代替プラ「LIMEX」のTBM、廃プラスチック削減へ新素材「CirculeX」を開発…サーキュラーエコノミー参入へ

CirculeX

LIMEXは「枯渇のリスクがある資源への依存度を抑える素材」である一方、CirculeXは「資源循環を促進する素材」と位置づけられている。

提供:TBM

石灰石を主原料とした代替プラスチック「LIMEX(ライメックス)」を開発するTBMは7月14日、新素材「CirculeX(サーキュレックス)」を開発したと発表した。

TBMは、国内の未上場企業を対象に行われた日経新聞NEXTユニコーン調査(2019年)で、推定企業価値約1200億円で2位に入るなど、注目を集めている素材メーカー。

同社の複合素材「LIMEX」は、主原料の50%以上が石灰石(炭酸カルシウム)などの無機物。枯渇リスクのある石油由来の原料への依存度を下げる素材として位置づけられている。

それに対して、今回発表した新素材「CirculeX」は、主原料の50%以上が廃プラスチックなどの再生材料からなる点だ特徴だ。

TBM代表の山﨑敦義氏は、Business Insider Japanの取材に対して、

「再生材料を50%以上含むCirculeXは資源の循環を促進する素材です。CirculeXの展開と合わせて、使用済みのプラスチックやLIMEXの回収も強化する。そうすることで、効率的な循環モデルを構築することができると信じています」

と、LIMEXとの相乗効果によって、資源循環を促進させるべく意欲を燃やす。

「バージン素材と同等」の再生材料

プラスチックゴミ

汚れたプラスチックなどは、そのまま火力発電の燃料として焼却されてしまうケースも多い。

Matt Cardy/Getty Images

CirculeXは、消費者の使用後に回収された樹脂(再生材料)などを、基本原料として50%以上含む素材。

現時点では、包装資材、物流資材、建築資材の3分野での製品化が想定されている。

同社CMO(Chief Marketing Office)の笹木隆之氏は、

「再生材料だと一般的には物性が下がるものが多いのですが、物性を下げずに(再生材料を)50%以上を含んだ状態で製品化できる技術を強みとしていきたい」

と、再生利用する前段階の素材(バージン素材)に近い性質をもつ素材を作ることができると自信を語る。

まずはLIMEXの開発時と同様、特定のプロダクトに適した原材料の配合バランスなどを考慮するために、TBMが伴走しながら製品化を進めていくとしているものの、早い段階でCirculeXの素材だけの提供も実施していくとしている。

世界で高まる「再生材料需要」

プラスチックが打ち寄せる海岸

Agung Parameswara/Getty Images

「出張で東南アジアに行った際、河川や街中に溢れるプラスチックごみを幼い子供たちが集めている姿を目のあたりにしたことが、廃棄プラスチックを活用した素材開発に本格的に着手するきっかけでした」(山﨑代表)

と、開発背景を語る山﨑代表だが、CirculeXの登場は、TBMのビジネスにとって大きく2つの意味があるといえそうだ。

一つは、「再生材料を50%以上使用する」という言葉の通り、廃プラスチックなどの再生材料の利用を促進できる素材を手にしたという点。

アクセンチュアの調査によると、「廃棄」されたプラスチックなどの材料を「資源」ととらえ、再利用して循環させるサーキュラーエコノミー市場の規模は、2030年までに4.5兆ドルまで拡大するとされている。

ヨーロッパでも、2025年までに1000万トンの再生プラスチックを使用する目標が立てられている。

また日本では、年間約900万トンにもおよぶ廃プラスチックの約6割が、火力発電所の燃料として消費されているのが現状。加えて、プラスチックとして再利用されているという約2割(約200万トン)の廃プラスチックも、実はその半分近くが海外へ輸出された後にリサイクルされている

日本のプラスチックの行方

2018年の日本の廃プラスチック量は、約900万トン。10年前と比べても廃プラスチック量はさほど減少していない。リサイクルされる割合も、いわゆる燃料として焼却処分されるサーマルリサイクルの割合以外は、大きく変わっていない。

出典:プラスチック循環利用協会プラスチックリサイクルの基礎知識2020より

こういった海外への輸出も、2021年からはバーゼル条約によって規制されるため、国内で廃プラスチックを再利用・有効活用する機運も高まっている。

CirculeXは、まさにこういった一連の廃プラスチック需要に応えうる新素材の1つだ。

笹木氏は、

「グローバルでサーキュラーエコノミーを進めていく上で、再生材料として知られている素材がない。そこに一石を投じるというわけではありませんが、消費者に『この材料が再生材料なんだ』という気づきを伝えたい」

と狙いを話す。

LIMEXを含めた既存資源を最大活用

CirculeX

LIMEXとCirculeXがそれぞれ循環して利用されるイメージ。

提供:TBM

CirculeXの登場は、LIMEXのさらなる活用という意味でも非常に大きな意味を持っている。

LIMEXは、石灰石を原材料にしていることから、製品になったときの見た目はプラスチックによく似ていても、成分は純粋なプラスチックとは異なる。そのため、通常のプラスチックリサイクルの工程に紛れ込んでしまうと、不具合の原因になることがあり、既存のリサイクル事業者などから批判されることもあった。

そのため、TBMはこれまでパートナー企業とともに独自にリサイクルを進めてきた。

CirculeXは、原料として廃プラスチックとともに、LIMEXを混入させることも想定された素材だ。

つまり、CirculeXの登場によって、廃プラスチックの再利用が促進されるだけではなく、使用済みLIMEXを再利用する際の選択肢が増えることになる。

LIMEXは、石油から石灰石を主原料にすることで「資源枯渇」という社会課題にアプローチする素材だった。一方、今回発表したCirculeXは、すでに市場に出回っている石油由来の製品はもちろんのこと、自社製品であるLIMEXを含めた「既存資源」を最大限活用することを主眼に開発された素材だといえるだろう。

素材メーカーとしての本格的な舵取りへ

LIMEXバッグ

プラスチック製品を製造する工場の既存設備をそのまま活用して、LIMEXやCirculeXを使用することができる。

撮影:三ツ村崇志

また、TBMは、CirculeXの発表に先立ち、7月6日に「LIMEX Pellet」と呼ばれる汎用性の高いペレット状のLIMEXを、商社、素材加工メーカーなどへ広く販売する方針を公表している。

これまで、LIMEXは特定商品の材料として、細かい成分をTBM側で「カスタマイズ」した上で使用されるケースが多かった。

こういったプロダクトベースの手法は、新素材の認知を広げる上では効果的だった。

しかし今後、「素材メーカー」として、グローバルに渡って原料を供給することを見越した場合、製品ごとに新たに配合を微調整するのは現実的ではない。

山﨑代表は、LIMEX Pelletの販売を拡大した背景について、

「近年、海洋プラスチック問題や二酸化炭素の排出量の増加などにより、『プラスチック代替素材』へのニーズが今まで以上に高まっていることを受け、世界中の既存設備で製造可能(ファブレス)な石灰石を主原料とするペレット『LIMEX Pellet』の販売を強化しました。素材ビジネスとして本格的な舵取りを行なったと言えます」

と話す。

今後、LIMEXの需要が高まれば、その分LIMEXのリサイクル需要も高まってくることが予想される。

そのとき課題となるのは、LIMEXの回収方法だ。

実は、TBMは、CirculeXの展開と合わせて、捨てられるプラスチックやLIMEXの回収を強化しようとしている。LIMEXとプラスチックを合わせて回収できるシステムが構築できれば、効率的な資源循環モデルを実現する上でも大きなポイントとなるだろう。

「TBMは今後、石灰石を主原料としたLIMEXと、廃プラスチックなどの再生材料を主原料としたCirculeXという2つの素材で循環型社会を構築し、あらゆるステークホルダーのエコノミーとエコロジーの両立を実現していきます」(山﨑代表)

現在、世界的にも、脱プラスチックの流れは大きなトレンドとなっている。

日本でも、2019年5月に発表されたプラスチック資源循環戦略では、2030年までにワンウェイプラスチックの25%を抑制。2035年までに使用済みプラスチックの100%のリユース、有効利用が目標として掲げられている。

7月1日から脱プラの取り組みの一環としてレジ袋が有料化され、ここに来て、国内でも廃プラスチックの活用を見越した企業が目立ってきた。

環境に配慮した取り組みは、もはや慈善事業やCSRで進められるものではなく、今後の重要なビジネスとなっている。

文・三ツ村崇志

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