命も経済も救えなかったことが明らかに…ロックダウンしないスウェーデンの戦略


スウェーデン新型コロナ戦略

Mehmet Emin Menguarslan/Anadolu Agency/Getty Images

  • スウェーデンが行った特異な新型コロナウイルス戦略は、経済的な成果に結び付かなかったことが、データによって示された。その上、隣接する北欧諸国よりも致命的な大流行を引き起こすことになった。
  • スウェーデン政府は正式な都市封鎖の発令はせず、その代わり、体調が悪い時には自宅で過ごし、公共の場では社会距離を保つよう国民に推奨した。
  • だがスウェーデンにおける新型コロナウイルスによる死亡率は、世界で最も高い水準となっている。またロイター通信によると、スウェーデン中央銀行は7月、2020年の同国のGDPは前年比で4.5%減少するとの予測を発表した。
  • 国際経済を調査・研究するピーターソン研究所のジェイコブ・キルケゴールは、スウェーデンはそのリスクの高い戦略によって、経済的には「文字通り、何も得られなかった」とニューヨークタイムズに語った

スウェーデンが行った特異な新型コロナ対策の戦略には、経済的な効果はなかったことが、データによって示された。その上、隣接する北欧諸国よりもはるかに致命的な感染症の大流行を引き起こすことになった。

スウェーデン政府は、新型コロナウイルス大流行への対応として、正式に都市封鎖を発令することはなかった。その代わり政府が打ち出した戦略は、個人の自己責任に依拠し、体調が悪い時には自宅で過ごし、公共の場では社会距離を保つよう国民に推奨することだった。ほとんどのビジネスやレストラン、バー、学校が閉鎖されることはなかったが、3月下旬になると50人以上が集まるイベント等は禁止された。

同国のステファン・ロベーン(Stefan Lofven)首相はこの戦略を、現状維持のための「良識」だとして擁護した

だが、他国とは異なるこの戦略は、専門家からの批判を受けてきた。彼らはこれまでのことを振り返ると、この戦略は「あらゆる点において、賢い方法ではなかった」と述べている。

ワシントンDCに拠点を置くピーターソン研究所の上級研究員、ジェイコブ・キルケゴール(Jacob Kirkegaard)は、7月7日のニューヨーク・タイムズで、スウェーデンの経済活動は、ほぼ平常通りに続けられたにもかかわらず、そのことで利益はほとんど生じなかったと語った。

「文字通り、収益はゼロだった」とキルケゴールは述べた。

「これはスウェーデン政府が自ら招いたことだ」

ロイター通信によると、スウェーデン中央銀行は7月、2020年の同国のGDPは2019年より4.5%減少するとの予測を発表した。2月時点での1.3%増加との予測から大幅な下方修正となった。ニューヨーク・タイムズによると失業率も、3月の7.1%から、5月には9%に増加した。

ジョンズ・ホプキンズ大学の集計によると、7月12日の時点で、スウェーデンにおける新型コロナウイルスの感染者数は7万4000人以上、死者は5500人以上で、他の北欧諸国の合計よりも高い水準になっている。人口当たりの死亡率も、スウェーデンは世界的に見てもかなり高い。また、オックスフォード大学のオンライン調査機関Our World In Dataのデータによると、スウェーデンにおける100万人当たり死者数は、アメリカ、ブラジル、インド、ロシアといった多数の死者が発生している国々よりも多い。

スウェーデン当局者の中には、新型コロナへの対応戦略について再検討すべきだと主張する者もいる。4月には、スウェーデンの科学者2000人以上が公開書簡に署名し、政府に対して都市封鎖の再検討を求めている。

政府の疫学者だったアニカ・リンデ(Annika Linde)は5月、地元の日刊紙ダーゲンス・ニュヘテル(Dagens Nyheter)に対し「最初から厳格な制限措置を導入すべきだった」と語った。

「健康管理や高齢者ケアについて、私たちがいかに準備不足かを知っておくべきだった」とリンデは続けた。

「都市封鎖をしていれば、我々が準備をして、じっくりと考える時間を与え、結果的には感染拡大を劇的に遅らせることができたかもしれない」

[原文:Sweden's controversial anti-lockdown strategy resulted in a high death toll and no real economic gain, data shows

(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)

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