「Rooftop Slushie」はHBOのテレビ番組「シリコンバレー」の登場人物から名付けられたと言われている。
Warner Bros/IMDb
- あるウェブサイトでは、テック企業への就職希望者が匿名で、テック企業社員からの紹介状を1件につき20ドルから50ドルで購入できるようになっている。
- ビジネス系SNSの「Blind」が作ったサービス「Rooftop Slushie」は、2019年のオープン以来、1万件以上の紹介を仲介している。フェイスブックやグーグルからの紹介が人気が高い。
- 「売り手(Vender)」とは、サイト上で認証されたアマゾンやグーグル、ツイッターなど従業員で、取引をする前に就職希望者を吟味することができる。
- 同サイトの責任者はニュースサイトのOne Zeroに、このサービスは熟練した求職者が採用される可能性を高めるのに役立つと語ったが、紹介状にお金を払ったり、受け取ったりすることに対する批判もある。
誰かが紹介してくれれば、テック業界での採用プロセスに競争力を得ることができ、面接まで進むことが容易になる。
あるウェブサイトでは、熱心な見込みのある求職者が20ドルから50ドルで購入できるように、そのような紹介状を商品化している。
ライターのセス・キング(Seth King)が6月28日にテック系ニュースサイトのOne Zeroで報じたように、2019年にオンラインマーケットプレイス「Rooftop Slushie」が立ち上がって以来、求職者はこのサイトを通じて1万1000件以上の仕事の紹介状を購入している。
Rooftop Slushieは、企業についての不満を匿名で書き込める口コミサイト「Blind」のクリエイターによって作成された。
求職者は、応募を希望している企業を下の画像のようなフォームで選択し、履歴書をアップロードする。
Rooftop Slushieの入力画面。
Rooftop Slushie
大手テック企業の従業員はRooftop Slushie上で「売り手(Vender)」として認証される。売り手は求職者が提出した書類を熟読し、紹介状の購入希望価格や履歴書の質などを考慮して、取引をするかどうかを判断する。Gizmodoによると、グーグル(Google)、アマゾン(Amazon)、フェイスブック(Facebook)を含む8万3000社の従業員がサイト上に登録されている。彼らは認証のために、会社のメールアドレスを使うことを求められている。
Rooftop Slushieのプロダクトマネージャー、ダニエル・キム(Daniel Kim)がOne Zeroに語ったように、フェイスブックとグーグルの紹介が一番よく売れているという。
キムはOne Zeroに、その紹介取引は、職務を果たすには十分な、熟練した技術者を獲得するのに役立つと語っている。著者が指摘するように、高収入のテックワーカーの多くは、紹介状1つで50ドルといった副収入をほとんど必要としていない。
しかし、これに批判的な人々は、One Zeroに対し、Rooftop Slushieのサービスは「賄賂」のようであり、倫理的にも問題があると述べた。売り手になることを選択した従業員は、雇用主に対する義務を果たしていない可能性もある。
IT企業は通常、従業員に対して人材紹介ボーナス制度を設けている。しかし、アマゾンはOne Zeroに対し、仕事の紹介に対して金品を受けることは会社の規則に違反しており、こういった慣行を終わらせることを検討していると述べた。
「シリコンバレー」
Jaimie Trueblood/HBO
Gizmodoによると、このサイトでは履歴書をうまく書く方法や面接への対処方法についての情報を購入することもできるが、最も人気があるのは紹介状の取引だという。
One Zeroによると、このウェブサイトはHBOのドラマ「シリコンバレー」の登場人物にちなんで名付けられたという。ネルソン(ビッグ・ヘッド)ビゲティという登場人物(Nelson "Big Head" Bighetti)は屋上(rooftop)で特大のドリンクをちびちび飲む癖がある。
Business Insiderが2016年に報じたように、「ビッグ・ヘッド」は、シリコンバレーの起業家で、自身の会社を売却した後、株式売買契約が履行されるのを待つ身となっている人物だ。
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)