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iOS 14ベータ版に見る、容赦なき「断捨離アップデート」。“ホーム画面から外される”アプリたちは戦々恐々ではないか

iOS 14

アップルがiPhone向けに公開した「iOS 14」のパブリックベータ。2020年秋に正式公開予定のその詳細とは。

出典:アップル

アップルは7月9日(米国時間)、iOS 14のパブリックベータ版(以下、PB版)を公開した。「Apple Beta Software Program」に登録さえすれば、誰でも試せるようになった。ただし、開発中のiOSであるため、メインで使っているiPhoneにインストールするのはオススメしない。過去に使っていたiPhoneなど、アプリが起動しない等のトラブルに直面しても、すぐに困らないデバイスで試すことをおすすめする。

なお、パブリックベータ版はプログラム参加者以外に内容を話したり、画面を見せるなどの行為は禁止されているが、筆者は許可を得て記事執筆並びに写真の掲載をしている。

Androidより便利なウィジェット新機能

ウィジェット on iOS 14

iOSでもついにホーム画面にウィジェットが置けるようになった。

出典:アップル

iOS 14PB版をインストールし使ってみると、まさに「断捨離アップデート」という気がしてならない。

これまでiOSでは、ホーム画面を右にスワイプすることで、ウィジェット一覧が表示されていた。

iOS 14では、そのウィジェットをホーム画面などのアプリの一覧の中に並べられるようになった。これまでとは明らかに違う、アプリとウィジェットが混在した画面構成だ。

ちなみに、ウィジェットは「大」「中」「小」という3つのサイズを選ぶことができる。

スマートスタック

ウィジェットを1つにまとめられる「スマートスタック」。

出典:アップル

以前、記事でも今回のアップデートを「Androidっぽくなった」と書いたが、当然のことながらAndroidに比べて使いやすい面があることも確認できる。

「スマートスタック」と呼ばれるウィジェットは、1つのウェジェットなのだが、上下にフリックすることで表示する内容を切り替えられるものだ。

現状は標準アプリが対応しているので「メモ」「マップ」「ミュージック」「フィットネス」「写真」「カレンダー」を切り替えて表示できる。

Androidの場合は、アプリごとにウィジェットを配置し、1つのウイジェットには1つの情報しか表示できなかったが、スマートスタックでは複数の情報を切り替えられるのでかなり便利だ。しかも、スマートスタックは時間などに応じて、ユーザーが必要とされる情報を表示するという。

Appライブラリで“アプリの断捨離”が進む

Appライブラリ

自動でアプリを整理整頓してくれる「Appライブラリ」。

出典:アップル

iOS 14ではAppライブラリとして、iOSがアプリを自動的にまとめて、フォルダーに整理してくれるようになった。

OSをアップデートすることで、これまでインストールしたアプリがホーム画面上に並んでいる状態は変わらないが、画面を左にスワイプし続け、最後のページにAppライブラリが表示されるようになる。

iOS 14ではアイコンを長押すると「ホーム画面を編集」という項目が出てくる。ここを選ぶとアイコンがプルプルと震えるのだが、ここで「削除」ではなく「ホーム画面から削除」という項目を選ぶとホーム画面がアイコンが消滅する…という振る舞いだ。

アプリ自体は削除されず、「Appライブラリ」には残った状態となっている。そのため、万が一、あとで使うことになっても、Appライブラリから見つけるか、検索バーから名前を入れて探し出すことができるのだ。

Appライブラリ

出典:アップル

アプリの整理整頓の仕方がわかったところで、進めたいのが「断捨離」だ。

普段、ほとんど使わないアプリはどんどんホーム画面から削除してしまおう。アプリ自体を削除するのではなく、Appライブラリには残っているので、心置きなくホーム画面から削除できる。この作業を行うことで、ホーム画面を何度もめくる作業が不要になる。

これまで何年もiPhoneを使い続けてきた人にとって、アプリが溜まりに溜まっているだろうから、ここで一気に断捨離するといいだろう。

自分もアプリが多く、これまで10回、スワイプしないことには最後のホーム画面にたどり着かなかった。しかし、iOS 14を入れたiPhoneでは2回スワイプするとAppライブラリにたどり着くところまで整理してしまった。

ホーム画面も“新しい生活様式”になる

昔のホームスクリーン

iOS 13までのホーム画面。

出典:アップル

アプリを整理整頓したら、とてもいい気分になってしまった。まさにホーム画面においても「新しい生活様式」が始まった感じがしている。

一方で気になるのが、iOS 14が普及し、アプリを整理整頓する人が増えることでアプリの生き残りが熾烈になるのではないか、という点だ。

ホーム画面に残るアプリは頻繁に使い続けられるだろうし、Appライブラリに「島流し」になったアプリは、起動されるチャンスを大幅に失うことになりかねない。

これまで、ホーム画面をスワイプしているついでにアイコンが目に留まり「久しぶりに使ってみようかしら」という起動のチャンスがあったかもしれないが、Appライブラリに入ると、階層が1つ下になってしまうため、アプリの存在にすら思い出されないなんて可能性も出てきそうだ。

また、App Storeの設定項目には「非使用のAppを取り除く」というものもあるため、ほとんど使われていないアプリは自動的に取り除かれてしまうようだ。

Apple Clip

アプリがインスタント的に動く「Apple Clip」。

出典:アップル

一方で、アップルはNFCタグやQRコード、アップルが作る独自のコードでアプリを小さなアプリを瞬時にインストールして使える「App Clips」をiOS 14で用意している。

街中でNFCタグでインストールしたり、マップアプリやメッセージからアプリをすぐにインストールしやすくなる仕組みだ。

今後、アプリを作る人からすれば、ホーム画面上で生き残るのは大変になる一方、リアルの街中やSNS、ユーザーのコミュニケーションの中で、アプリをインストールして使ってもらう機会が増える……とも言える。

すなわち、アプリをつくりサービスを提供する側とすれば、ホーム画面上ではなく、リアルやユーザー間でいかに目に触れてインストールしてもらうかが、生き残るための鍵となってきそうだ。

謙虚さが増したSiriも着信通知

Siri

起動しても全画面表示ではなくなった「Siri」。

出典:アップル

さて、iOS 14を使っていて気に入っているのが「Siri」だ。今回からその存在が小さくなり、画面いっぱいに表示されることなくなった。画面の下に小さな丸として表示され、謙虚さが増したように思う。

小さな表示になったので、これまで使っていたアプリの表示をあまり邪魔することがなくなり、様々なシーンでSiriを呼び出す機会が増えた。

また、ほかのアプリを起動する際、アイコンがAppライブラリに収納されたことで、名前を入力して検索したり、Appライブラリを開いて探し出すという手間が出てくる。これを、Siriに「ナントカ(アプリ名)を起動して」といったように頼めば一発で起動してくれる。

着信通知

小さくなった着信通知。

出典:アップル

また、地味ながら便利だと感じる進化が、着信などの表示も小さくなったという点だ。ブラウザーなどのアプリを使っている際に音声着信があった場合、これまでは全画面で表示が切り替わってしまっていたが、画面上部に小さく通知するだけとなった。Androidではとっくの昔から実装されているが、iOSで見るのはなんだか新鮮なのであった。

いずれにしても、これまで10年以上、iOSで変わらなった表示体系などが、iOS 14ではかなり手を加えられている。「目新しさ」という点においては、誰もが気になるアップデートになりそうだ。

(文・石川温


石川温:スマホジャーナリスト。携帯電話を中心に国内外のモバイル業界を取材し、一般誌や専門誌、女性誌などで幅広く執筆。ラジオNIKKEIで毎週木曜22時からの番組「スマホNo.1メディア」に出演。近著に「未来IT図解 これからの5Gビジネス」(MdN)がある。

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