リモートワークはここまでリアルに近づく ── マイクロソフト「Teams」大幅アップデートを発表

Togetherモード

マイクロソフトはコラボレーションツール「Teams」のビデオ会議に関する大幅なアップデートを発表した。

出典:マイクロソフト

マイクロソフトは7月8日(現地時間)、チャットやビデオ会議が可能なコラボレーションツール「Microsoft Teams」の新機能「Togetherモード」を発表した。ビデオ会議の参加者をまるで同じ場所にいるかのように表示できるもので、従来のビデオ会議の体験を大きく変える斬新な機能だ。

Teamsは6月、これまで9人までだったビデオ会議参加者の同時画面表示数を49人まで拡大すると発表。今回新たに発表された「Togetherモード」では、その参加者をビデオ会議でおなじみの分割表示ではなく、1つの画面上に合成できる。

その見た目はあたかも、参加者全員が同じ階段状の教室に並んで座っているかのよう。参加者が増えると自動的に席も増えるしくみだ。

Togeherモードは“共感”を得るために生まれた

Togetherモード デモ

あたかも同じ空間で会議をしているように見える「Togetherモード」。

出典:マイクロソフト

開発を手がけたのは、マイクロソフトのOffice of the CTOのメンバーで著名なコンピューター・サイエンティストでもあるジャロン・ラニアー氏。ミュージシャンとしての顔も持つラニアー氏は、アメリカのお笑い番組でコメディアンと共演している。

コロナ禍で観客の前に立ってリアクションを得られなくなった共演者のため、ビデオ会議ツールを使ってバーチャルな観客を集める仕組みを模索。同じ画面上に人を集を合成して表示するプロトタイプを作成したところ、この表示方法によって「ビデオ会議のパフォーマンスを高められることに気づいた」という。

脳に与える影響

Togetherモードを使った際(写真左)と従来のグリッドビュー(右)を使った際の脳の様子。

出典:マイクロソフト

マイクロソフトが行った調査で、「通常の分割表示よりもTogetherモードを使用した方が、リラックスしていて、脳の疲労も少ないとの結果を得た」とラニアー氏。

また、Togetherモード利用者の行動を観察したところ「他の人にもっと注意を払う、自発的にカメラをオンにする」といった変化が見られたとのこと。ほかに「会議の内容、発言内容、大きな会議に誰が出席していたかを思い出すことができる」といった効果もあったという。

技術的には単純、でもストレスの軽減につながる

ジャロン・ラニアー氏

マイクロソフトのOffice of the CTOのメンバーで著名なコンピューター・サイエンティストでもあるジャロン・ラニアー氏(写真下段中央)。

出典:マイクロソフト

筆者も実際に体験したが、確かにTogetherモードでは大人数の会議であっても、自分が参加者の一員であることをより強く実感できた。

全員がどのような表情をしているかがわかりやすく、タイムラグがあることに変わりないものの、ビデオ会議では難しい「空気を読む」ことへのハードルも低くなるように感じた。会話を差し挟むタイミングも、はかりやすくなるだろう。

また、同じ空間に身を置くことで、ビデオ会議で目線が合わない気持ち悪さも緩和される。何より他の参加者との一体感もあり、テレワークでよく言われるエンゲージメントの問題にも効果がありそうだ。

教室のイメージ

Togetherモードで、オンライン授業もリアルの教室に近くなる。

出典:マイクロソフト

「技術的には単純に背景を消して、椅子のある場所に配置しているだけ。とてもシンプルで難しいことは何もしていない」とラニアー氏。その一方で全員を1つの空間に配置することで、「グループ全体で何が起こっているのか、どのようにお互いが関係しているのか認識することができる」など、脳の認知や、潜在意識に与える影響は大きいと話す。

コロナ禍にいち早くプレビューした機能であり、席が選べない、名前を表示できない、プレゼンテーションの画面を表示するのに最適化されていないなど、まだできないことも多いが「まずはぜひ試してみてほしい」とラニアー氏。「Togetherモードがビデオ会議のストレスを、軽減するのに役立つかどうか、自身で確認してほしいと思います」と語った。

テレワークのニーズに合わせて、ツールも進化

Large gallery view

49名もの参加者を同時に表示できる「Large gallery view」。

出典:マイクロソフト

なお、「Microsoft Teams」ではTogetherモードのほかの新機能についても、ブログで発表している。日本語対応については未定だが、発言者ごとの自動字幕や、自動議事録作成機能なども追加される。

  • 共有コンテンツ発表者を並べるなどAIで表示方法を最適化する「Dynamic view」
  • 同時に49人を表示できる「Large gallery view」(8月に実装予定)
  • 参加者を小グループに分割できる「Virtual breakout rooms」
  • 明るさやフォーカスを和らげるなど自分の容姿をカスタムできる「Video filters」

このコロナ禍で、テレワークなどさまざまな新しい働き方を実践している企業や個人が多い。それに伴い、マイクロソフトだけではなく、グーグルやZoom、Slackなどのテック企業がコミュニケーションツールのアップデートを頻繁に続けている。

マイクロソフトは非常に実験的な機能を追加してきたが、他社もどのように追随してくるかも注目だ。

(文・太田百合子


太田百合子:フリーライター。パソコン、タブレット、スマートフォンからウェアラブルデバイスやスマートホームを実現するIoT機器まで、身近なデジタルガジェット、およびそれらを使って利用できるサービスを中心に取材・執筆活動を続けている。

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