新型コロナパンデミック対策としてビジネスを停止していることに対するデモが、ペンシルベニア州会議事堂の外で行われた。参加者は、マスクのイラストに「圧制の新たな象徴」と書かれたプラカードを掲げている。2020年5月15日、ペンシルベニア州ハリスバーグ。
Mark Makela/Getty Images
- マスク反対派は、マスク着用の義務化は権利の侵害で、身体的にも危険だと主張する。
- 効果のないメッシュのマスクや、あえて間違った方法でマスクを着用することで、マスク着用義務化の「抜け道」を見つけたと言う人もいる。
- 研究によると、マスクの着用で感染リスクは65%減少することが明らかとなっている。
「公共の場で社会距離が取れない場合、自分自身や身の回りの人を新型コロナウイルスから守るためにマスクを着用すること」
このアドバイスは分かりやすく、明白な根拠がある。だがマスク反対派は納得していない。その多くが「マスク着用の義務化は権利を侵害するものだ」と主張し、「持病がある人がマスクを着用するとむしろ危険」という意見(専門家はこれを否定している)や、「マスクは呼吸の大きな妨げとなる」という間違った情報を拡散させる人もいる。
マスク着用をきっぱりと拒否する反対派もいれば、より巧妙な手段に出る人もいる。つまり、自らにとっても周辺に対しても何の防御にもならない偽物のマスクを着用し、咎められることなく、あるいは自らの信念を曲げることなく、これまで通りの生活を続けるのだ。
例えば、ある男性はペイントボール(サバイバルゲームの一種)で顔を守るために用いられるワイヤーメッシュのマスクのようなものを着けてウォルマートに入店する様子を動画で撮影して公開した。マスクを着けていないのと変わらないと彼は言い、誰もが彼の顔を見ることができるにもかかわらず、「誰も気にしていない」と報告した。
偽物のマスクをツイッターで自慢する人もいる。%!(EXTRA string= )
公共の場でのマスク着用を義務化する地域もあるが、法律ではマスクに特定の種類や防塵レベルが要求されているわけではない。
一般の人はマスクを手作りし、メッシュ状の素材を用いることもある。そんなマスクを公共の場で着用していても誰も罰金を取られていない。
これはルールに従えばいいというだけのことで、安全のためのものではない
ハンドメイド作品を販売するEtsyなどのサイトでは、「呼吸が楽」なマスクや、「反逆者」あるいは「ユーモアのセンスがある人」向けのマスクが販売されている。マスクには、誰にも批難されないような「プラシーボ効果」があると説明する販売者もいる(Etsyでは、同サイトで販売されているマスクは医療用ではなく、販売者が医学的または健康上の効果を謳うことはできないとしている)。
通常のマスクをあえて間違った方法で、あるいは穴を空けて着用するマスク反対派もいる。%!(EXTRA string= )
私は賢いのでちゃんとマスクを着用している。ただし正しい方法ではないけど。カバーするのは口だけ、鼻まではカバーしない!
私が着用しているマスクは、縫い針で穴をあけて通気を良くしたもの。使い捨てマスクや布製マスクに、無数の穴をあけた。雇い主に見られても穴あきマスクだということはばれないが、着け心地は全然違う
マスクは、正しく着用することで、着用者やコミュニティを守ることができる
医療用マスクや布製のフェイスカバー(3層になっているものが望ましい)は、新型コロナウイルスの蔓延を制御する武器になる。ただし、すべての人が着用すれば。
イギリスで行われた最近の研究によると、マスクの着用を義務化するだけで、都市封鎖をせずにウイルスを封じ込めるには十分であるという分析結果が示された。
マスクの有効性を示す具体的な事例もある。感染者である2人の美容師がマスクを着用した上で、同様にマスクを着用した140人の客に対応したが、感染を広げることはなかったと報告されている。
さらに、幅広い分野の新たな研究でも、マスクが着用者を守ることが示されており、着用することで感染リスクは65パーセント減少すると、カリフォルニア大学デービス校(UCデービス)付属子ども病院の小児感染症チーフ、ディーン・ブルンバーグ(Dean Blumberg)は、UCデービスのライブ配信で述べた。
「すべての人がマスクを着用するべきだ。『マスクが有効だとは思わない』という人は、科学的な根拠を無視している。これは信仰ではない。重力を信じないと言っているようなものだ」
(翻訳:仲田文子、編集:Toshihiko Inoue)