マスク着用を拒否する客は、一部のレストランで問題となっている。
Brendan McDermid/Reuters
- レストランの従業員がマスク着用に反対する客からの嫌がらせや暴力に遭い、再び営業停止や店内サービスの休止を行うレストランが出てきている。
- テキサス州、カリフォルニア州、ミシガン州では、マスク着用を拒否するマナーの悪い客がいるとして、レストラン店内でのサービスを再び休止すると発表した。
- 他のレストランでも、店内サービスの休止や営業停止を行わず、従業員を守る方法を模索している。
アメリカ中のレストランが店内でのサービス再開について検討する中、新たな問題に直面している店舗もある。マスク着用を拒否する客(anti-mask customers)が、従業員に対してどのような態度を取るかだ。
数多くのレストランが、一部の客による従業員への扱いに対応するため、店内サービスの休止や営業停止を決めた。
Hugo's Tacoは6月下旬、マスクの着用を拒否する攻撃的な客がいることを理由に、ロサンゼルスにある2つの店舗を閉鎖した。
「従業員は罵られ、物を投げつけられ、液体をかけられるなどの嫌がらせを受けた」と、同社はSNSに投稿した。
「マスクは従業員の健康を守りたいという我々の願い以外の何物でもない」
ロサンゼルスでは、タコスの屋台やレストランへ出かける場合など、公共の場所ではマスク着用が義務付けられている。だがそれを実行するようにレストラン従業員が注意しなければいけないことが往々にしてある。
Hugo's Tacoは、ほとんどの客は丁寧で親切であり、何百人もの人がGoFundMeで寄付を行い、Hugo's Tacoの従業員へ約4万5000ドルが集まったと述べた。それにも関わらず、Hugo's Tacoや他のレストランにとって、マスクの着用を拒否するごく一部の客のリスクは大きすぎる。
カリフォルニア州エンシニータスにあるオーガニックレストランGOODONYAは先日、マスク着用をお願いした従業員に暴言を吐いた客がいたため、再び店内サービスを停止すると発表した。Eaterによると、ヒューストンの中国料理レストランChow Wokは、マスク着用を求められて暴れ出した「粗暴な客にうんざりして」同様の対応を行った。
アーカンソー州ポカホンタスにあるHalcomb's Taco Casaと、ミシガン州ディアボーンハイツのメキシカン・フィエスタも、店内サービスを休止する計画を発表した。
「不運なことに、我々の従業員が見下されたり、無礼な扱いを受ける状況が複数回あった」と、メキシカン・フィエスタはFaccebookに投稿した。
「顧客と従業員の安全は我々の最優先事項であり、当面営業を停止するという決断をした」
4月27日、ジョージア州サバンナのワッフルハウス。
AP Photo/Russ Bynum
Business Insiderでも報じたように、マスクの着用で新型コロナウイルスの感染を大幅に抑制可能であるとする研究が増えてきている。ワシントン大学の研究では、アメリカの人口の95%がマスクを着用すれば、10月までにおよそ3万3000人の死者を抑えることができると予測している。
多数のレストランが営業再開を許可されているが、その多くが営業停止をせずに、アンチ・マスクの客へ対処することに苦慮している。
ワッフルハウスなどの大手チェーンを含む一部のレストランでは、ソーシャル・ディスタンスと、マスク着用が必要な地域ではマスク着用について掲示している。ワッフルハウスとダンキンは、オリジナルマスクの販売を始めた。
マナーの悪い客は今に始まったことではないが、アンチ・マスク関連の問題は、従業員を危険な状況に追い込んでいる。コロラド州オーロラのワッフルハウスで5月、マスクを着用していなかったために入店を断られた客が従業員を銃で撃った。カリフォルニア州オークランドではマスク着用を拒否した客から暴行を受けて病院へ行ったと、マクドナルドの従業員がBusiness Insiderに語った。
「30年以上、小売業と危機的状況について研究しているが、時給制従業員に対して客がこれほど乱暴になる状況は見たことがない」と、セントラルフロリダ大学で危機管理と公共の安全を教えているラリー・バートン(Larry Barton)教授は5月、Business Insiderに語った。
(翻訳:Makiko Sato、編集:Toshihiko Inoue)