フォード・ブロンコ
Ford
- フォードは2021年発売の「ブロンコ」のラインナップを明らかにした。これは約四半世紀ぶりにブロンコの名を冠したSUVだ。
- ブロンコは、1966年に発売され、ジープやハーベスターを始めとするオフロード・カーと競い合っていた。
- 2021年にブロンコの名を復活させる前に、フォードはこのSUVを5世代に渡って製造した。
- 1960年代半ばから1990年代半ばまでの約30年間、ブロンコは象徴的な存在でありながら悪名もまた高かった。
鳴り物入りの宣伝と何度かの遅れを経て、待望の2021年型フォード・ブロンコがついに登場した。この車は、20数年ぶりにブロンコの名前を冠したSUVだ。
1996年に生産中止となるまで、ブロンコ(Bronco)は1965年から約30年にわたり、ジープ(Jeep)をはじめとする当時のSUVに対抗するために開発され、当初はオンロードとオフロードの両方で同等の性能を持つと高く評価されていた。そのことを考えれば、フォード(Ford)がジープをライバルとする新しいオフロード車にブロンコの名前を復活させたことも不思議ではない。
フォードの「ほぼすべての場所に行けて、ほとんどすべてのことができる」四輪駆動のSUVは、5世代が開発され、SUVのアイコンとも言えるステータスを獲得し、一方で不評を買い、アメリカ文化の中でその地位を固めていった。ここではブロンコの最初の31年間を振り返ってみよう。
20数年ぶりにその名を冠して、2021年に発売されるフォードのブロンコが発表された
フォード・ブロンコ
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その長い歴史的な過去を振り返ってみるのもいいだろう。
出典:Ford
1966年から1996年まで、5世代にわたって製造され、アメリカ文化の奥深くに根ざしたフォード・ブロンコは、紛れもなく自動車のアイコンだ
フォード・ブロンコ、1966年。
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1965年に初代マスタングに続いてデビューしたブロンコは、インターナショナル・ハーベスター・スカウトやラングラーの前身であるジープCJのようなシンプルで実用的な四輪駆動車に対抗するオフローダーとして設計された
1966年の発表イベント。
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ジープCJと同様に、ブロンコの起源は1950年代後半から1960年代前半にかけてフォードが製造したアメリカ軍の車両、GPやM-151 MUTTにまで遡る
ブロンコ、1967年。
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最初のプレスリリースによれば「まったく新しいスポーツユーティリティカー」である初代ブロンコは、「険しい山の斜面を走っても、ショッピングセンターへ走っても、家にいるのと同じよう」
ブロンコのキャンピングカー。1967年。
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ジープ・ラングラーがアメリカの道路で一般的になるずっと前から、ブロンコは「どこにでも行ける、何でもできる車」として設計されていた
ブロンコ、1967年。
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四輪駆動で、3種類の車体が用意されていた
ブロンコ、1969年。
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ドアやルーフがなく、フロントガラスも折り畳めるロードスターが基本モデルで、一番安かった
ブロンコ、1969年。
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サイズの小さいピックアップ版もあった
ブロンコ、1968年。
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3つ目のスタイルは、ハードトップを備えた2ドアの密閉型ワゴン。この標準的なSUVのボディスタイルは、その後の世代のブロンコにも受け継がれた
ブロンコ、1971年。
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ブロンコは当初、105馬力の6気筒エンジンと3速MTが設定されていた。その後すぐに、より強力なV8エンジンがオプションで追加された
ブロンコ、1967年。
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現在の基準ではそれほど高性能ではないが、当時は手ごわいオフロードカーだった
1969年のハバ1000でのブロンコ。
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1969年の「バハ1000」で優勝し、フォードによると今でもこのラリーレースで優勝した唯一の市販4x4だという。
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初代ブロンコは1966年から1977年までの11年間、ほとんどのモデルチェンジが行われなかった
ブロンコ、1977年。
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しかし、1970年代にはパワーステアリングやオートマチックギアボックスなど、快適性を向上させたスパルタンなモデルが登場した。
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フォードは1974年に新型ブロンコを投入する予定だったが、オイルショックの影響で計画が遅れた
ブロンコ、1978年。
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1978年、ついに2代目ブロンコが発表された。
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2代目ブロンコは、フォードのピックアップトラック、Fシリーズをベースにしており、初代よりもかなり大型化した
ブロンコ、1978年。
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高速道路でのクルージングにも適応したが、取り外し可能なハードトップなどにオリジナルの無骨さが残っていた
ブロンコ、1978年。
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2代目は2種類のV8エンジンが設定され、フォードによると、2年間という短い生産期間で18万台を販売した
ブロンコ、1979年。
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1979年、ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世はアメリカ訪問中にブロンコベースのパパモビルに乗った
ブロンコをベースとした教皇専用車、1979年。
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ブロンコの3代目は1980年に登場し、1986年まで生産された
ブロンコ、1980年。
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かさばる先代よりも少し軽く小さくなり、低燃費で、V6とV8の2つのパワーユニットが設定されていた
ブロンコ、1981年。
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また、フロントに従来のソリッドアクスル(車軸懸架)ではなく、独立懸架のサスペンションを採用した初のブロンコでもある
ブロンコ、1982年。
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F-150をベース車両として、そのワイルドな人気の高いピックアップトラックと同時に開発された
ブロンコ、1984年。
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今では伝説となったジープ・チェロキーXJやシボレーS-10ブレイザーなどのコンパクトなSUVが流行する中、フォードはフルサイズのブロンコの兄弟車を開発しようとした
ジープ・チェロキー、1984年。
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出典:Jeep
そして1983年、フォードはより小さなレンジャーのプラットフォームをベースにしたブロンコIIを発売した
ブロンコII、1983年。
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1990年、愛らしいブロンコIIは生産終了となり、代わりにエクスプローラーが発売された
ブロンコII、1984年。
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4代目のブロンコは、1987年から1991年まで発売された
ブロンコ、1987年。
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1987年の新型F-150とフォードのラインアップ全体のデザイン変更に合わせて、4代目ブロンコは全体に少し丸みを帯びていた
ブロンコ、1989年。
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この世代では初めて後輪ABSと電子制御燃料噴射が標準仕様になった
ブロンコ、1988年。
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1992年から1996年まで生産された5代目ブロンコは、このSUVの最後のモデルになった
ブロンコ、1992年。
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細かい点でのスタイリングのアップデートに加え、運転席エアバッグと3点式シートベルトを備えたインテリアに刷新された
ブロンコ、1993年。
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ブロンコが生産中止になる2年前の1994年6月17日、突如としてスポットライトを浴びることになる
ブロンコ、1993年。
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その日、O・J・シンプソンが警察から逃走した様子が生中継された。2時間の逃走劇の間、シンプソンは友人の所有する1993年式の白のブロンコに乗っていた。シンプソンは自分も白いブロンコを持っていたが、それは殺人事件の証拠として押収されていた
1994年のO・J・シンプソン事件で逃走に使われた。
Jean-Marc Giboux/Getty Images
カーチェイスは、9500万人がテレビで目撃した。
1990年代になると、消費者はそれまでの2ドアモデルよりも4ドアを好むようになっていた。そして、1996年6月に「最後」のブロンコが発売された
ブロンコ、1996年。
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そう、今までは「最後」だった
ブロンコ、2021年モデル。
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7月13日、フォードはブロンコの新しいラインアップを発表した。「ブロンコ」は単一モデルではなくSUVのファミリーになった
ブロンコ
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2ドアバージョンも…
ブロンコ、2021年モデル。
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…4ドアバージョンもある
ブロンコ
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そしてスポーツバージョンはさらにコンパクトだ
ブロンコ・スポーツ
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これらの新モデルは、20世紀のブロンコたちとは一線を画しているが、ある意味ではあまり変わっていない
フォード・ブロンコ
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箱型のスタイル、オフロード性能、取り外し可能なドアを備えた新型ブロンコは、再びジープに対抗するために作られた
フォード・ブロンコ
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そして、お気付きかと思うが、新型ブロンコには55年前の初代ブロンコと同様に3種類のフレーバーが用意されている
新旧のフォード・ブロンコ。
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出典:Ford
(翻訳、編集:Toshihiko Inoue)