Starbucks
- 新型コロナウイルスが流行し始めてから、外食チェーンが大損害を被ることは分かっていた。アメリカでは、スターバックスに続いて、ダンキンも一部店舗の閉店を発表した。
- 地域によってはレストランが営業を再開しているが、それでもカジュアルなレストランが座席数を減らして利益を上げるのは不可能に近い。
- その結果、多くの外食チェーンが一部店舗を閉店している。中には全ての店舗を諦めることを決めたブランドもある。
- アイホップ(IHOP)やデニーズ(Denny's)、TGIフライデーズ(TGI Fridays)など、外食チェーンはこれまでに累計で1300店舗以上閉店している。
それは始まっている。
新型コロナウイルスが流行し始めてから、外食産業の専門家たちは多くのレストランがこれを切り抜けることはできないだろうと分かっていた。4月1日にはUBSが、パンデミックのせいでレストランの5分の1が閉店するかもしれないと予想していた。
独立系レストランの方が多くの外食チェーンより大きな打撃を受けているが、外食チェーンも安泰というわけではない。外食チェーンはレストランの営業を独立したオーナー経営者に依存していることが多く、こうしたフランチャイズ店は本社ほど十分な資金を持たない。
アメリカの大部分は経済活動を再開させているが、"ソーシャル・ディスタンス"を課される場面が多く、これはレストランにとって、営業を再開させたとしても利益を生み出すことが難しい状況だ。そして、営業再開は人々がそうあってほしいと願うような"万能薬"でないことをデータは示している —— レストランにとっては特に、だ。
一部の外食チェーンはすでに破産を申請したり、全ての店舗を閉店している。そうでない外食チェーンはゆっくりと、静かに、慎重なアプローチを取っている。だが、これは"カジュアルダイニング"というコンセプトの終わりの始まりなのかもしれない。こうしたレストランは、デリバリー中心のレストランに比べ、痛手を受けずにこのパンデミックを切り抜けられない可能性が高い。
新型コロナウイルスが流行し始めて以降、閉店の決断を下した外食チェーンを見ていこう。
TGIフライデーズ(TGI Fridays):386店舗のうち最大で20%を閉店
Hollis Johnson/Business Insider
5月26日、TGIフライデーズのCEOレイ・ブランシェット(Ray Blanchette)氏は、386店舗のうち最大で20%を閉店するとブルームバーグに語った。
同社では座席数を減らして営業を再開していて、屋外のテント席も試している。
ステーキ・アンド・シェイク(Steak 'n Shake):51店舗を閉店
AP
ステーキ・アンド・シェイクは苦戦続きで、ブランドを刷新し、顧客を取り戻そうとさまざまな努力をしてきたが、あまりうまくいっていない。そのため、同社が5月上旬の四半期決算の発表でさらに51店舗を閉店すると明らかにした時も、ほとんど驚きはなかった。
スイート・トマト(Sweet Tomatoes)/スープランテーション(Souplantation):全97店舗を閉店
カリフォルニア州カマリロにあるスープランテーションのサラダバー。
Photo by Mel Melcon/Los Angeles Times via Getty Images
新型コロナウイルスのパンデミックは、ビュッフェ形式のレストランにとって特に"悪いニュース"となっている。スイート・トマトとスープランテーションの親会社ガーデン・フレッシュ(Garden Fresh)は5月上旬に破産を申請した。同社はパンデミックの影響で全店舗を閉めると発表した大手ビュッフェ・チェーンの第1号となった。
デニーズ(Denny's):16店舗を閉店
Irene Jiang / Business Insider
5月22日、デニーズは15店舗を閉店すると発表した。これらの店舗は全て、1つのフランチャイズ加盟者 —— フィースト・アメリカン・ダイナーズ(Feast American Diners)が運営していた。デニーズはまた、直営店1店舗を前の四半期に閉店している。
ブリオ(Brio)/ブラボー(Bravo):71店舗を閉店
Maria A. / Yelp
ブリオとブラボーの親会社フードファースト・グローバル・レストラン(FoodFirst Global Restaurants)は4月に破産を申請し、92店舗のうち71店舗を閉めると発表した。フードファーストは1月、すでに売り上げが低迷していて、10店舗を閉店したとレストラン・ビジネス誌に語っていた。
スペシャルティーズ・カフェ・アンド・ベーカリー(Specialty's Café & Bakery)全33店舗を閉店
Sherwin C./Yelp
5月18日、スペシャルティーズ・カフェ・アンド・ベーカリーは突然、5月19日以降、全33店舗を閉店すると発表した。公式サイトで同社は「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と外出禁止政策による現在の市況が会社の収益を大幅に縮小させた」としている。
ルビー・チューズデイ(Ruby Tuesday):1月23日以降、150店舗以上を閉店
Jeffrey Greenberg / Universal Images Group via Getty Images
この記事に出てくる他のブランド同様、ルビー・チューズデイもパンデミックの前からずっと苦戦が続いていた。しかし、1月以降、同社は静かに店を閉めていて、その痕跡はウェブサイトから完全に消されている。
ル・パン・コティディアン(Le Pain Quotidien):98店舗のうち最大で63店舗を閉店
Gilbert Carrasquillo/Getty Images
パンデミックの影響でベーカリー・チェーンのル・パン・コティディアンのアメリカ法人は破産し、全98店舗を閉店せざるを得なくなった。この店のクロワッサン好きにとっては幸運なことに、同社はオーリファイ・ブランズ(Aurify Brands)と買収交渉し、オーリファイ・ブランズは少なくとも35店舗を営業再開させる計画だという。
アイホップ(IHOP):バージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テネシー州の少なくとも49店舗を閉店
Irene Jiang / Business Insider
バージニア州、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、テネシー州でアイホップ49店舗を運営するフランチャイズ加盟者CFRAホールディングスは5月6日、破産を申請した。今回の閉店について、Business Insiderはアイホップにコメントを求めたが、回答は得られなかった。
スターバックス(Starbucks):アメリカにある直営店を最大で400店舗閉店
AP Photo/Matt Rourke
スターバックスは6月10日、米証券取引委員会(SEC)に提出した文書の中で、今後1年半でアメリカ国内にある直営店を最大で400店舗閉店するとしている。カナダでも最大200店舗を閉めるという。ただ、この数は新規出店数と相殺される。スターバックスは2020年の事業年度末までに、300店舗をオープンさせる計画だ。
パイ・ファイブ・ピザ(Pie Five Pizza):アメリカで53店舗のうち10店舗を閉店
Jason D/Yelp.com
パイ・ファイブ・ピザは前の四半期に10店舗を閉店したと、レストラン・ビジネス誌が最初に報じた。パンデミックで売り上げは打撃を受けたが、パイ・ファイブ・ピザは業績不振が続く中、以前から店舗の整理を進めている。
ダンキン(Dunkin')
Bruce Bennett/Getty Images
ガソリンスタンド・チェーン「スピードウェイ(Speedway)」との提携終了に伴い、ダンキンはスピードウェイのガソリンスタンドにある全450店舗を閉店する。NBCのニュース番組「トゥデイ(TODAY)」が7月6日に報じた。「スピードウェイ・ダンキン」は、通常の店舗に比べて小さく、提供するメニューも限られていたと、ダンキンの担当者はトゥデイに語っていて、今回の閉店によって、ダンキンは通常の店舗に集中できるようになるとしている。なお、ダンキンとスピードウェイの提携終了は、新型コロナウイルスが大流行する前の2月に決まっていた。
(翻訳、編集:山口佳美)