大きく変わり、そこで勝者となるのはマイクロソフトとみているのは、ゴールドマンだけではない。
米金融大手モルガン・スタンレーは6月半ば、コロナショックによって生まれる12のテクノロジートレンドを公表し、その多くのカテゴリーでマイクロソフトは他社以上の利益を生み出すと予測している。
パンデミックのさなかに発表されたマイクロソフトの最新の業績はウォール街の予想を上回り、デイリーアクティブユーザー(DAU)は2カ月足らずで4400万から7500万へと成長を遂げている。
(翻訳・編集:川村力)