2020年7月6日、香港にあるIFCモールには国家安全維持法に抗議する人々が集まった。
REUTERS/Joyce Zhou
- 反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」から逃れるため、香港では人々が何も書かれていない白紙のサインを掲げている。
- 国家安全維持法が施行されたことで、中国は香港で「分離主義、政府転覆、テロリズム」の動きを取り締まり、罰することができるようになった。
- そのため香港では7月6日、ショッピングモールに人々が沈黙の抗議のために集まり、何も書かれていない白紙のサインを掲げた。
反政府的な動きを取り締まる中国の「香港国家安全維持法」が施行された香港では、人々が何も書かれていない白紙のサインを掲げている。この法律によって、中国は民主化を訴えるスローガンを国に対する反乱やテロリズムと見なすことができる。
観塘区にあるショッピングモール「apm」には6日、吹き抜けを取り囲むように約200人の人々が集まった。
IFCモールでも、ランチタイムの抗議活動に参加する人々の姿が見られた。
中には、文字やイラストの書かれたサインを掲げる人もいたが、大半の人々は何も書かれていない白い紙を掲げていた。
地元メディア「香港電台」によると、IFCモールで行われていた抗議活動は静かなものだったが、参加者が「香港を解放せよ」と唱え始めると、武装警官がやって来たという。
IFCモールでの抗議活動の様子はこちら:
apmでの抗議活動の様子はこちら:
白紙を掲げ、沈黙の抗議をする人々(2020年7月6日、香港)。
Twitter/XinqiSu
apmに集まってきた武装警官たち(2020年7月6日、香港)。
Twitter/XinqiSu
香港国家安全維持法をめぐっては、アメリカや欧州連合(EU)、イギリスが反対し、香港でも数週間にわたって抗議活動が続いていたが、7月1日に施行された。
法律の言い回しはあいまいだが、これは中国が「分離主義、政府転覆、テロリズム」と見なすものは何でも法の下に罰することができるということだ。
"タム"とだけ名乗った、IFCモールでの抗議活動に参加していた人物は、何も書かれていない白紙のサインは「香港に『白色テロ(編集注:権力者や支配者が反政府運動や革命運動に対して行う激しい弾圧)』があることを示している」と香港電台に語った。
何も書かれていない白紙のサインは、香港の他の場所でも見られた。
また、香港にある図書館では、民主化を求める活動家たちの著書がその書架や蔵書目録から消され始めている。
活動家の中には、自身のソーシャルメディアのアカウントを削除したり、香港を離れた人もいる。
イギリスは、300万人の香港市民にイギリスへ移住する権利を与える考えを示していて、アメリカやオーストラリアも香港から逃れようとする香港市民を助けるための措置を検討している。
(翻訳、編集:山口佳美)