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東京に住む意味ってある?家賃高く、部屋も狭すぎる…コロナで「地方移住」に注目集まる

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コロナショックにより、地方移住への関心が高まっている。

撮影:今村拓馬

東京から地方への移住を検討する人が増えている。

新型コロナウイルスの影響でリモートワークの導入が進み、毎日の通勤から解放されたことで、より良い住環境を求める人が増えたことが要因の一つだ。

移住希望者と自治体などをつなぐプラットフォーム「SMOUT(スマウト)」の登録者数は、4月以降に急伸。

コロナショック前まで月700人程度だった新規登録者数は、6月には1400人を超え約2倍に(6月29日現在)。

登録者の居住地は東京はじめ首都圏の割合が増えており、「東京離れ」への関心が高まっているようだ。

7月から奈良県に移住

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「コロナによって移住への障壁がなくなった」と話す木村さん。2019年11月、奈良県下北山村で撮影。

撮影:横山耕太郎

「もともとリモートワークを推進している会社なので、移住しても仕事面では問題ありません。

ただ、仕事以外のプライベート、例えばイベントを企画したり、参加したりするのは東京じゃないと難しいと思っていました。

それも、コロナで状況が大きく変わりました」

IT企業・ガイアックスに勤める木村智浩さん(39)は、7月から実家のある奈良県に移住することを決めた。

4人の娘の父親でもある木村さんは、仕事の傍ら、教育問題を扱う勉強会などを主催したり、参加したりしてきた。

東京を離れるとこれまで通りの生活は難しいと感じていたが、コロナショック以降、むしろイベントに呼ばれる回数が増え、社内外の交流は活性化したという。

「子どもが通う学校の保護者とも、オンラインでの交流が盛んになった。オンラインでもどんどんコミュニティーが作れることがわかりました。

東京と地方では情報格差がすごく大きい思っていましたが、コロナを経てずいぶん状況が変わった部分もあると思います」

新型コロナで出社社員は「1割」に

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木村さんが勤務する企業では、コロナ前から在宅勤務を推進してきた(写真はイメージです)。

Shutterstock

木村さんが勤めるガイアックスでは、もともと在宅勤務をしている社員が多かったが、コロナによってオフィスに出勤する社員は、全社員の1割ほどになったという。

ただ、住宅事情の面で、在宅勤務に課題もある。

「東京では稼ぎの半分程度を家賃に払っている人もいます。在宅勤務に集中するために書斎を作りたくても、部屋がもともと狭かったり、費用面でも難しかったりする。


この前オフィスに行ったとき、わざわざ会社に来てオンライン会議をしている姿を見かけました。仕事をする上でも、もはや東京に住まなくてはいけない理由はあまりないと感じています」

夜空や夕日を眺められる幸せ

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木村さんが約1週間滞在した奈良県下北山村。山にはシカの姿もあった。2019年11月撮影。

撮影:横山耕太郎

木村さんが移住を本格的に考え始めたのは2019年11月、リモートワーカーを誘致するイベントの一環で、奈良県下北山村に約1週間滞在したことがきっかけだった。

下北山村は最寄り駅から車で約1時間かかる山村で、東京からは片道約8時間かかる。

「驚くほど山奥にある村なのですが、自然と共に生きる暮らしがありました。

移住先として人気の鎌倉から、わざわざ下北山村に移住する人もいるほど魅力的な場所なんです」

下北山村での滞在で、移住を意識するようになったという木村さん。

その後も移住先を探す目的で、サーフィンで知られる千葉県一ノ宮町や、避暑地として有名な山梨県北杜市などを訪れた。

「地方には東京にはない広い空がありました。朝日や夜空、山に沈んでいく夕日を眺められるのが、あまりに嬉しくて。


新型コロナのせいで、3月以降、自由に移動できなくなり、奈良県御所市の実家で3カ月ほど過ごしました。

コロナを機に移住する気持ちは固まったのですが、住む場所を探していた時だったので、『そうだ実家がある。畑もあるじゃん』と。妻の実家も奈良県なので、移住先に奈良を選びました」

木村さんは、今後さらに田舎暮らしが注目されると考えている。

「環境を守るという意味からも、遠くから運ばれてきた食品を購入するだけの都市の暮らしに、違和感がありました。

私と同じように、小規模な農業をしながら田舎暮らしをしてみたい人は、これから増えると思います。

いつかは、下北山村のような集落でも暮らしてみたい」

「同じ家賃でもう2部屋増える」

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コロナをきっかけに、地方移住を考える人もいる(写真はイメージです)。

撮影:今村拓馬

都内に住む30代の佐藤さん夫婦(仮名)も、東京から山梨県への移住を決めた。

新型コロナによる外出自粛期間に、住環境を見直したのがきっかけになったという。

「これまでは住む場所について、新宿まで何分かかるとか、利便性にこだわっていましたが、高い家賃を払うのがむなしく感じるようになりました。


同じ家賃でも、山梨だと、部屋数も2つ増えて、駐車場もあって、犬も飼えます」

オンライン移住相談も人気

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「みんなの移住フェス」には、目標集客数5000人を上回る、延べ6500人以上の参加があった。

撮影:横山耕太郎

移住関連のイベントも活況だ。

カヤックLivingが6月26・27日に初開催したオンラインイベント「みんなの移住フェス」には、延べ6500人以上が参加した。

イベントには74自治体が集まり、チャットツール「Slack(スラック)」を使って、気軽に自治体の担当者に相談できるコーナーなどが人気だったという。

同社によると、前出の移住希望者らのプラットフォーム「SMOUT」は、コロナショック後、首都圏からの利用と、40代の利用が増えているという。

新規登録者の割合を見てみると、東京近郊(東京・神奈川・千葉・埼玉)の割合は2020年5月に44%だったが、6月には50%に増えている。

また、世代別では20代が36%で最多だが、40代の伸びが大きく、4月の22%から、5月には27%になった。

「コロナ後には、若い人だけでなく、家族で移住を考える人も増えています。東京近郊から地方がへの移住を検討している人も多く、今後も登録者の増加を見込んでいます」(面白法人カヤック広報担当・梶陽子さん)

東京で働く必要がなくなったとき、それでも東京に住み続けるのか?

新型コロナウイルスは、どこで働き、どこで生活するのか、あらためて考えるきっかけになっている。

(文・横山耕太郎)

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