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- この記事はeMarketerによる調査レポート「アメリカにおける2020年のソーシャル・トレンド(US Social Trends for 2020)」のプレビュー版。レポート完全版(有料)はこちらから
世界の5分の1以上がインスタグラムユーザーに
eMarketerは調査レポート「世界のインスタグラム・ユーザー 2019(Global Instagram Users 2019)」のなかで、少なくとも1カ月に1回以上インスタグラムを利用するユーザーが2019年には世界で7.9億人に迫ると報告している。また、世界のインターネット・ユーザーの5分の1以上(20.6%)がインスタグラムを利用するようになると予想した。
しかし親会社のFacebookは、2019年にプライバシー侵害の問題で当局の捜査を受け、同社への世間の目は依然として厳しい。2020年にはインスタグラムも同様の課題に直面するのではという憶測もあった。
このような懸念はあるにせよ、当面インスタグラムの勢いは衰えず、今後もアメリカ市場において利用者数を最も伸ばすプラットフォームであり続ける見込みだ。多くのユーザーを惹きつけている理由は、モバイルとの親和性、目を引く写真の撮影・加工・発見・共有がしやすい仕組みにある。また、コマース機能の充実や、ブランディングやコンテンツ発見の場として優れていることから、今後も広告媒体として企業の活用が続くだろう。
調査レポート「世界のインスタグラム・ユーザー 2019」の内容は、現時点でどの程度通用するのだろうか。また、2020年に押さえておくべきソーシャルメディアのトレンドは何か。これらの問いに答えつつ、インスタグラムを効果的に使うためのヒントを提供するため、eMarketerは「2020年:アメリカにおけるソーシャルメディアのトレンド(US Social Trends for 2020)」と題した調査レポートをまとめた。
広告活用におけるインスタグラムのトレンドは?
インスタグラムの広告収入の推移予想。
Business Insider Intelligence
本レポートの主なテーマを以下に記す。
1. 若年層でFacebookに対するインスタグラムの優位性が明らかになる
アメリカの成人がFacebookの利用に費やす1日当たりの時間は、2020年には33分と過去最低を記録する見込みだ。2012年にFacebookのマーク・ザッカーバーグCEOがインスタグラムを買収するという決断をしていなければ、同社は大きな苦境に立たされていたことだろう。
この時の買収は双方を資する結果となっている。インスタグラムはFacebookの経験や、多様なユーザー層から利益を得ており、一方Facebookはインスタグラムの忠実なユーザーを取り込むことができた。
インスタグラムが若年層の間でヒットするだろうということは、初期段階からはっきりしていた。2019年の調査では、これが数字として如実に現れており、10代の85%が「最も好きなソーシャルメディア」としてインスタグラムをあげている。
2020年には18〜24歳の年齢層でも、利用時間の面でインスタグラムがFacebookを抜く見込みだ。それより上の年齢層では勢いが劣るものの、ある調査では、50〜64歳におけるインスタグラムの普及率は23%となっており、2016年と比較して18%伸びている。
Facebookに対する厳しい批判がインスタグラムにも向けられるのではないかとの懸念や、新しいアプリが台頭するなか、ユーザー離れを心配する向きもある。しかし、今のところこれらの懸念は現実化しておらず、インスタグラムの今後の見通しは明るいと言えるだろう。
インスタグラムは、Facebookの手強い競合相手となっているのかもしれない。だが、より若く流行を追ったプラットフォームにユーザーの移行が進んだことは、会社全体として見れば肯定的に捉えることもできる。
2. 伸びるストーリーズ利用。だが、フィードを超えるまでには至っていない
インスタグラム、ストーリーズの縦長画面。
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以前は有効とされていたフィードでの広告も、ユーザーの関心を引くのが難しくなってきており、広告主は戦略の練り直しを迫られている。スマホのスクリーン全面に縦構図で表示させるストーリーズ広告の提供が始まると、多くの企業がそれに飛びついた。ブランド認知、動画再生数アップ、コンバージョン、アプリのインストール、見込み客の獲得などに幅広く活用されている。
ストーリーズの利用はFacebookではそれほど伸びていないが、インスタグラムではプロモーション目的のオーガニック投稿やインフルエンサー・マーケティングに活用され、効果を生み続けている。「2020年に広告費を投じる分野」として、アメリカにおける広告制作やデジタルマーケティングの意思決定層の66%がインスタグラムのストーリーズを、62%がフィードを選んでいる。この数字から見て取れるように、2020年にはストーリーズの有効性に目を向けることが重要となってくる。
ストーリーズとフィード、どちらにもそれぞれの利点がある。フィードでの投稿から他の機能へ誘導を図れることもあり、今後は両方を併用するケースが増えるだろう。
3. 企業はソーシャルメディアでの動画広告にさらに資金を投じる
Facebookが個人データの取り扱いや独占禁止法違反に関する当局の調査を受け、世間の注目が集まった。だが、こうした状況にもかかわらず、アメリカにおけるソーシャルメディアでの広告費は2020年も増え続けると予想される。
しかし、消費者の関心や滞在時間がデジタル動画など他のサービスに流れていけば、ソーシャルメディアの勢いにも陰りが見えるかもしれない。
サブスクリプション方式の動画配信サービスが普及し、モバイルなどインターネットに接続された機器での動画視聴もますます伸びている。2020年には、アメリカの成人はソーシャルメディアを利用する時間の倍近くを、パソコン、モバイル機器、その他のインターネットに接続された機器での動画視聴に費やすと見込まれている。
マーケターは、ターゲットとなる消費者が「どこ」で「何」に時間を使っているのかを正確に把握しなければならない。今後は、ソーシャルメディア以外での動画視聴の伸びに注意を払いながら、広告出稿を検討する必要があるだろう。
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[原文:Analyzing Instagram user growth and usage patterns in 2020]
(翻訳・野澤朋代、編集・佐藤葉)