映画音楽の巨匠エンニオ・モリコーネを追悼し、ヨーヨー・マは「ニュー・シネマ・パラダイス」を捧げた

エンニオ・モリコーネ氏(左)とヨーヨー・マ氏。

エンニオ・モリコーネ氏(左)とヨーヨー・マ氏。

Franco Origlia,Getty Images/GARY HERSHORN,REUTERS

イタリアの作曲家で映画音楽の巨匠として知られたエンニオ・モリコーネの死去を受けて、世界的チェリストのヨーヨー・マ氏が映画『ニュー・シネマ・パラダイス』のテーマ曲を演奏する動画をTwitterに投稿した。

ヨーヨー・マ氏は巨匠への野辺の送りとして、モリコーネ氏の代表作「愛のテーマ」を演奏。

あわせて「エンニオ・モリコーネ氏が、音楽とは“エネルギー、空間、そして時間だ”と説いたことを、私は決して忘れないでしょう。これはおそらく私が今まで聞いた中で、最も簡潔かつ正確な説明です。彼を失い、私たちはとても寂しく思います」と追悼メッセージを記した。

「邪魔をしたくない」 ——マエストロは密葬を望んだ。

Pascal Le Segretain/Getty Images

モリコーネ氏は1928年、イタリアの首都ローマ出身。名門サンタ・チェチーリア音楽院を経て、音楽活動をスタート。これまでに数々のテレビ番組や映画のテーマ音楽を手掛けた。

幼少期からの友人で映画監督セルジオ・レオーネ氏とのタッグで知られ、マカロニ・ウエスタン(イタリア製作の西部劇)の代表的作品となった「荒野の用心棒」(1964年)の音楽では大きな注目を集めた。

エンニオ・モリコーネ氏のYouTubeチャンネルより

映画の魅力に惹かれ、のちに映画監督になる少年と映写技師との心の交流を描いたイタリア映画の名作『ニュー・シネマ・パラダイス』(1988年)では、主題となった「愛のテーマ」で世界的な評価を受けた。

2007年には米アカデミー名誉賞に。2016年にはクエンティン・タランティーノ監督の『ヘイトフル・エイト』で作曲賞を受賞した。

日本ともゆかりがあり、2003年にはNHK大河『武蔵 MUSASHI』でも音楽を担った。

『ニュー・シネマ・パラダイス』サウンドトラック

エンニオ・モリコーネ氏のYouTubeチャンネルより

現地(イタリア)紙レプブリカによると、モリコーネ氏は呼吸器疾患を患い、死の数日前に大腿骨を骨折していたという。

遺言には友人をはじめ家族、そして妻マリアさんへの感謝と別れの言葉が記されていた。レプブリカによると、モリコーネ氏は「私は邪魔せず去りたい」として、密葬を臨んでいたという。

イタリアではコンテ首相が「我々は巨匠の類まれな芸術的才能を、惜しみない感謝の気持ちを併せて永遠に忘れない」とTwitterに追悼メッセージを投稿したのを始め、閣僚を含む政治家や文化人が次々と巨匠の死を悼んでいる。

文・吉川慧

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