小池知事「罰則導入を国に強く要望」 東京のコロナ感染、警戒最大レベルに

小池都知事

小池百合子都知事。

撮影:三ツ村崇志

東京都は7月15日、専門家を交えた第2回新型コロナウイルス感染症モニタリング会議を開催した。

これを受けて同日午後に開かれた対策会議では、都における感染状況の警戒レベルを4段階あるうちの最大レベルである「感染が広がっていると思われる」に引き上げることが判断された。

なお、医療提供体制については4段階あるうちの3段階目「体制強化が必要であると思われる」と判断。

小池百合子都知事は、午後5時からの緊急会見で、

「『感染拡大警報』を発すべき状況だと、都としての姿勢、考えでございます」

と、モニタリング会議での専門家からの総括を踏まえた現在の状況を話した。

高齢者の感染割合が増加。

大曲先生

国際医療研究センターの大曲貴夫センター長。

撮影:三ツ村崇志

都では7月15日、新たに165人の感染者が確認されている。

15日現在、感染者のうち重症者は7人と低水準を保っているものの、感染が確認されてから重症化するまでにタイムラグがあることを考えると、今後の重症者数の増加が懸念される状況だ

また、依然として20代、30代の感染者が高い比率を占めているが、都のモニタリング会議メンバーである国際医療研究センターの大曲貴夫・国際感染症センター長は最近の感染状況について、

60代以上の方が全体の1割を占めるようになってきました。この世代の方々は、重症化しのリスクが高い方々です。これに対して、私たちは大変危機感を覚えています。もう一つは、10歳未満の感染者の比率も上がってきました。年齢の幅が広がってきているということです」

と、警戒感を示した。

多様な感染経路に警戒感

また、感染経路の多様化も懸念材料の一つだ。

6月中旬以降、感染者が増え始めた段階では「接待をともなう飲食店や会食」での感染が中心とされていたが、ここ最近はデイケア施設や幼稚園などの施設や、家族間、会社の同僚間での感染、あるいは私的な会食の場での感染なども増えてきているという。

接触歴不明者も7日間平均で約77人。先週からの増加比は約200%と、この1週間で状況は悪化している。この状況が続けば、4週間後には1日あたり接触歴不明の新規感染者が1200人を超える計算になる。

感染者が増えてくれば、保健所によるクラスター対策もうまく回らなくなってくることが予想される。そのため、これ以上の感染の拡大は防がなければならない。

同モニタリング会議メンバーの猪口正孝・都医師会副会長は、医療提供体制について次のようにコメントした。

「今日(7月15日)現在、約800人の方が入院しています。入院患者数は先週と比べて2倍に増加しています。今から体制の整備を求めているところでございます。

また、無症状の陽性者が18%を占めておりまして、こうした患者を見るためには、大規模な宿泊療養施設が必要だろうと考えております。場合によっては自宅療養も考えなくてはいけない状況になるかと思われます」

現状では、重症患者数は横ばいで推移しているとしながらも、重症化リスクの高い高齢者の患者が増えてきている。第1波の際に感染が確認されてから1週間程度を経過してから重症者が増えてきたことから、猪口副会長は「重症患者への体制を準備しておく必要がある」と準備の必要性を訴えた。

7月15日夜、都は7月11日に90代の患者が1人亡くなっていたことを発表した。東京都で新型コロナウイルス感染者の死亡例の発表は6月24日以来だ。

基本対策方針は変わらず。体制の強化を推進

会見資料

撮影:三ツ村崇志

都は今後、検査体制の一層の強化とともに、宿泊療養施設の確保や保健所機能の拡充、陽性率の高い地域・業種に対する積極的なPCR検査の推奨など、これまでの対策を続ける方針だ。

都は15日、新たに豊島区のホテルに175部屋を確保したことを発表。記者会見でも、来週中に新たに2つの宿泊療養施設を設置すると発表があった。

加えて小池都知事は、感染症対策ガイドラインを遵守していない店舗の利用を控えるよう呼びかけた。

「特措法に罰則の適用求める」踏み込み発言も

小池都知事は、地域と連携して特定の事業者に対して休業を要請するなどの方針も示している。記者会見では、

「こういった呼びかけは、特措法の第24条9項にもとづいての要請と致します。実効性を上げるためにも、休業要請などに応じない事業者に対する罰則の適用など、国に対して特措法の改正を改めて強く求めて参ります

と、具体的な罰則内容について言及はなかったものの、踏み込んだ発言もみられた。

東京都庁

東京都庁

撮影:三ツ村崇志

今後、感染対策を引き続き行なっていく上で、何が課題となってくるのか。

質疑の中で大曲センター長がメディアに向けて語った次の言葉は、今一度、私たち一人ひとりの胸に留めておくべきだろう。

「課題として思うのは、事業をされている方々の感染対策の構築にしても、個人レベルの対策を実践するにしても、なかなかコツがつかめないというところもあるんじゃないかと思います。それをみんなの日常にするには、時間がかかるのではないかと思います。


個人の意見ですが、うまく行かなかった事例に関しては、問題点が見えてきているのであれば、そこは共有していくべきなのではないかと思います。で、『そこを変えていこうよ』ということで、しっかりと確実に進んでいくのではないかと思います」(大曲教授)

感染者が増えれば不安になり、思わず感染者を出してしまったイベント事業者や、これまで「夜の街」などとやり玉に上げられた人たちに対して厳しい目を向けてしまいがちだ。

感染対策に不備があれば、当然それは改められるべきだが、現状では誰もが試行錯誤を続けている状況である。

社会を動かしながらゼロリスクを実現することが不可能な以上、今、私たちに必要なことは、誰かを責めることではなく、社会を前へ進める方法を考えることだ。

文・三ツ村崇志

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