ロジクール「COMBO TOUCH」を装着した第7世代iPad。付属の保護カバーで背面にキックスタンドがつくため、見た目はSurface風だ。
撮影:伊藤有
iPadをノートPCのように使いたい人にとっては、タッチパッド(トラックパッド)付きiPadはベストな選択肢の1つ。ただ、タッチパッド付きキーボードを用意しているのは、iPad Proのみ。それも、価格3万円を超える「Magic Keyboard」を選ぶしかなかった……これまでは。
そんななか、Magic Keyboardが用意されない指紋認証(Touch ID付き)iPadで、タッチパッド機能付きキーボードを実現できる製品が7月30日に登場する。ロジクールの新製品「COMBO TOUCH」だ。
発売前の先行レビューという形になるが、冒頭から一言でいってしまうと、これはなかなか良くできた製品だ。
Touch ID付きiPadをSurface化する社外キーボード
COMBO TOUCHの外観。第7世代iPad向けと第3世代iPad Airなど向けの2製品がある。今回は第7世代向けを試用した。
撮影:伊藤有
COMBO TOUCHは、iPad本体の保護カバーとキーボードがセットになった製品。なくしやすいApple Pencilを差しておけるペンホルダーも付いている。
見た目は同じだが対応機種によって型番が違い、
型番iK1057BK(予想実売価格2万円):
- 第7世代iPad(いわゆる、一番安価な現行モデル)
型番:iK1093BK(予想実売価格:2万円)
- 第3世代iPad Air
- iPad Pro 10.5インチ
という2製品がある。
COMBO TOUCHには、これまでの社外品のキーボードとは大きく異なる点がある。iPadとの接続が一般的なBluetoothではなく、iPadの専用コネクター「Smart Connector(スマートコネクター)」なのだ。
これによってキーボード側のバッテリーが切れる心配がなく、動作に充電は不要。iPadとの接続は純正Smart Keyboardと同様、磁石で吸着しているだけなので着脱も容易だ。キーボードの質感は非常に高く、安物っぽさはまったくない(価格2万円の製品だから、そうでないと困る)。
キーボードのタッチにはかなりこだわりのある自分としても、開封してパタパタと叩いてみたレベルでもこれは期待できそうだ、という雰囲気だった。
COMBO TOUCHの付属品一覧。
撮影:伊藤有
こんな風にキーボードと保護ケースは別々に使うことができる。
撮影:伊藤有
Magic Keyboard、Surfaceキーボードと比較
iPad ProのMagicKeyboard(右)との比較。タッチパッドの奥行きがより広いことがわかる。
撮影:伊藤有
Surface Pro7のキーボードと比較。タッチパッドのサイズはこちらの方が近い。
撮影:伊藤有
COMBO TOUCHのタッチパッドのサイズや配列は「競合」とどれくらい違うのか、実物を比較してみた。
キー配列は見てのとおり、英語配列。@マークの位置などが日本語配列とは異なる。
気になるタッチパッドのサイズは、Magic Keyboard(iPad Pro11インチモデル)との比較では幅はほぼ同じ、奥行き方向が少し広い。
一方、iPadを購入するときの「競合」ともいえるSurfaceとの比較では、全般的にSurfaceのほうがゆったりしていることがわかる。画面サイズがSurfaceのほう大きいため、保護カバーとしての意味もあるキーボード配置に余裕があるためだろう。
質感良好、タッチ良し。キーボードバックライトも光る
キーボードの配列はこのように英語配列。左下の地球マークのキーを押すと、入力する文字を日本語から英語などに切り替えられる。
撮影:伊藤有
COMBO TOUCHキーボードを第7世代iPadにつないでみた。
これまでマウスやMagic Trackpadを接続することでしか使えなかった第7世代iPadのカーソル操作が、キーボード付属のタッチパッドでもきちんと動くのは(同じiPadOSなので当たり前ではあるけれど)新鮮だ。
しかも、写真ではわかりづらいがキーボードバックライトも点灯する。
タッチパッドのクリック感はこの3枚の比較では、意外なことに一番「静か」で、押した感触は同等レベル。このクラスとしてはタッチパッドが十分に広いこともあり、非常に使いやすい。
パームレストなどキー以外の部分はファブリック調の素材だが、Surfaceキーボードのように実は硬め。思ったよりも「布っぽさ」はない。
撮影:伊藤有
また一般的なキーボードでファンクションキーにあたる最上段は、ショートカットキーになっていて、次のような操作ができる
- ホームボタン
- 画面の輝度調整
- ソフトウェアキーボードの表示
- 検索
- キーボードバックライトの照度変更
- 音楽などの再生操作
- ボリュームの増減、ミュート
- 画面ロック
列挙した通り、純正キーボードかと思うほどの充実ぶりで、ノートPC的に使う際の実用性もしっかりとある。
気になるキーストローク(押すときの深さ)は、体感ではMagic Keyboardとほぼ同じ。一方、Surfaceと比較すると、Surfaceの方がよりストロークが深い。とはいえこの違いは「好み」で済むレベルだ。
キータッチは、SurfaceよりもMagic Keyboardに近く、長文入力でも非常に快適だった。キーボードのタッチにはかなりうるさい自分の目線からみても、英語配列であること以外、この品質で問題を感じると人はあまりいないだろう。
重量:キーボード310g、保護ケース310g
キーボード部分単体の重量。実測310gとなかなかずっしりとしている。
撮影:伊藤有
保護ケースもほぼ同じ重量。
撮影:伊藤有
というところで、シンプルに絶賛的な書き方になってしまったが、重量についても触れておきたい。
この手のしっかりした外付けキーボードの宿命として、重さはそれなりにある。
実測で、キーボード、保護ケースともに約310g。つまり、装着状態の重量はiPad+約620gだ(ちなみに11インチiPad Pro用のMagic Keyboardは実測590gほどだから、それより重いことになる)。
第7世代iPadの場合、本体重量は約483gだから、フル装着時の重量は約1.1キロになる。また、キックスタンドがあるため厚みもそれなりにある。
重量と配列さえ気にならなければメリットは多い
側面から見ると、比較的ぼてっとした厚みがある。厚さ20ミリは切るものの、分厚くなった感はある。
撮影:伊藤有
トータル評価として、COMBO TOUCHは非常によくできたサードパーティー製キーボードだ。
ネガ要素をあげるとすれば、重さとキー配列の問題だろう。カバンの中でもホルダーからApple Pencilが抜けないようなぴったりした設計、無段階で止められる背面のキックスタンド、頑丈な保護ケースというメリットがある一方、決して軽くはない。
ラバー風の質感のペンホルダーはかなりしっかりとApple Pencilをホールドするので、カバンの中に乱暴に放り込んでも外れたりはしなさそうだ。
撮影:伊藤有
ただ、保護ケースはキーボードとは独立して外せる点は、軽量にこだわりたい人によっては救いになるかもしれない。軽量なiPadカバーの背面に貼り付け型のスタンドをつけるなど、いくつか工夫のしようはありそうだ。
一方、キー配列は慣れるしかないので、英語配列がどうしてもダメだという人には、明確におすすめしない(自分の場合、PCの日本語配列と英語配列の外付けキーボードを気分次第で使い分けていた時期があったので、すぐ慣れてしまったが……)。
とはいえ、最近のTouch ID搭載iPadを使い続けているユーザーにとっては、使う時のメリットのほうがずっと大きい。Touch ID搭載iPadをSurfaceやiPad Proのように使いたい人なら、満足感の高い買い物になるはずだ。
(文・伊藤有)
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