深夜0時ごろ、日付が変わったか変わらないかの時間に、携帯電話が鳴る。
利用者の家族からの電話だ。「時間になっても、スタッフの方が来ていません」
タクシーに飛び乗り、利用者宅に向かう車中でスタッフに電話をかけても応答はない。
神奈川県全域を統括するエリアマネージャーを務める綾部清香(38)は5年前、ユースタイルラボラトリーの社員になった。
神奈川県のエリアマネージャーを務める綾部清香。以前はアパレル業界で働いていた。
撮影:小島寛明
重い障がいのある人たちに介護サービスを提供する仕事をしていると、担当のヘルパーが仕事に現れないことがある。夜遅くに利用者宅に入る仕事の前に、眠り込んでしまったり、シフトを忘れてしまったりといった理由からだ。
入社してからしばらくは、綾部の元には何度もこうした緊急の電話がかかってきた。綾部は、当時をこう振り返る。
「当時は、出勤を事前に確認するシステムもなかったから、通常の勤務に加えて1週間に2回、朝までヘルパーに代わって夜勤をしたこともありました」
事業者にとっては、利用者や家族に謝罪すれば解決する問題ではない。