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コロナで増える「今の会社に残りたい」若者たちが知るべきこと

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デロイト トーマツ グループの調査で、日本の若者の弱点が浮かび上がった。

Shutterstock/今村拓馬撮影

「日本の若者は、世界と比較すると、デジタルテクノロジーへの理解度や危機意識が低い」。

「コロナショックで企業を頼ろうとする若者が増えている一方で、企業は教育費を削減方向に向かっている」——。

デロイト トーマツ グループが毎年実施している、「ミレニアル年次調査」の2020年版では、日本の若者たちを取り巻く厳しい現状が浮き彫りになった。

日本と世界の若者世代を比較することで、見えてくる日本の課題は何か?

調査を行ったデロイト トーマツ コンサルティングで人材のコンサルティングを担当する2人に聞いた。


調査はデロイト グローバルが実施。世界のミレニアル世代(1983年~1994年生まれ、おおよそ現在の26~37歳)とZ世代(同1995年~2003年生まれ、おおよそ現在の17~25歳)を対象に、2019年11月~2020年5月にかけて行った。

また新型コロナウイルスによる意識変化を図る追加調査も2020年4月~5月に行い、2つの調査を合わせて、43か国の2万7528人(日本国内では1600人)が回答した。

テクノロジーへの関心低い

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提供:デロイト トーマツ グループ

「デジタルに関する意識やスキルの保有について、日本の若者は世界よりも非常に遅れています。危機意識が足りていないのは、構造的にかなりまずいと感じています」

デロイト トーマツ コンサルティングの澤田修一シニアマネジャーはそう指摘する。


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澤田修一氏

提供:デロイト トーマツ グループ


「ミレニアル年次調査」では、IoTやAI、ロボティクスといったテクノロジーが実現する「第4次産業改革」について、世界の若者に質問した。

「第4次産業改革はあなたの現在の仕事にどのような影響を与えると思いますか?」という問いについて、「自分の仕事を増強する」と回答したZ世代は、グローバルでは41%だったが、日本ではたった16%。

日本のミレニアル世代も同じ傾向で、自分の仕事とテクノロジーを結びつけて考える意識が、グローバルと比べ低いという。

「AIやIoTが進化していく社会で、文系の学部であってもプログラミングなど、ある程度の理系的な素養は必要になっています。


ミレニアル世代はデジタルネイティブと言われ、スマホは身近な存在ですが、今の社会で生きていく上で、テクノロジーがどう影響しているのか、イメージできていないという課題があります」(澤田氏)

必要なスキル「ほとんどない」「分からない」が7割超

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提供:デロイト トーマツ グループ

また「第4次産業革命が今までに増して仕事環境を変えていく中で、自分には必要なスキルが備わっていると思いますか」という質問では、日本のZ世代は「ほどんどない」「分からない」と74%が回答した。一方で、「ほとんどない」「わからない」との答えたグローバルZ世代は35%にとどまる。

デジタルテクノロジーで必要とされるスキルについて、不足を感じていたり、そもそも無関心だったりする割合が、グローバルと比べて大幅に多いと言える。

テクノロジーへの関心が低い原因は何か?

澤田氏は、日本のキャリア教育の不足を指摘する。

「海外の大学生は、日本のように未経験で入社するのではなく、いわばジョブ型雇用であり、若い時からキャリア教育を受け、専門性を磨いています。


日本でもジョブ型雇用が注目されていますが、ジョブ型雇用への移行が進むということは、より若い時点で自分が闘う場所を決めるということです。

その意味でも、キャリア教育を充実させ、早い時点で進む方向性や、必要なスキルを自覚することは重要になっています」(澤田氏)

コロナで保守的なキャリア観に回帰

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提供:デロイト トーマツ グループ

一方、新型コロナの影響で、若い世代は保守的なキャリア観への回帰も見られる。

ミレニアル年次調査によると、「現在の雇用主のコロナ対応によって、長期的にこの会社にとどまりたいと思うようになった」と答えたのは、日本のミレニアル世代では55%だった。

コロナ前に行った調査では、「5年以上継続して務める」としたミレニアル世代は33%だったことに比べると、コロナショックにより、現在の勤務先で長期にわたり働きたいという意向が強まっている。

「グローバルで見ても、コロナによる経済状況の悪化により、雇用の安定を求める傾向が強まっています。

ただし、企業側もコロナ対策で手いっぱいなのが実情で、若手社員が会社に頼りきりになるのはリスクがあります」

デロイト トーマツ コンサルティング、パートナーの古澤哲也氏はそう話す。

コストダウンで削られる「教育費」

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提供:デロイト トーマツ グループ

デロイト トーマツ グループが行った別の調査(2020年5月13~19日、企業に勤める課長級社員など145人が回答)では、企業のコロナ対策について質問。

「新型コロナウイルスの対応として、想定されるコストダウン施策は何ですか」(複数回答)という質問では、1位の「労働時間抑制」(39%)に続いて、2位に教育費や採用活動など「人事コスト削減」(32%)が入った。

コロナショックにより、若手社員を教育にかけるコストは削減されていくとみられる。

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提供:デロイト トーマツ グループ

「突然のコロナにより、準備がない状況でリモートワークに突入した企業も多い。

アンケートでは『直近1年以内に取り組みたい施策』についても聞いていますが、上位には『ペーパーレス化の推進』や『顧客接点のデジタル化強化』など目の前の課題が並んでいます。



今後もこの傾向は続くと考えられ、教育面などで企業に期待するのは難しいと言えます。

これまでのように、新人皆に同じコストをかけて教育するという形はなくなっていくのではないでしょうか」(古澤氏)


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古澤哲也氏

提供:デロイト トーマツ グループ


コロナ禍で会社を頼りたくても、会社にはその余裕がない——。

そんな状況をどう生き延びればいいのか?

「アフターコロナに求められる重要な資質は、自律性や自発性だと思います。

そもそもリモートワークでばらばらに仕事をする状況では、自分から発信し、コミュニケーションを取れる人とは、仕事がしやすいということもあります。


自分自身で課題を見つけ、その上で自発的にキャリア形成をしていく姿勢が求められています」(古澤氏)


(文・横山耕太郎)

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