- ユナイテッド航空の幹部が、機内でソーシャルディスタンスを保つために中央の席を販売しないのは宣伝行為に過ぎないと述べた。
- これは、アンソニー・ファウチ博士、バーニー・サンダース上院議員、アメリカ疾病予防管理センター所長が、アメリカン航空の座席制限の廃止について批判した翌日のことだった。
- ユナイテッド航空は、徐々に増加する旅行需要に対応するため、8月のフライトスケジュールに2万5000便を追加すると発表した。
ユナイテッド航空の幹部は7月1日、機内におけるソーシャルディスタンスに現実的な必要性などないと反論した。
「中央の席をブロックすること、それはPRのための戦略だ。安全のための戦略ではない」と、チーフ・コミュニケーション・オフィサーのジョシュ・アーネスト(Josh Earnest)は記者会見で語った。
オバマ政権でホワイトハウス報道官を務めた後、2018年にユナイテッド航空へ入社したアーネストは、ほかの安全対策の方が効果が大きいと語った。
「搭乗して通路側の席に座り、中央の席が空いていても、通路をはさんだ隣の席の人とは6フィート(約1.8メートル)以内になる。窓側の席の人とも6フィート以内、前後の人とも6フィート以内だ」と、彼は語った。
「機内で安全を確保したいなら、マスクを着用して、空気をエアフィルターで濾過し、機内を完璧に清掃する必要がある。そして、ソーシャルディスタンスを保てるあらゆる場面でそれを確認することが必要だ。これが、科学者が我々に推奨したすべての対策だ」と、彼は付け加えた。
旅行の需要はここ数週間で緩やかだが着実に増加しており、混雑した機内の安全性に対する懸念が膨らんでいる。
先ごろ、アメリカン航空が中央席不使用と乗客数制限の廃止を発表し、アメリカ国立衛生研究所の感染病専門家であるアンソニー・ファウチ(Anthony Fauci)博士とアメリカ疾病予防管理センター(CDC)のロバート・レッドフィールド(Robert Redfield)所長、バーニー・サンダース(Bernie Sanders)上院議員から批判された。
一方、デルタ航空は中央席の不使用と乗客を定員の約60%に制限することを少なくとも9月まで継続すると述べた。サウスウェスト航空、ジェットブルー航空、アラスカ航空も、何らかの形で乗客数の制限を続けると語った。
ユナイテッド航空はパンデミックの間、中央席や乗客数の制限は実施してこなかった。
「それは明らかに懸念すべきことだ」と満席になった場合についてファウチ博士は述べた。
「混雑を避け、距離を保ち、そのような状況ではマスクを着用すべきだ。飛行機の中ではさらに大きな問題になると私は考える」
アーネストの発言は、ユナイテッド航空が国内旅行需要の増加に対応して、8月に2万5000便を追加すると発表したことを受けたものだ。
国際航空運送協会を始めとする航空業界は、機内の気流パターンや、空気中に浮遊する微生物の再循環を防ぐ高性能エアフィルター、その他の清掃対策、マスク着用などを理由に、機内のソーシャルディスタンスは不要だと主張している。
しかしながら、航空業界の戦略とマーケティングを扱うSimpliFlying社のシャシャンク・ニガム(Shashank Nigam)CEOによると、航空会社は旅行需要の回復を早めようとしており、座席の制限や独自の清掃手法などをブランドの差別化として行う会社もあるという。
そうではない航空会社は、席を空けたままフライトするよりも、制限していた座席を販売したほうがよいと判断するだろう。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)