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「有望なスタートアップを生み出す都市ランキング」2020年版。東京とソウルが初登場

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世界のさまざまな都市圏から、ビジネスや生活のあり方を変えるスタートアップが生まれ始めている。写真は2019年9月に新規株式公開(IPO)を果たしたリモート歯科医療のSmileDirectClub(スマートダイレクトクラブ)。

REUTERS/Lucas Jackson

世界100カ国以上で270以上のスタートアップ・エコシステムを調査・評価し、1〜30位および次点の位置づけとなる31〜40位をランキングした「グローバル・スタートアップ・エコシステム・レポート」2020年版が発表された。

スタートアップ・エコシステム……起業する人材、資金、周辺の企業基盤や法規制など、さまざまな要素が重なり合って形成される。シリコンバレーが発祥とされる。事業の高い革新性、イノベーションの追求を得意とするスタートアップを継続的に生み出し、企業の新陳代謝を促進する働きをもつ(出典:日本貿易振興機構「地域・分析レポート」)

スタートアップ・エコシステムの形成促進を目指し、政府機関や企業と連携して政策提言まで行う民間調査会社スタートアップ・ゲノムが作成したランキングで、近年は調査対象をアジア、アフリカ、南アメリカにまで広げ、名実ともにグローバルかつ網羅的な内容となっている。

以下で2020年版のランキングと、スタートアップ・ゲノムによる分析内容を紹介しよう。


上位5エリアの顔ぶれは2019年と変わらず。2位タイに浮上したロンドン以外は、2015年とまったく同じ顔ぶれだった。

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出典:2020 Global Startup Ecosystem Rankingsより編集部作成

ロンドンは2012年に8位だったが、2016年に北京を追い抜き、2020年にはニューヨークに追いついた。

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ニューヨーク(青)、ロンドン(緑)、北京(橙)のランキング推移。

出典:2020 Global Startup Ecosystem Rankings

東京(15位)とソウル(20位)が初めてランクイン。研究開発活動の充実度を示す「ナレッジ」指標が両者とも最高レベル。ベルリンは6ランクダウン、ワシントンは8ランクアップ。

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※東京とソウルは2019年からレポートに名前が登場する。

出典:2020 Global Startup Ecosystem Rankingsより編集部作成

ストックホルムとアムステルダムが着実に成長

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上海(青)、ストックホルム(赤)、アムステルダム(黄)のランキング推移。

出典:2020 Global Startup Ecosystem Rankings

アムステルダムは2015年の19位から、2020年に12位までランクアップ。オランダは、物流大手DHLが発表している「グローバル・コネクテッドネス・インデックス」(=貿易・資本・情報・人材の国際的流通性を示す指数)で世界1位。アムステルダムの本ランキングにおける「コネクテッドネス(接続性)」指標も、最高評価の「10」を獲得している。

ストックホルムも着実な成長を続けている。2017年に14位でデビュー、2020年には10位、トップ10常連の上海を追い抜く勢いだ。2018年4月に新規株式公開(IPO)を果たして時価総額266億ドル(約2兆9000億円)の評価を得た音楽ストリーミングサービスのSpotify(スポティファイ)の存在も大きく、エコシステムの市場価値を示す「パフォーマンス」は「8」を獲得している。

深セン(22位)と杭州(28位)、サンパウロ(30位)が初ランクイン。バンガロールは8ランクダウン。

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※サンパウロは2019年から、深センと杭州は2020年からレポートに名前が登場する。

出典:2020 Global Startup Ecosystem Rankingsより編集部作成

次点グループにはデリーやコペンハーゲン、モントリオール(いずれも36位)など新顔多数。一方、ベルン=ジュネーブは12ランクダウン、ダブリンも10ランクダウン。

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出典:2020 Global Startup Ecosystem Rankingsより編集部作成

スタートアップ・ゲノムによるランキング調査対象の拡大により、新興エコシステムの成長の実態が見えてきたことにより、これまでとは違ったスタートアップ業界の姿が見えてきた。

デリーは、ソフトバンク、セコイア・キャピタル、タイガー・グローバルといった世界有数の投資家がエコシステムの拡充に貢献している模様だ。

コペンハーゲンは、カスタマサービスソフトウェアのZendesk(ゼンデスク)、消費者レビューサイトのTrustpilot(トラストパイロット)、B2B電子取引プラットフォームのTradeshift(トレードシフト)といった、日本も含めてグローバル展開中の有望株を輩出。

モントリオールは、高級民泊サービスのSonder(ソンダー)、決済ソリューションのNuvei(ヌベイ)というユニコーンを生み出し、販売時点情報管理プラットフォームのLightspeed POS(ライトスピードPOS)は2019年3月に上場し、カナダのテック企業としては過去最高額となる1億7900万ドルを調達している。

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出典:2020 Global Startup Ecosystem Rankings

同国内で2エリア以上のスタートアップ・エコシステムがランクインした国をチャート(上)でみると、アメリカが圧倒の14エリア。4エリアの中国、3エリアのカナダ、2エリアのドイツ、インド、オーストラリアと続く。

日本は東京が初めてランクインしたものの、ほかは大阪が「トップ100 新興エコシステム0」の99位に入ったのみだった。

(文:川村力

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